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金正恩労働党委員長が9月10日からロシアを訪問、軍事を含め両国の関係強化へ
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2023.09.06 櫻井ジャーナル
アメリカは8月29日、日本と韓国を引き連れ、朝鮮半島沖で合同ミサイル防衛訓練を実施した。その前、8月18日にジョー・バイデン米大統領は韓国の尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相をキャンプ・デイビッドに招いて軍事問題について話し合い、その直後にアメリカ軍は自衛隊とオーストラリア軍を引き連れて南シナ海で洋上演習を、また韓国軍と乙支フリーダム・シールドをそれぞれ始めている。
それに対し、朝鮮の金正恩労働党委員長は9月10日から13日に開催が予定されているEEF(東方経済フォーラム)に出席するため、ロシアのウラジオストクを訪問すると伝えられている。ウラジミル・プーチン政権は朝鮮との関係を強めつつあり、7月25日にはセルゲイ・ショイグ国防相に率いられたロシアの軍事代表団が朝鮮を訪問、中国の代表団と合流して朝鮮戦争終結を記念する戦勝記念日の行事に出席していた。この3カ国は今後、軍事的なつながりも強めそうだ。
このように現在、東アジアの軍事的な緊張が高まっているのだが、その切っ掛けを作ったのは菅直人政権にほかならない。2010年6月に発足した菅内閣は尖閣諸島に関する質問主意書への答弁で「解決すべき領有権の問題は存在しない」と主張、同年9月に海上保安庁は尖閣諸島付近で操業していた中国の漁船を取り締まり、漁船の船長を逮捕している。
1972年9月に田中角栄と周恩来が日中共同声明に調印しているが、その際、尖閣諸島の問題を「棚上げ」にすることで合意している。その合意を破ったのだ。その時に国土交通大臣だった前原誠司はその月のうちに外務大臣になり、10月には衆議院安全保障委員会で「棚上げ論について中国と合意したという事実はございません」と答えているが、これは事実に反している。
昨年8月2日にはアメリカの下院議長だったナンシー・ペロシが突如台湾を訪問、「ひとつの中国」政策を行動で否定した。1972年2月に大統領だったリチャード・ニクソンが北京で中国を「唯一の正当な政府」と認めたところから始まったアメリカと中国の友好的な関係を傷つける行為にほかならない。
軍事的な緊張が高まる東アジアで最も好戦的な姿勢を見せている国は日本だろう。自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島にも作り、23年には石垣島でも完成させている。
アメリカの国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書によると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけだと考えている。
その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにする。そしてASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたという。
日本は軍事拠点を作るだけでなく、高性能兵器の開発にも乗り出していると伝えられている。例えばアメリカと共同で音速の5倍以上で侵入してくるHGV(極超音速滑空体)を迎撃するミサイル技術の研究開発を考え、昨年7月24日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所で迎撃ミサイルに必要な速度に到達することが可能だとされるエンジンの飛行試験を初めて実施した。
極超音速で飛行するミサイル自体も研究だと言われ、HGVではなくエンジンによって推進力を得る極超音速巡航ミサイル(HCM)の開発を目指しているという。2026年には九州や北海道の島々へ配備したいようだ。
日本政府は国産で陸上自衛隊に配備されている「12式地対艦誘導弾」の射程を現在の百数十キロメートルから1000キロメートル程度に伸ばし、艦艇や戦闘機からも発射できるよう改良を進めていると昨年8月に伝えられているが、その背景にアメリカのGBIRM計画があった。
日本は射程距離が3000キロメートル程度のミサイルを開発し、2030年代の半ばまでに北海道へ配備する計画だとも伝えられている。それが実現するとカムチャツカ半島も射程圏内だ。
こうした当初の計画では準備が間に合わない事情がアメリカに生じ、トマホークを購入することにしたのだろう。それだけ事態は逼迫しているということになる。
バイデン政権が東アジアで軍事的な緊張を高めている理由のひとつはウクライナにおける戦いでアメリカ/NATO軍がロシア軍に負けたという事実がある。
ウクライナにおける戦闘でアメリカ/NATOに支援されたクーデター体制軍が負けることは明らかで、有力メディアと使って「ウクライナが勝つ」と宣伝してきたジョー・バイデン政権の求心力は衰えてきた。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のスポンサーだったイホル・コロモイスキーが最近、逮捕された。ゼレンスキーにはイギリスの情報機関MI6という後ろ盾が存在しているが、ここにきて反ロシアのネオ・ナチが暴走気味だ。
ゼレンスキー政権が今年6月4日に「反転攻勢」を始めるが、戦況を考えれば、この作戦が成功するはずはなく、予想通りに失敗した。その事実をアメリカの有力紙も認めざるをえなくなっている。例えばワシントン・ポスト紙は自分たちが宣伝していた「反転攻勢」で進展はないことを認めた。
武器弾薬が枯渇、兵士も足りないことからアメリカ/NATOはウクライナ軍に無謀な突撃を繰り返す「玉砕戦法」を命令、ロシア軍を疲弊させ、その上で温存していた「精鋭部隊」を投入するつもりだったようだが、そうした状況を作れないまま「精鋭部隊」を使わざるを得なくなっているとも言われている。その精鋭部隊もすでに殲滅された。第2次世界大戦終盤の日本軍を見ているようだ。
バイデン政権を担いでいるネオコンをはじめとする勢力が危機感を強めているもうひとつの理由はBRICSの影響力が拡大していることにあるだろう。アメリカがロシアや中国に負けていることを理解している世界の国々は、これ以上アメリカの理不尽な要求を受け入れたくないと考えている可能性がある。
ニジェールでフランスの傀儡政権がクーデターで倒された後、クーデターを実行したリーダーのひとりで国土防衛国民評議会の副議長を務めているサリフー・ムーディー師団将軍はマリを訪れた際にワグナー・グループの幹部と会い、支援を要請したと伝えられた。
同グループを率いていたエフゲニー・プリゴジンは8月23日、モスクワからサンクトペテルブルグへエンブラエル・レガシー600で向かう。その途中、その飛行機が墜落して死亡したとされている。
8月21日から24日にかけてBRICSの年次総会が南アフリカのヨハネスブルグでは開かれ、金融問題が議論されていた。その会議にウラジミル・プーチンが参加することをアメリカは妨害したが、ビデオリンクで参加して重要なメッセージを発信していた。基軸通貨を発行する特権を利用して世界を支配してきたアメリカにとって、自らの支配システムを揺るがす事態が進展しているのだ。
ウクライナでの戦闘でロシアを経済的に攻撃するため、アメリカは自分たちが管理している金融システムを利用した。そうした攻撃に対する対策を立てていたロシアは大きなダメージを受けなかったが、アメリカに対する世界の信頼度は大きく低下している。昨年以降、BRICSへの関心は爆発的に高まったという。アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦がBRICSに正式に加盟することを会議の主催者である南アフリカ共和国のシリル・ラマフォサ大統領は発表した。
こうした会議が開かれている日にプーチンがプリゴジンを暗殺することはありそうにない。
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