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イスラエル・パレスチナ 歴史的和平合意から30年/出川展恒・nhk
http://www.asyura2.com/23/kokusai33/msg/465.html
投稿者 仁王像 日時 2023 年 9 月 14 日 06:10:59: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

イスラエル・パレスチナ 歴史的和平合意から30年/出川展恒・nhk
2023年09月13日 (水)
出川 展恒 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/487542.html

今から30年前の1993年9月13日、イスラエルのラビン首相とPLO=パレスチナ解放機構のアラファト議長が、アメリカのホワイトハウスで、クリントン大統領立ち合いのもと、「パレスチナ暫定自治合意」に調印しました。歴史的と称賛されたこの和平合意は、敵対していたイスラエルとパレスチナが、平和的に共存することを目標としてきました。ところが、その後、双方とも和平に反対する勢力が台頭し、暴力の応酬が繰り返され、和平実現への歩みは途絶えてしまいました。中東で最も重要で、解決が難しいとされてきたパレスチナ問題。その解決を阻む要因とこの地域の将来を考えます。

■ノルウェーのオスロでの秘密交渉を経て成立し、通称「オスロ合意」とも呼ばれる「パレスチナ暫定自治合意」は、翌年、3人の立役者にノーベル平和賞が贈られるなど、世界の称賛の的でした。NHKは、エルサレムに支局を開き、私は初代の特派員として赴任しました。この合意の先には、パレスチナ人の独立国家の樹立、そして、イスラエルとアラブ・イスラム世界の和解が待っているという期待を胸に取材した日々を思い出します。

ところが先月、現地を訪問し、当事者や専門家に話を聞きますと、イスラエル側、パレスチナ側ともに、「オスロ合意は死んだ」、「復活の望みはない」などと述べていて、衝撃を受けました。

▼ヨシ・アルファー氏(イスラエル・テルアビブ大学戦略研究所 元所長)
「オスロ合意30周年なんて、もう誰も口にしない。この合意はすでに死んでしまったのだから」。

▼ガッサン・ハティブ氏(パレスチナ・ビルゼイト大学 副学長)
「オスロ合意が結ばれた30年前、パレスチナ人はこれで問題が解決すると、大きな期待を抱いたが、今は、とてつもなく失望している」。

この合意が目指した和平とは、敵対していたイスラエルとPLO=パレスチナ解放機構が相互に承認し、イスラエルが占領していたガザ地区とヨルダン川西岸地区で、パレスチナ人の暫定自治をスタートさせると同時に、双方が和平交渉を重ね、パレスチナ問題の最終的な解決を図るというものです。
双方の境界線、聖地エルサレムの帰属、パレスチナ難民の扱いなど、数々の難問を、話し合いで解決するプロセスです。明示はされていませんが、パレスチナ人の独立国家を樹立して、イスラエルと平和共存させること、すなわち、「2国家共存」が、その最終目標と認識されていたのです。

翌年、パレスチナ暫定自治が始まったものの、イスラエルとの和平に反対するイスラム主義組織「ハマス」などが、自爆テロなどを繰り返しました。イスラエルでも、95年、和平の立役者ラビン首相が、占領地からの撤退に反対する過激派のユダヤ教徒に暗殺されました。2000年には、アメリカの仲介で、首脳どうしの和平交渉が行われましたが、合意に至らず、決裂しました。そして、パレスチナ側の抗議行動が、双方の暴力の応酬に発展し、4千人を超える犠牲者が出ました。パレスチナ側では、ハマスが勢力をのばし、選挙で勝利。ガザ地区を武力で制圧し、暫定自治政府と対立、パレスチナは分裂します。イスラエル側では、右派勢力が政権を握り、占領地でユダヤ人入植地の拡大を加速させ、さらには、パレスチナ側の領土を侵食する形で、巨大な分離壁を建設。去年暮れには、極右政党が主要ポストを握る政権が発足しました。和平交渉は、この9年あまり、全く行われていません。
実は、ヨルダン川西岸地区のうち、パレスチナ人の自治が行われているのは、島のように点在する40%の土地だけです。残る60%には、イスラエルの入植地が130以上もつくられ、イスラエル軍の占領が続いています。ガザ地区は、全域をハマスが支配し、暫定自治政府の統治が及びません。イスラエル軍がフェンスで囲い込み、封鎖しています。

