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共通の“敵”を攻撃…反ワクチンデモに透ける「承認欲求」 鈴木エイト カルトな金曜日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/339152
2024/04/19 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
コロナ禍における反ワクチン運動は、日本国内でもいくつかの団体が起こしたが…(=2022年当時)/(C)日刊ゲンダイ
13日午後、今年最大規模となる反ワクチンデモが東京・池袋で行われた。
正式名称は「パンデミック条約 国際保健規則改定 反対 デモ行進」。WHO(世界保健機関)が各国間の感染症対策の連携強化のため、5月の世界保健総会での国際保健規則(IHR)改正と「パンデミック条約」の採択を目指す動きに反対するデモだ。
主催者側は1万人以上が参加したとしているが、現地の警察関係者に確認すると5000人にも達していないという。午前中には区民ホールで決起集会も開かれた。
デモ隊の拠点となった東池袋中央公園では、壇上に立った反ワクチン運動を牽引する池田利恵・日野市議の主導でシュプレヒコールが上がる。
「WHOの人権侵害を許さないぞ!」
「政府は人口削減ワクチンを止めろ!」
「ワクチンで医師会に利益誘導する武見厚労大臣を許すな!」
参政党員やDS(ディープステート=影の政府)の存在を唱える陰謀論者の姿も。
公園だけでなく沿道にもあふれる参加者。デモ隊のプラカードなどには「反ワク」「WHO脱退」「危険なワクチン接種中止」「国民はモルモットじゃない!」「目覚めよ国会議員」といった激しい文字が躍る。隊列は第9陣に及び、最終グループの帰還は予定から2時間遅れの17時過ぎだった。それでも参加者は総じてハイテンションで、「ありがとう!」などの声が飛び交う。連帯感が満ちあふれ、ある種のお祭り的な雰囲気が漂う一方、私の脳裏には「承認欲求」「エコーチェンバー」「フィルターバブル」という言葉が浮かんだ。
コロナ禍における反ワクチン運動は世界規模で盛り上がりを見せ、日本国内でも音声SNS「クラブハウス」を中心に悪質なインフルエンサーが不安をあおり、商材購入などにつなげていた。コロナ禍を経て、いくつかの反ワクチン団体は弱体化したが、アジテーター的な人物は活動を継続している。
メディアはこのデモをほぼ無視。一般メディアでは時事通信が報道したのみで、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)系の世界日報や法輪功メディアの大紀元が報じた程度だった。
街頭での反ワクチンデモ取材は約3年ぶりだが、人々の「不安」は容易に「憤り」へ変換されることを改めて認識した。
鈴木エイト ジャーナリスト
1968年生まれ。日大卒。日本ペンクラブ会員。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」主筆。日本脱カルト協会理事。「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」「『山上徹也』とは何者だったのか」などの著書のほか、共著・編著多数。
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