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2023.07.11
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202307110000/
クラスター爆弾
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権はアメリカ/NATOから供給された戦車などをロシア軍が築いた防衛線へ突入させた。防衛線は二重、三重で、戦車の走行を妨害する障害物、監視施設、砲兵による支援などで構成され、航空兵力も強力だ。それに対してウクライナ軍は航空兵力による支援がなく、武器弾薬も不足している。
そこでアメリカのジョー・バイデン政権はウクライナへクラスター爆弾を供給することにしたのだが、イギリス、カナダ、スペイン、ドイツを含むNATO加盟国は反対、内部対立が表面化した。イギリスのリシ・スナク政権は劣化ウラン弾をすでにウクライナへ提供しているが、クラスター爆弾の提供には反対したようだ。
クラスター爆弾は昨年3月にドネツクで使われている。2014年2月のクーデターで成立した体制を拒否、抵抗を続けていた地域だ。ロシアのウラジミル・プーチン大統領は2022年2月22日にドネツクやルガンスクの独立を承認、24日からミサイルなどで攻撃を開始、航空基地や生物兵器研究開発施設などを破壊したと言われている。
その直前、2022年2月17日にウクライナ側からドンバスへの攻撃が激しくなり、18日、19日とエスカレートしているとOSCE(欧州安全保障協力機構)は報告していた。その段階でドンバス周辺にはウクライナ軍だけでなく、ネオ・ナチで編成された内務省の親衛隊、アメリカやイギリスの特殊部隊、あるいは外国人傭兵も集結していた。そうした部隊をロシア軍は壊滅させてしまった。
停戦交渉
そこで、ゼレンスキー政権はロシア政府と停戦交渉を始める。まずイスラエルのナフタリ・ベネットが仲介役になった。
その交渉で両国は条件面でほぼ合意している。3月5日にベネットはモスクワでプーチンと数時間にわたって会談、ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけた。その足でベネットはドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会っている。
ところが、その3月5日にウクライナの治安機関SBU(事実上CIAの下部機関)のメンバーはキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームに加わっていたデニス・キリーエフを射殺した。キリーエフを殺害することでアメリカ政府は停戦を許さないという姿勢を示したと言える。
ベネットによると、恐怖から掩蔽壕に隠れていたゼレンスキーはロシア政府がゼレンスキーを殺害しないと保証したことを確認した2時間後にゼレンスキーはオフィスで「私は恐れない」と宣言したという。
停戦交渉はトルコ政府の仲介でも行われた。アフリカ各国のリーダーで構成される代表団がロシアのサンクトペテルブルクを訪問、ウラジミル・プーチン大統領と6月17日に会談しているが、その際、プーチン大統領は「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案を示している。その文書にはウクライナ代表団の署名があった。つまりウクライナ政府も停戦に合意していたのだ。
停戦交渉の進展でロシア軍はウクライナ政府との約束通りにキエフ周辺から撤退を開始、3月30日にはブチャから撤退を完了した。31日にはブチャのアナトリー・フェドルク市長がフェイスブックで喜びを伝えているが、虐殺の話は出ていない。
ところが、ウクライナ政府は停戦合意を破棄する。破棄させたのはアメリカ政府やイギリス政府だ。合意を潰すため、西側の有力メディアは4月に入ると西側の有力メディアはロシア軍がブチャで住民を虐殺したと宣伝し始めるが、マクサー・テクノロジーズなる会社から提供された写真の分析などからキエフ政権の親衛隊が殺害した可能性が高いと言われている。
そうした中、4月9日にボリス・ジョンソン英首相はキエフへ乗り込んでロシアとの停戦交渉を止めるように命令。4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めている。そこからウクライナでの戦闘でロシア軍と戦う相手はNATOへと移っていく。
回収された文書によると、アメリカ/NATOはドンバスへ軍事侵攻を昨年3月から始める計画を立てていた。2014年2月にクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した直後からドンバスで内戦が始まるが、クーデター政権は劣勢。そこでそこで結ばれたのがミンスク合意だ。
時間稼ぎ
ドイツやフランスが仲介して成立したのだが、アンゲラ・メルケル元独首相は昨年12月7日にツァイトのインタビューでミンスク合意は軍事力を強化するための時間稼ぎだったと認め、その直後にフランソワ・オランド元仏大統領はメルケルの発言を事実だと語っている。ゼレンスキー政権だけでなく、ドイツもフランスも端からミンスク合意を守るつもりはなかった。勿論、アメリカもだ。「ミンスク合意を誠実に履行していれば」という前提の話は無意味である。
その後、8年をかけてアメリカ/NATOはクーデター政権に兵器を供給、兵士を訓練、ドンバスの周辺に要塞線を築いた。アゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)が拠点にしていたマリウポリや岩塩の採掘場があるソレダルの要塞は特に有名だ。ここにはソ連時代、核戦争に備えて地下施設が建設されていたという。
