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米国の「独立記念日」に米国の凋落を示す出来事
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202307070000/
2023.07.07 櫻井ジャーナル
アメリカでは7月4日を「独立記念日」と定めている。「アメリカ・インディアン」と呼ばれる先住民を虐殺、土地を奪い、奴隷を使うことを肯定する人びとが「独立」を宣言した日だという。奴隷はアフリカのみから連れてこられたわけではない。ヨーロッパやアジアからも連れてこられている。
SCO
その7月4日にSCO(上海協力機構)の首脳会議が開かれ、イランが正式に加盟した。ロシア、中国、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタンの5カ国でスタート、その後ウズベキスタン、インド、パキスタン、そしてイランが9番目の加盟国になったわけだ。さらにモンゴル、アフガニスタン、ベラルーシがオブザーバーになっている。ここにきて注目されているのは中東諸国が興味を示していること。エジプト、カタール、サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦だ。経済的なつながりは安定をもたらす。
第2次世界大戦後、世界の経済はアメリカが発行するドルを基軸通貨として動いてきた。当初、金1オンス35ドルとされたが、1971年8月にリチャード・ニクソン政権がドルと金の交換を停止すると発表、変動相場制に移行したが、ドルが中心にあることに変化はなかった。このシステムはアメリカにとって極めて有利で、アメリカによる世界支配の柱とも言えるが、その支配体制が揺らいでいる。
支配体制の揺らぎを抑えようとアメリカの支配層はドルを武器として使い始めた。通貨戦争を仕掛け、預金口座の封鎖も行っている。ドルは信用できなくなった。そうした中、新たな金融システムがロシアと中国を軸に生まれつつある。そのシステムはSCOやBRICSと深く結びついているのだ。
アメリカにとってドルは他国を脅し、破壊できる有効な武器であることは確かだが、その武器を公然と使い始めた結果、ドルは警戒され、拒絶され始めた。支配体制の崩壊を早めているとも言える。
モスクワ攻撃
同じ7月4日にモスクワの空港が5機のドローン(無人機)に攻撃された。4機は防空軍によって撃墜され、1機はECM(電子対抗手段)で無力化されたようだ。
ロシア側の認識は、アメリカ/NATOの助けなしにこうした攻撃は不可能だというもの。キエフ政権にドローンを提供、その操縦技術を訓練し、民間衛星や軍事衛星の助けを借りて得られた地表の画像などの情報を提供しなければ攻撃は不可能だとしている。ウォロディミル・ゼレンスキー政権は事件への関与を否定したようだが、いつもの戯言だ。
ロシアの連邦保安庁(FSB)はNATOの軍事演習「エア・ディフェンダー23」が終了した6月23日、武装反乱を呼びかけた容疑によるエフゲニー・プリゴジンの捜査開始を発表した。プリゴジンは傭兵会社のワーグナー・グループの経営者だった。
ワーグナー・グループがバフムート(アルチョモフスク)で勝利した直後の5月20日、プリゴジンは「解放」を宣言し、25日から部隊を撤退させると発表した。その際、セルゲイ・スロビキン上級大将とミハイル・ミジンチェフ上級大将に謝意を表している。
スロビキンは昨年10月からドンバス、ヘルソン、ザポリージャの戦闘を指揮している軍人。ミジンチェフはマリウポリを解放した作戦の指揮官だった。今年5月4日からミジンチェフはワグナー・グループの「副司令官」を務めているが、料理人のプリゴジンではなくミジンチェフが本当の司令官だと考える人もいた。
プリゴジンは25,000人の兵士が行動を共にすると主張したが、実際は8000名程度で、将校は動かなかったという。ロストフ・オン・ドンへ入り、ロストフ・オン・ドンからモスクワへ向かうように彼は命令したと言われているが、ロシアの軍や治安機関に目立った動きは見られなかった。アメリカなど西側の「専門家」はプーチン政権の崩壊を妄想、有力メディアも内戦と殺戮を期待していたようだが、そうしたことは起こらなかった。
24日の午後にはロシアにおけるワグナー・グループの行動を中止することでベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領とプリゴジンが合意し、ロシア政府はワーグナー・グループの幹部に対する訴追を取り下げると発表した。プリゴジンはベラルーシに「追放」される。
プリゴジンはどこかの時点で西側の情報機関に買収されたと考える人もいる。1980年代にアメリカのCIA人脈はソ連のKGB幹部を買収したと言われているので、ありえないことではないが、買収されたふりをしたという見方もできる。軍事力が強くないベラルーシに戦闘部隊を送り込む演出と推測する人もいる。アメリカ/NATOがロシア国内で内乱が起こると考えていたなら、そのタイミングでドローンによるモスクワ攻撃を計画していたかもしれない。
