http://www.asyura2.com/23/kokusai33/msg/324.html
Tweet |
語られない「台湾有事」ロシアの重要な立ち位置 中国に「引き摺り込まれる」可能性もある/ 東洋経済オンライン
ジェームズ・ブラウン によるストーリー •
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E8%AA%9E%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84-%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E6%9C%89%E4%BA%8B-%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%AE%E9%87%8D%E8%A6%81%E3%81%AA%E7%AB%8B%E3%81%A1%E4%BD%8D%E7%BD%AE-%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AB-%E5%BC%95%E3%81%8D%E6%91%BA%E3%82%8A%E8%BE%BC%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%82%8B-%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7%E3%82%82%E3%81%82%E3%82%8B/ar-AA1eSzUj?ocid=msedgdhp&pc=U531&cvid=43c429ead2404575990f6de0fd85d389&ei=18
台湾有事が議論される際にロシアの名前が挙がるのはめずらしいことではない。2022年2月にロシアがウクライナを侵攻して以来、西側と日本の専門家の多くは、中国が台湾に対して同様の”暴力的行動”を取るかどうかを検討してきた。
ロシアによるウクライナ侵攻は、台湾に対する中国の行動についていくつかの教訓を与えている。しかし、ロシアは別の点でも台湾有事に関連している。ロシアは中国との緊密なパートナーシップにより、台湾有事に直接巻き込まれる可能性もある。中国による台湾への軍事侵攻を研究するほとんどのシミュレーションでは、ロシアの役割は考慮されていない。これは見落としだ。
ますます緊密になっている露中関係
ロシアと中国の関係は、ほぼ四半世紀にわたって着実に緊密になってきている。転機となったのは、1989年のミハイル・ゴルバチョフソ連共産党書記長(当時)の中国訪問だった。
この首脳会議は、冷戦時代の共産主義大国間の緊迫を終わらせた。ソ連崩壊後、ロシアと中国は1996年に戦略的パートナーシップを発表。2001年に中露善隣友好協力条約に署名し、2004年には二国間領土問題を解決した。
ロシアのウクライナ侵攻により、この傾向は加速した。2014年のクリミア併合の結果、ロシアは西側諸国から孤立し、結果的にロシアの中国への政治的、経済的依存は増大した。
この傾向の「頂点」は、2022年2月のプーチン大統領の北京訪問だった。首脳会談では、プーチン大統領と習近平国家主席は「ロシアと中国の関係は冷戦時代の政治的・軍事的同盟よりも優れている」という主張を盛り込んだ共同声明に署名した。声明はさらに、「両国間の友好は無限であり、協力の禁止された分野はない」とも述べている。
日本を含む地域諸国にとって最も懸念される点は、中国とロシアの軍事協力の深化である。ロシアと中国は2005年に初の軍事演習を実施し、その後 20年間で演習の規模は着実に拡大し、頻度も増加してきた。さらに近年両国は、演習中の共同作戦を促進するため、臨時の合同司令部を立ち上げるようになった。
過去にロシア政府は、中国への最先端兵器の販売を拒否した。しかしクリミア併合後、ロシアは心変わりし、S-400対空ミサイルとSU-35戦闘機の中国への輸出に同意。現在、ロシアと中国はいくつかの共同軍事生産プロジェクトを進めているが、この中には重量物輸送ヘリコプターと通常動力潜水艦の共同開発が含まれる。
また、両国は人工知能と宇宙の分野でも協力しており、ロシアはさらに、中国の弾道ミサイル発射を検知する早期警戒システムの開発を支援しており、これにより中国の核抑止力が強化される。
ロシアの対台立場
ロシア政府の台湾に対する立場は単純かつ首尾一貫している。中華人民共和国を最初に正式に承認した国はソビエト連邦だった。これは中華人民共和国が設立された翌日の 1949年10月2日のことだ。10月3日、ソ連は台湾に逃げた中華民国政権との中ソ友好同盟条約を破り、関係を全部断った。1950年代、ロシア政府はアメリカ軍全員の台湾からの撤退を求めた。
ソ連崩壊後、ロシア政府は「1つの中国」という政策を維持した。ロシア連邦の正式な立場によれば、中華人民共和国政府は中国を代表する唯一の合法的な政府であり、台湾は中国の不可欠な一部である。さらにロシアは、2005年に中国政府が導入した反分裂国家法への支持を表明した。この法律は、中国政府が台湾の独立を阻止するために非平和的手段を用いることを認めている。
2022年2月の露中共同声明ではロシアの中国政府への支持を改めて表明しており、この文書では、ロシアと中国は「核心的利益の保護のための強力な相互支援を再確認する」と述べている。中国政府にとって、台湾より重要な核心的利益はない。
ロシアと台湾の関係はけっして温かいものではなかったが、ウクライナ侵攻以降、さらに冷え込んだ。台湾政府はウクライナ侵攻直後、経済制裁を導入し、ロシアが半導体を含む台湾の先端技術を軍事目的で使用することを防いでいる。ロシア政府は報復として台湾を非友好国・地域のリストに加えた。
また、2023年7月には、台湾政府が最近退役したホーク地対空ミサイルをアメリカに売り返す意向であると報じられた。その後、アメリカはこの兵器をウクライナに供与することになる。台湾のコメンテーターで元政治家の郭正亮氏は、もしこれらのミサイルがロシア航空機を撃墜すれば、ロシアは台湾に対して報復しようとするだろうと警告した。
消極的なアシスタント?
