http://www.asyura2.com/23/senkyo290/msg/121.html
Tweet |
※紙面抜粋
※2023年4月13日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
今やウルトラタカ派(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
衆院4選挙区の補欠選挙が11日、告示され、既に選挙戦が始まっている参院大分選挙区補選とともに23日に投開票される。
衆院補選は、政治資金規正法違反事件で薗浦元衆院議員=自民離党=が議員辞職した千葉5区、岸本元衆院議員=国民離党=の和歌山県知事転身を受けた和歌山1区、岸前防衛相の議員辞職による山口2区、昨夏の参院選応援演説中に銃撃された安倍元首相の死去に伴う山口4区でそれぞれ行われ、与野党とも次期衆院選への弾みをつけようと総力戦を展開中だ。
5戦全勝を目指す自民党に対し、野党の立憲民主党は衆院千葉5区と参院大分、日本維新の会は衆院和歌山1区を重点選挙区と位置づけ、幹部らが応援演説に入る予定。
この選挙が終わり、通常であれば、向こう2年間は選挙がない。それだけにこの衆参5補選の結果は重要だ。
9日に投開票された統一地方選の前半戦で、自民党は41道府県議選(総定数2260)で過半数を確保したが、補選でも勢いを保つような結果となれば、岸田暴政にお墨付きを与えることになりかねない。そんな事態になれば安倍・菅政権の「悪夢」再来どころではない。良識ある日本国民であれば、それこそ身震いするような恐ろしい時代を迎えることになるのだ。
テレビは衆参補選よりも大谷翔平ばかり
防衛増税に少子化対策、原発回帰……。岸田の愚策を挙げればきりがないが、とりわけ最悪なのが、岸田が「防衛力強化」に前のめりになっていることだ。今月4日の衆院本会議で、岸田は外交や防衛の指針となる「国家安全保障戦略」、防衛の目標や達成する方法を示した「国家防衛戦略」、自衛隊の体制や2023年度から5年間で防衛費を総額43兆円に増額するとした「防衛力整備計画」の安保関連3文書について説明。さらに15年に当時の安倍政権下で決まった集団的自衛権の行使容認を踏まえ、他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有まで踏み込んだのだ。
すでに23年度予算では米国製巡航ミサイル「トマホーク」を400発分取得するための費用として2113億円を計上しているが、これら一連の動きはどう見ても、戦後の日本が築き上げてきた「専守防衛の堅持」「平和国家」としての歩みを逸脱するもの。いわば、軍拡戦時体制に逆戻りする準備と言っていい。
亡国の首相が「国の形」を勝手に変えようとシャカリキになっている中、それを押しとどめるための重大な選挙が今度の補選なのだ。それなのに大マスコミは<政権の実績が問われる総力戦>(読売新聞)、<補選 次期衆院選へ試金石>(朝日新聞)などと、総じて表層的な選挙情勢をタレ流しているだけで、重大争点をてんで報じていないに等しい。テレビに至ってはどのチャンネルを見ても大リーグ・エンゼルスの大谷翔平の話題ばかり。これでは視聴者の多くは、衆参5補選はもちろん、統一地方選(後半戦)の真っ最中であることすら忘れているのではないか。
元NHK政治部記者の川崎泰資氏がこう言う。
「まったく情けない限り。これではメディアが政治家になめられるのも当然です。政治報道はふだんも少ないが、有権者の意思を示す最大のイベントである選挙でさらに報道を減らしてどうするのか。ジャーナリズムとしての役割を完全に放棄しています」
民主主義が腐る始まりはメディアから
<心からの軽蔑をあなた方に送ります。>
今月2日、SNS上である引用ツイートが提示され、こんな呆れた声が拡散した。引用されたのは「朝日新聞官邸クラブ」と題したツイッターが投稿した、ゴルフを楽しむ岸田の姿を映した動画付きのツイートだ。
<岸田文雄首相は、最初のホールでやや距離のあるパターを決めると、周囲から「おぉ〜」という声とともに拍手を浴びました。首相は笑顔で手を上げ、喜びをあらわにしていました>
「朝日新聞官邸クラブ」の記者といえば、かつては政治部の花形エリート集団。国内外の社会情勢に精通し、知見に優れ、政治家や権力と対峙し、健筆をふるう──。いわば「社会の木鐸」のようなイメージがあったものだが、今はすっかり様変わりしたらしい。
パターを決めて大ハシャギする岸田の様子を提灯記事のごとく取り上げる意味がサッパリ分からない。アカウントが乗っ取られたのか、あるいは成りすましであってほしいと願うが、仮にホンモノであれば批判精神はすっかり失われたと言っていいだろう。これを劣化と言わずに何と言うのか。
大メディアがこんな体たらくでは、衆参5補選が盛り上がらないのも無理はない。国際法で禁じられた先制攻撃にもなりかねない安全保障政策の大転換に関する議論が深まるわけがないだろう。
自民党と政府によるマスコミ支配
安倍政権以降、とどまるところを知らないメディアの劣化。その様子を間近に見てきた政治経済評論家で元経産官僚の古賀茂明氏は12日に「分断と凋落の日本」(発行・日刊現代、発売・講談社)と題した著書を出版。安倍政治を振り返った映画「妖怪の孫」のプロデューサーも務めた古賀氏は、著書でこう書いていた。
「極めて重要なのだが、マスコミが安倍派付度から抜けきれないのは、彼らも妖怪に支配されているからではないかということだ。特にテレビ局では過剰なまでの安倍派忖度があると聞く。安倍派の中でもマスコミ支配に熱心だった萩生田光一自民党政調会長を異様に恐れて『忖度』しているという話もよく聞く。統一教会問題の報道でも萩生田氏への厳しい追及があるべきなのに、実際にはほとんどスルーされたままであるのもその影響だろう。(略)忖度という行動パターンが何年も続いた結果、記者たちの問題認識能力自体が退化してしまったことも深刻な事態だ。面倒なことを避けるうちに、公開情報に隠される重大な問題に気づくことすらできなくなっているのだ」
「自民党と政府が一体となったマスコミ支配が完全に根付いてしまったことは、安倍的なものが支配するこの社会を固定化するリスクを示している。特に、政権や自民党の幹部が警告や脅しを政治部の番記者たちとの『オフレコ』懇談のメモという形で、各社首脳に伝える手法は、永続的な仕組みとして定着してしまったようだ」
なるほど、どうりで立憲民主党の小西議員が取り上げた放送法の解釈をめぐる総務省行政文書の問題でも、大手メディアは「自民党政権による言論弾圧」という本質には迫らず、小西の「サル発言」を執拗に取り上げ、権力と一緒になって袋叩きしていたわけだ。
批判を受け入れない幼稚な政権と、権力の顔色をうかがうだけのメディア。これでは日本社会がよくなるはずがない。
元琉球新報論説委員長で、沖縄国際大大学院の前泊博盛教授(安全保障論)がこう言う。
「選挙というのは、内政や外交などさまざまな政策課題を判断する政治家を有権者が選択する唯一の手段ですが、今は選挙報道が少なく、候補者を判断する選択肢もほとんど示されない。これでは民意を示すことができないでしょう。選挙に向けてアジェンダセッティング(議題設定)するのはメディアの役割ですが、その能力も失ってしまった。その結果が今の硬直化した政治体制を生んでいるのです。(歴史を振り返れば)民主主義が腐る始まりはメディアからなのです」
このままメディアの翼賛体制が続いたら、戦前まっしぐら。大メディアの罪は極めて大きい。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK290掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK290掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。