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ウクライナ戦争の裏でエスカレートするEUの「難民問題」…ドイツの都市部はもはやどこの国なのかわからないカオス状態に/現代ビジネス
川口 マーン 惠美 の意見
https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E6%88%A6%E4%BA%89%E3%81%AE%E8%A3%8F%E3%81%A7%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%99%E3%82%8Beu%E3%81%AE-%E9%9B%A3%E6%B0%91%E5%95%8F%E9%A1%8C-%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E3%81%AE%E9%83%BD%E5%B8%82%E9%83%A8%E3%81%AF%E3%82%82%E3%81%AF%E3%82%84%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%82%AB%E3%82%AA%E3%82%B9%E7%8A%B6%E6%85%8B%E3%81%AB/ar-AA1hL1lP?ocid=hpmsn&pc=EUPP_LCTE&cvid=f21a0103332f42acbd0489af2fb7e2e8&ei=12
ランペドゥーサ島を目指す難民たち
地中海の島、イタリアのランペドゥーサ島が大混乱に陥っている。この島は、シチリア島からは230kmで、チュニジアからは113km。つまり、どうにか辿り着けそうなEUの領土として、アフリカ難民の格好の目的地だ。そのため前々から、チュニジアがアフリカ難民の積み出し港のようになっている。
ただ、地中海はれっきとした外海なので、小さなボートでの出帆など危険すぎてあり得ない。実際に、独Statista(世界最大の統計データプラットフォーム)が把握しているだけでも、今年の初めから9月17日までに海の藻屑となった命が2340人。本当はもっと多いだろう。
難民は、自力でボートや小船を工面して海に漕ぎ出しているわけではなく、その裏には密航を斡旋している国際的犯罪組織が存在する。この“難民ビジネス”は、大した元手も要らず、麻薬の密輸などよりリスクも少なく、失敗しても返金義務もないということで、今や彼らの巨大な資金源だ。
いずれにせよ、難民のせいで過去に何度もニュースを賑わしてきたランペドゥーサ島だが、現在の混乱はおそらく最大級。人口5500人のこの島に、今年すでに13万人が来ており、9月の18日から20日までの3日間には、なんと8500人が199艘の粗末なボートで漂着した。EUでは現在、難民受け入れ条件の厳格化が検討されているため、駆け込み現象が起こっているとみられる。
しかも、今回はいささか様子が違う。これまで地中海では、難民救助に特化したNGOが大型船を駆使してはアフリカ沿岸で“遭難”している難民を救助し、何百人もまとめてイタリアやマルタに運んできていた。
この活動は、一方からは人命救助の尊い行動と称賛され、他方からは、犯罪組織と協働しているとか、難民が増える原因を作っているなどと非難されたが、いずれにせよ、イタリアやマルタにしてみれば迷惑な話だ。そこでここ数年は、NGO船は入港を拒まれ、難民を積んだまま行き場を無くすなどという事態が繰り返されていた。
ところが今回は、難民は粗末なボートでランペドゥーサ島まで続々と到達していた。いくら海が穏やかであったにしても、199艘のボートが100km以上を無事に航行し、3日の間に数珠繋ぎに到着するのは、やはり少々奇異だった。そのため、難民を運んできたNGO船が、ランペドゥーサ島の近くで彼らをボートに乗せて放しているのではないかという憶測まで流れた。
イタリアは以前より、これらNGOの活動に業を煮やしていたが、実はドイツ政府は、このNGOに、長年のあいだ補助金を出している。そこで、強く反発したイタリアのメローニ首相が、「資金援助をやめてくれ」とドイツ政府に書簡で要請したのが9月末。それに対し、ドイツのベアボック外相(緑の党)が、「人命救助に対する支援はやめない」と応酬。女二人の対立はエスカレートした。
その結果、28日、国境防衛強化についての採決が予定されていたEUの内相会議は拗れ、イタリア内相が突然ローマに帰ってしまった。かくしてEUの難民政策の刷新は進まず、今年は例年よりも気温が高いこともあって、難民は今もランペドゥーサ島を目指している。
大量の難民の庇護でドイツもパンク寸前
実は、難民ではち切れそうになっているのはドイツ国内も同じで、こちらは主にアフガニスタン、シリア、イラクなどの中東難民だ。今年の8月だけで1.5万人が、オーストリアやチェコの国境から陸路で違法に侵入した。
現ドイツの社民党政権内で強い力を持っているのは緑の党だが、彼らは今も、難民は全て受け入れるという党の基本方針に拘っているため、ドイツの国境ははっきり言って隙間だらけだ。(以下、略)
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