中国が本当に台湾を侵攻した場合、ロシアは中国にとって有益な軍事力を持っている。ロシア陸軍はウクライナ戦争によって大幅に弱体化したが、ロシア空軍と海軍は比較的影響を受けていない。
理論的には、ロシアの飛行機や艦艇が侵攻の第一段階となる台湾への大規模攻撃に参加する可能性がある。この最初の攻撃の目的は、台湾の防衛能力を破壊し、中国の水陸両用強襲部隊に道を開くことである。
2019年、中国とロシアの爆撃機が日本海と東シナ海の上で定期的な共同飛行を開始した。6回目となる最新の共同飛行は今年6月に行われた。ロシアと中国の海軍も東アジアで頻繁に演習を実施している。
例えば、ロシアの太平洋艦隊は、7月20日に日本海で始まった中国主導の演習に艦船と航空機を派遣。中国国防省によると、この演習は「さまざまな安全保障上のチャレンジに対処する際に、地域の平和と安定を共同で守る両国の能力を強化する」ことを目的としている。
6月下旬にはロシア海軍のフリゲート艦2隻が、台湾と日本の与那国島の間の海峡を通過した。中国の李尚福国防相は、4月にモスクワを訪問した際、プーチン大統領がロシアの太平洋艦隊について「艦隊の個々の部隊は確かにあらゆる方向の紛争に使用される可能性がある」と述べている。
プーチン政権は、ロシアが中国にとって重要なパートナーであり、インド太平洋地域にも影響力を持っていることを示したいのだろう。だが、実際にはロシアが中国に加勢する可能性は高くない。これは軍事的な問題ではなく、政治的意思の欠如によるものだ。
台湾有事はロシアにとって「いい流れ」
とはいえ、ロシアでは多くの政治アナリストが、台湾有事はロシアにとって「いい流れになる」と考えている。中国が侵攻すれば、世界の注目はウクライナから台湾に移るだろう。
特に、アメリカが台湾の防衛に時間と軍事資源を追加で割り当てなければならない場合、ウクライナに対するアメリカの支援は減少するだろうとの望みがある。西側兵器の供給が減れば、ウクライナ政府はロシアによるウクライナ領土の占領を認める和平協定の受け入れを余儀なくされる可能性がある。
ロシアは台湾有事に直接関与しなくてもこの利点を享受できる。したがって、ロシア政府が積極的に軍事参加したい理由はない。ロシアと中国は同盟国ではないため、中国本土が攻撃されてもロシアが助ける必要はない。そしてもちろん、ロシア軍はウクライナでの「特別軍事作戦」が続くのと同時にもう1つの戦争に巻き込まれることを望んでいない。
したがって、中国が台湾に侵攻した場合、ロシア政府は傍観し、正式には中立の立場を取るつもりだろう。ロシアはある程度の外交的支持を表明し、国連で中国の侵攻を批判しようとする西側の姿勢に対抗すると思われる。
今の中国と同じ「スタンス」に
プーチン政権は、戦争がアメリカによって引き起こされたという中国のプロパガンダを繰り返すだろう。また、自らを責任ある国際プレーヤーであるというイメージを作るよう試み、中国に有利な場合でも即時停戦を要求するのではないか。言い換えれば、台湾危機に対してロシア政府が取りたい立場は、ウクライナ戦争に対する中国の立場と同様になるにと予想される。
しかし、中国はロシアに対して、はるかに大きな影響力を持っている。ウクライナ侵攻開始後、プーチン政権は中国に対し武器供与などのより直接的な支援を求めていたが、ロシアには中国に政策変更を強制するほどの影響力がなかった。
近年、西側諸国から孤立するロシアは、中国への依存度を着実に高めている。中国はロシアにとって最も重要な経済パートナーである。2022年には中国がロシアの輸出の30%、ロシアの輸入の40%を占めた。第2次世界大戦後はソ連が「兄」の役割を果たしたが、現在、ロシアの立場は中国よりはるかに弱い。
これまで中国政府はロシアを同等の地位の国として扱い、より大きな影響力をあまり行使していない。台湾危機の場合はこれが変わるだろう。たとえロシアが参加したくなくとも、中国は経済的圧力を利用してロシア政府に中国を支援する行動をとらせるだろう。
最も可能性の高いシナリオは、台湾侵攻と同時に、中国がロシアに日本の北方への軍事行動をとるよう圧力をかけるというものだ。
これには大規模な軍事演習やミサイル発射も含まれるだろう。ロシアの軍用機や軍艦が日本の領空や領海に侵入する可能性がある。ロシアが日本の民間船を沈没させる可能性さえ排除できない。もちろん、ロシア政府は同船がロシア領海に不法侵入したと主張するだろう。
これはロシアの台湾攻撃を意味するものではないが、こうした行動は中国にとって非常に重要となる。中国の台湾侵攻の成否は、双方が展開できる船舶、潜水艦、航空機の数に依存する。
中国の侵攻を確実に「失敗」させるには
中国の侵攻を確実に食い止めるには、台湾、アメリカの軍隊は、中国が台湾に主要な橋頭堡を築く前に、中国の侵攻艦隊を破壊しなければならない。
日本の自衛隊もこの紛争で重要な役割を果たす。台湾侵攻時、中国は日本周辺でアメリカ軍の艦艇や航空機を攻撃し、在日基地をミサイル攻撃する可能性がとても高く、日本の直接参加は避けられなくなる。しかし、ロシアの挑発に応じて一部の艦艇や航空機が北方に派遣された場合、中国の侵攻艦隊を破壊する目的の達成はさらに困難になる。
重要な点は、たとえプーチン政権が台湾有事にかかわりたくないとしても、ロシアが中国のアシスタントになる可能性があるということだ。ロシアの役割は台湾有事の結末に決定的な影響を与える可能性があるため、中国侵攻のシミュレーションの中でロシアの潜在的な役割も適切に研究することが不可欠である。
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。