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※紙面抜粋
※文字起こし
Jアラートは“空振り”(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
どこまで役立たずなのか。「Jアラート」のポンコツぶりには、さすがに多くの国民が「またかよ」と呆れ返っているに違いない。
北朝鮮が弾道ミサイルを発射した13日朝、日本政府はJアラートを発出し「ミサイルが8時ごろ、北海道周辺に落下するものとみられます。直ちに避難してください」と避難を呼びかけた。防衛省のシステムは、北海道南西部の「陸地」に着弾すると予測したそうだ。
Jアラートが発出されたため、通勤、通学時間だったのに、鉄道もバスも一斉に停止。大混乱に陥った。
しかし、北朝鮮のミサイルは、北海道の「陸地」どころか、はるかかなた、日本の排他的経済水域(EEZ)の外に着弾している。ここまで精度の低い解析も珍しいのではないか。Jアラートの予測は、外れっぱなしだ。毎回のように混乱を引き起こしている。
昨年10月には、北朝鮮が発射した弾道ミサイルが青森県上空を通過した際、通過とほぼ同時刻に「発射」情報を出し、その13分後に「通過」情報を発出しているのだから話にならない。しかも、飛来するはずがない東京にまで「発射情報」を流しているのだから、デタラメがすぎるというものだ。
翌11月には、ミサイルが「太平洋へ通過したものとみられる」と発表したが、40分後、報道各社に「実際には通過していない」と文書で訂正する始末だった。日本列島の上空を通過したかどうかさえ分からないとは、いくらなんでもレベルが低すぎるだろう。
ここまで「誤報」つづきだと、国民もJアラートを信用しなくなるのではないか。なのに、岸田首相は「発出の判断は適切だった」と開き直っているのだから度し難い。まず国民に謝罪すべきだ。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
「かつて安倍首相は、北朝鮮の脅威を煽り、Jアラートを鳴らしつづけ、選挙に勝利しています。ひょっとして岸田首相も同じ発想なのではないか。これから国会は、防衛費増税が一大テーマになる。国民が北朝鮮に恐怖感を抱いたほうが、防衛費増税を受け入れてもらいやすいと計算したとしても不思議ではありません」
地下シェルターつくる方が合理的
はたして、Jアラートを発出する必要があったのかどうか。どうにも怪しい。
そもそも、いま北朝鮮が、日本にミサイルを撃ち込んでくる必然性があるだろうか。防衛省出身で内閣官房副長官補をつとめた柳沢協二氏は、共同通信の取材にこう答えている。
「客観的に見て、今は北朝鮮が戦争を仕掛けてくるような状況ではない」「北朝鮮のミサイル発射へのJアラート発出が現実的なのかどうか再考すべきだ」
こうなると、日本の「対北朝鮮ミサイル防衛」は、ほとんどマンガである。これまで自民党政権は、北朝鮮の危機を煽り「ミサイル迎撃システム」に巨額な防衛費をつぎ込んできたが、ミサイルの軌道も正確にキャッチできないのに、どうやって迎撃するのか。迎撃システムを高いカネでアメリカから買うより、地下シェルターを建設した方が、よほど国民の生命を守れるのではないか。
「さすがに国民も、Jアラートには疑問をもちはじめているはずです。もし、北朝鮮が本気で攻撃してきたら、逃げる時間などないでしょう。日本には安全なシェルターもない。それに、北朝鮮は日本のことなど相手にしていないと思う。対峙しているのは、あくまでアメリカですよ」(五十嵐仁氏=前出)
安倍政権は、窮地に陥るとJアラートを発出していたが、いったいJアラートは誰のためのものなのか。
「敵基地攻撃」は机上の空論
今回の一件でハッキリしたのは、ミサイルもロクに探知できないこの国に、「敵基地攻撃」など、到底無理ということだ。
岸田政権は敵基地攻撃について、敵国がミサイル発射に「着手」した段階でも攻撃可能としている。
たとえ、日本が被害を受けていなくても、敵国が武力攻撃に「着手」したと判断したら、攻められるという理屈だ。
しかし、「着手」の認定などできるはずがない。北朝鮮は、発射の兆候を察知することが困難な移動式発射台からのミサイル発射にも成功している。発射されたミサイルを見失ってしまうレベルの国に、ミサイル発射の兆候を直前に捉えるなど不可能だろう。軍事ジャーナリストの世良光弘氏がこう言う。
「『敵基地攻撃能力』などという言葉は、もはや死語です。北朝鮮は以前からミサイル格納施設を地下に設置したり、トレーラーで発射台を移動させたりと、衛星による監視から逃れるために、さまざまな手段を講じています。燃料注入に数時間かかる液体燃料型のミサイルだとしても、発射地点や兆候を把握するのはまず無理です。さらに、今回、北朝鮮が発射したミサイルは固体燃料型だった可能性が指摘されている。固体燃料型は発射準備が不要で、撃とうと思えばすぐに撃てる。事前に察知するなど、ほぼ不可能。『敵基地攻撃能力』は、あまりに前時代的な発想です」
仮に「着手」を事前に察知できたとしても、日本に向けられたものか分からないうちに攻撃すれば、国際法違反の「先制攻撃」とみなされる恐れがある。真珠湾攻撃と同じことになる。岸田政権は本気でやれると思っているのか。
世界3位の軍事大国に
岸田首相のやっていることは、ほとんど安倍元首相と変わらない。
月刊誌「選択」(3月号)は、〈岸田の本性は「タカ派の軍事好き」〉と報じているが、まさにその通りじゃないか。
実際、岸田政権の軍拡路線は安倍政権以上だ。いきなり防衛費を倍増している。
昨年末、海上自衛隊トップの自衛艦隊司令官を務めた香田洋二氏は、朝日新聞のインタビューで防衛費倍増について〈身の丈を超えている〉と驚いていた。〈当時の私だったら、いきなりそんなに増やせと言われても、新たな事業を短期間で出せなかったんじゃないかと思う規模です〉とも言っていた。
岸田政権が従来のGDP比1%から2%への「倍増ありき」で決めてしまったから、現場は何を買えばいいのか思いつかないほどということだ。
平和国家・日本の形はガラリと変わってしまうに違いない。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。
「防衛費をGDP比2%に引き上げると、日本はアメリカ、中国に次ぐ世界3位の軍事大国になってしまう。また、敵基地攻撃能力の保有、攻撃的兵器である巡航ミサイル『トマホーク』を持つということは、戦後日本が堅持してきた専守防衛を完全に捨て去ることになります。このまま岸田政権を放っておけば、気づいたら、いつか来た道になりかねない。ミサイルの迎撃や敵基地攻撃が可能なのかどうかも検討せず、予算だけを計上しているのだから、軍拡のために軍拡しているようなものです。メディアは徹底的に追及すべきです」
“軍拡世論誘導政権”の怪しい警報に、国民は騙されてはいけない。
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