ロシア軍の攻撃は始まった直後にウクライナ軍の敗北は決定的だと見られていたが、停戦交渉をアメリカ/NATOは許さない。そうした中、3月14日にドネツクの上空でクラスター弾を搭載したウクライナ軍のミサイルが撃墜され、市民20人が死亡、36人が負傷しているのだが、西側は沈黙していた。ウクライナの問題に限らないが、国連も役に立たない。
米国と国連
バラク・オバマ政権は2013年11月にキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)でカーニバル的な集会が始め、参加者を集めた上でネオ・ナチを動かした。
この混乱をEUは話し合いで解決しようとしていたが、暴力を使おうとしていたビクトリア・ヌランド国務次官補は怒る。ウクライナ駐在のアメリカ大使だったジェオフリー・パイアットとクーデター後の閣僚人事について電話で相談している際、彼女は「EUなんかくそくらえ」と口にした。
この会話の中でヌランドは「今朝、ジェフ・フェルトマンと話した際、新しい国連のヤツの名前を聞いたわ。ロバート・セリーよ。」と口にしている。
セリーはオランダの外交官で、2007年から15年まで国連の中東和平プロセス特別調整官などを務めているが、問題はフェルトマン。2012年7月から18年4月まで国連の事務次長を務めた人物だ。
フェルトマンは1991年から93年にかけてローレンス・イーグルバーガー国務副長官の下で東/中央ヨーロッパを担当、ユーゴスラビア解体に関与したと言われている。NATO軍は1999年3月から6月にかけてユーゴスラビアを空爆、破壊した。2004年から08年にかけてフェルトマンは駐レバノン大使を務め、09年から国務省で近東担当次官補を担当している。
2005年2月にレバノンでラフィク・ハリリ元首相が殺害されている。西側の有力メディアは暗殺の背後にシリアがいると宣伝、この年の10月に国連国際独立委員会のデトレフ・メーリス調査官は「シリアやレバノンの情報機関が殺害計画を知らなかったとは想像できない」と主張し、「シリア犯行説」に基づく報告書を安保理に提出している。イスラエルやアメリカの情報機関が殺害計画を知らなかったとは想像できないと彼は考えなかったようだ。
アーマド・アブアダスなる人物が「自爆攻撃を実行する」と宣言する様子を撮影したビデオをアルジャジーラは放送したが、これをメーリスは無視。アブアダスが途中で自爆攻撃を拒否したため、シリア当局に殺されたとズヒル・イブン・モハメド・サイド・サディクなる人物は主張している。
爆破現場を撮影した写真が存在するのだが、そこには深いクレーターがあり、自動車による自爆テロでなかったことを示している。ハリリの死体を見ると、金製の腕時計は溶けているのだが、シャツの襟は残っている。体もあまり炭化していない。体がバラバラになっているわけでもない。金の時計を溶かすほど高温になったが、その際に無酸素状態を作り出したと見られている。
ハリリが乗っていた装甲車両に同乗、負傷してフランスの軍事病院で治療を受けたバッセル・フレイハンから濃縮ウランが検出されたと伝えられている。
イスラエルがレバノンへ軍事侵攻した直後、ウルスター大学のクリストファー・バスビー教授はレバノンで濃縮ウランを見つけたという。核物質が利用された武器、例えば数十センチ程度の長さのミサイルが暗殺に使われた可能性があるのだ。当時、そうした兵器を保有していたのはドイツだけだったと考えられている。
事件の調査を任されたメーリスはドイツ人で、ドイツだけでなくアメリカの情報機関との緊密な関係にあると言われている。検察官としてアメリカやイスラエルの関与をもみ消すこともしていたという。2000年代の前半にはWINEP(近東政策ワシントン研究所)の研究員になっているが、この研究所はイスラエルロビーのAIPACと関係が深いことで知られている。
そのメーリスの調査が杜撰だということが明確になり、彼は2006年1月に辞任した。彼の重要証人だったフッサム・タヘル・フッサムはシリア関与に関する証言を取り消し、レバノン当局の人間に誘拐されて拷問を受け、そのうえでシリア関与の証言をすれば130万ドルを提供すると持ちかけられたと話している。それ以外にも証言の信頼度が低いことが明らかになり、責任を取らざるをえなくなったのだろう。
そして設置されたのがレバノン特別法廷(STL)。2007年のことだ。STLは国連の機関ではなく、年間85億円程度だという運営資金はサウジアラビア、アメリカ、フランス、イギリス、レバノンなどが出している。
この法廷ではメーリスの主張に基づき、ヒズボラに所属するという4名が起訴された。それに対し、イスラエルの無人機(ドローン)がハリリの動きを監視していたことを示すとされる映像をヒズボラは2010年に公開している。
「紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表」のプラミラ・パッテンはマリウポリでロシア兵が女性に対して性的な犯罪行為を「軍事戦略」として行なっていたと発言していた。パッテンはリビアを侵略するときに使われたバイアグラに関する作り話を使い回していたのだが、リビアの話は嘘だった。
マリウポリはネオ・ナチで編成された親衛隊のアゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)が拠点にしていた場所で、昨年4月中旬にロシア軍がマリウポリを解放した際、住民は異口同音に逆のことを話していた。親衛隊による残虐行為を批判していた。
パッテンは自身の発言についてAFPの記者に証拠が示されていないと指摘され、自分はニューヨークのオフィスにいて調査はしていないと開き直っている。国連とはその程度の代物にすぎないということだ。
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