ECM
ロシアのECMが注目されたのは2013年9月。バラク・オバマ政権はシリアへの直接的な軍事侵略を正当化させるために「化学兵器話」を宣伝していたが、その話が嘘だということが明らかになる。オバマ政権の主張を否定する証拠や証言が次々と出てきたのだ。
そうした中、9月3日に地中海からシリアへ向かって2発のミサイルが発射された。リビアに対して行ったような軍事侵攻をシリアに対しても始めたと言われたのだが、そのミサイルは途中で海中へ落下してしまった。
後にイスラエル国防省はアメリカと合同で行ったミサイル発射実験だったと主張したが、実際に攻撃を始めたと見られている。周辺国に対する事前の通告はなく、発射実験だとする主張に説得力がないからだ。その際、ロシア軍がECMを使ったと言われたのだ。数機のミサイルでは撃墜されてしまうことをアメリカ政府は悟っただろう。
オバマ政権は2012年からアル・カイダ系武装集団に替わる新たな武装集団を作る工作を進めていた。それに対し、マイケル・フリンが局長を務めていたアメリカのDIA(国防情報局)は2012年8月、オバマ政権が支援している武装勢力の主力はサラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘、シリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告した。その警告が2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で現実になる。フリンは2014年8月に退役を強いられた。
それでもシリア軍は潰れないため、オバマ政権はアメリカ/NATO軍を投入しようと考えたようで、2015年2月に国防長官をチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ、9月には統合参謀本部議長をマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させる。
ヘーゲル国防長官やデンプシー統合参謀本部議長は上院軍事委員会で直接的な軍事介入に慎重な姿勢を示し、好戦派のヒラリー・クリントン国務長官らと対立していた。
デンプシーは2015年9月25日に退任、9月28日にウラジミル・プーチン露大統領は国連の安全保障理事会でアメリカを強く批判する。民主主義や進歩の勝利でなく、暴力、貧困、そして社会的惨事を招き、生きる権利を含む人権を少しも気にかけない状況を作り上げた人びとへのメッセージを口にしたのだ。「あなたは自分たちがしでかしたこと理解しているのか」と問いかけ、「うぬぼれや自分は特別で何をしても許されるという信念に基づく政策」を批判したのだ。勿論、アメリカに向けての発言だ。
そして9月30日、ロシア軍はシリア政府の要請で軍事介入、ダーイッシュを含むアル・カイダ系武装集団を敗走させた。軍事作戦を始めた直後、ロシア軍はカスピ海に浮かべた艦船から26基の巡航ミサイルを発射した。全てのミサイルが約1500キロメートル離れた場所にあるターゲットに2.5メートル以内の誤差で命中したとされている。ロシアが保有する兵器の優秀さにアメリカ軍は驚いたと言われている。
ドナルド・トランプは大統領に就任して間もない2017年4月、地中海に配備されていたアメリカ海軍の2隻の駆逐艦、ポーターとロスから巡航ミサイル(トマホーク)59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したものの、6割が無力化されてしまう。ロシア軍の防空システムはアメリカ軍より優秀だということだ。
トランプ大統領は翌年、リベンジを図る。2018年4月にイギリスやフランスを巻き込み、100機以上の巡航ミサイルをシリアに対して発射したのだ。ところが今度は7割が無力化されてしまう。前年には配備されていなかった短距離用の防空システムのパーンツィリ-S1が効果的だったと言われている。
ロシア軍はウクライナでも兵器の優秀さや生産力の高さを示し、しかもPGM(精密誘導爆弾)や長距離高精度兵器を使い果たす可能性は小さい。そうした兆候は全く見られない。ウクライナのアレクセイ・レズニコフ国防相はHIMARS多連装ロケットランチャー用の弾薬を含むGPS誘導砲弾を妨害する方法をロシア軍は知っているとしている。つまり、西側の「報道」は間違い、または嘘だった。
EUや日本などアメリカに従属している国々のエリートはロシアの戦闘力や生産力を低いと教えられ、すぐにマイクロチップは枯渇し、兵器庫が空になると信じ込まされていたのかもしれないが、そうだとすると、動揺しているだろう。「経済封鎖」は機能していない。自分たちの判断ミスを誤魔化すため、中国や朝鮮を持ち出しているようだが、説得力はない。
1991年12月にソ連が消滅した後、世界制覇戦争を始めたネオコンは追い詰められた。ジョー・バイデン親子がホワイトハウスでコカインを使っていたことが発覚したそうだが、幻覚の中でロシアと核戦争を始めないとは言い切れない。
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