双方の専門家が、和平合意は死んだと言い切った理由ですが、パレスチナ側は、合意を結んだ後も、イスラエルが入植地の拡大を続けたため、パレスチナ国家となるべき領土が失われてしまったと指摘します。

▼ガッサン・ハティブ氏(パレスチナ人専門家)
「パレスチナ指導部にとって最大の誤りは、オスロ合意締結の際、イスラエルに入植地拡大の停止を約束させなかったことだ。入植地拡大が和平を死に追いやった」。

これに対し、イスラエル側は、パレスチナの指導者の行動が、和平に不可欠な信頼関係を失わせたと指摘します。

▼ヨシ・アルファー氏(イスラエル人専門家)
「パレスチナ側の自爆テロ攻撃が、イスラエル人の認識を根本的に変えた。アラファト議長は、イスラエルにテロの恐怖を与えれば、優位に立てると考えたようだ」。

■それでは、イスラエル・パレスチナの将来はどうなるのでしょうか。双方の専門家とも、「2国家共存」が実現しなければ、パレスチナ問題は永遠に解決しないと指摘しています。パレスチナ国家がつくられなければ、イスラエルによる占領が永遠に続くか、イスラエルという1つの国の中で、ユダヤ人とパレスチナ人、2つの民族が暮らすことになる。そこでは、必ず差別が起き、ユダヤ人がパレスチナ人を支配し、かつての南アフリカの「アパルトヘイト」のような状態に陥る。暴力の連鎖が続き、イスラエルは「民主国家」とは言えなくなる。こう危惧しているのです。

加えて、双方とも、深刻な内部対立を抱えています。パレスチナ側では、アッバス議長率いる暫定自治政府への信頼が失墜しています。イスラエルの占領を終わらせることができず、失業問題が深刻で、最低限の生活も送れません。ハマスとの分裂状態が16年も続いて、選挙も行われず、汚職もまん延しています。

一方、イスラエル側では、極右や宗教勢力が参加したネタニヤフ連立政権が、司法府の権限を大幅に弱める法整備を進めています。最高裁判所が、政府の決定などが法律上妥当かどうか審査する権限を奪うことや、最高裁の決定を、議会が過半数の賛成で覆せるようにすることなどで、自らの政権の維持がその狙いと見られます。これに対し、野党、法律家、市民、経済界などから、三権分立や民主主義を損なうものだとして、未曾有の規模の反対運動が、半年以上続いています。イスラエルの高名なジャーナリストは、「建国以来、最大の危機だ。政権側が対応を誤れば、内戦が起きるおそれも否定できない」と話していました。

■見てきましたように、パレスチナ問題の解決の見通しが全く立たないばかりか、むしろ遠のいてしまった現状は、嘆かわしい限りです。世論調査を見ますと、イスラエル人、パレスチナ人ともに、「2国家共存の目標を支持する」と答えた人の割合が減り続け、今では、それぞれ3分の1程度です。そして、アメリカも、以前と比べ、和平仲介への熱意を失っているように見えます。
しかし、パレスチナ問題を、未解決のまま放置するのは極めて危険です。暴力の連鎖を招き、中東のさまざまな紛争の火種となるからです。たとえば、イランがイスラエルを敵視しているのも、イスラエルがパレスチナの占領を続けていることが背景にあります。
30年前の和平合意を立て直すことは、もはや不可能だとすれば、それに代わる、新たな和平の枠組みが不可欠です。そのためには、双方の指導者を刷新し、有権者の意識を「和平支持」に変えてゆくことが必要です。非常に長い道のりですが、信頼醸成やパレスチナ人の生活支援など、国際社会に期待される役割も大きいと思います。  

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