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2023年10月12日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/283091
東海から九州の太平洋沿岸部に甚大な被害を及ぼすとされる南海トラフ地震。その発生確率の問題に迫った一連の報道が、菊池寛賞を受賞した。都合のいい計算式で発生確率が水増しされた実態を暴いた先に、報じ続けたいことがある。南海トラフの危険性ばかりに気を取られ、他の地域で油断が生まれて地震が起きるたびに被害を拡大させてしまっている現実だ。(小沢慧一)
2018年2月、取材はある地震学者の「告発」から始まった。政府が「30年以内に70〜80%」と発表している南海トラフ地震の発生確率は特別な計算式を使った「えこひいき」された数値で、全国基準の計算式で算出すると20%程度に落ちるというのだ。
特別な計算式は地震学者たちが「問題がある」としたものの、防災予算獲得など行政・防災側の意見に押し切られ、最終的にお墨付きを与えてしまった。
政府の各種委員会の議事録や計算の根拠とされていた江戸時代の古文書などを調べ続けた。
すると背景には1970年代に提唱された東海地震説以降、莫大ばくだいな研究費を得てきた研究者らがつくる「地震学ムラ」と地震関連の予算を獲得してきた行政とのいびつな関係が浮かんだ。
新型コロナウイルス禍や原発事故など、科学は問題を解決する上で絶対不可欠な人類の知恵だ。しかし、基礎となる情報が科学的に適切でなければ、正しい解決策にはたどり着けない。政治的にゆがめられた科学は、もはや科学とは言えない。政策の背景にある科学が適切か、目を凝らして監視していく必要がある。
報道後、地震の取材経験がある記者が「自分も地震予測を怪しいと感じていた」と告白してくれたこともあった。多忙な日々を送る中で、記者が違和感を覚える出来事でも「そこまで騒ぐことでもない」と報じず終えてしまうことは多い。
だが、そうして「スルー」した出来事が後に深刻な問題に発展した例を、私たちは知っている。2011年の3月11日以降、先輩記者たちが「原発の危険性をもっと訴えられたはず」と悔やむ姿を見てきた。最近では、ジャニーズ事務所創業者による性加害問題を報じてこなかったマスコミの姿勢が問題視されている。
5年以上続ける取材では、有力な研究者から妨害を受けたこともあった。それでも見過ごすことなく、問題を訴え続ければ必ず読者に届くと信じてきた。今もまだ地震学や防災行政を取り巻く問題が解決したわけではない。今後も粘り強い報道を続けていく。
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- 南海トラフ地震の発生確率は計算式に「科学的事実に反するおそれ」 政府は反対論を伏せたまま公表していた(東京新聞) 蒲田の富士山 2024/3/08 14:33:12
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