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◆奇妙な病気◆
農場では、かつての賑やかさが無くなり黄昏も感じられましたが、それなりに平和な日々が続いていました。
そんなある日、農場では新しい病気が流行り始めました。風邪に似た症状ですが中には重症となり亡くなってしまう場合も多いというものでした。何でもその菌は隣の農場から入ってきたようですが動物たちは、みんな小屋から出ないように言われ大人しくしていたのです。
やがて、この病気に罹る事を防ぐ薬が発明され、この農場でも配られ始めました。動物達は我先にと薬を求め飲み始めました。病気の蔓延には波があるようで、実際に病気に罹るのを防ぐのか判然としませんでしたが、実は薬は重症化して亡くなるのを防ぐのが主な作用だと言われ始め、動物たちは大人しく飲み続けました。
病気の波は段々と収まるようになり、また菌の力が弱まって、罹ってもそれ程重症にならないようになりましたが、特に歳をとった動物は用心のため薬を飲み続けました。薬には付き物ですが、特にこの薬は急ごしらえで作られたため様々な副作用がある事が分かって来て他の農場ではもう殆ど薬は飲まないようになりましたが、この農場ではその情報が余り入って来なかったのです。
農場では豚と犬が管理者の役割をしていましたが、彼らは副作用の害の方はあまり言わず、効き目があるから飲みましょう、「他の動物に移さない事は思いやりなのです」などと言って薬を勧め続けたのです。
◆本当の家畜◆
しかし、特に薬を何回も飲んだ動物たちの中から、急に亡くなったり、体の不調が続き働けなくなったり、寝たきりになる者が多くみられるようになりました。これはおかしいと皆噂し始めましたが、豚と犬は「そんな事は無い。おかしいのは君たちだよ」と言い放ったのです。また、農場に色々な情報を伝えるため、張り紙作りや、アナウンスの役割を鶏たちが担っていたのですが、豚と犬に調子を合わせ「コケコッコー、おかしいのは君たちだよ、」と唱え続けたのです。
他の農場では、「どうもこの薬は効き目よりも、害の方が大きかったんじゃないか」と管理者の豚と犬を糾弾する動きも出てきましたが、この農場の動物たちは大人しいため、なかなかそう言った声は大きくなりません。
ところで、管理者の豚と犬の上には人間が居て会議を開いたようなのですが、「今後、もっと恐ろしい病気が流行るかも知れない。その際にはこの会議で緊急事態を宣言し、薬を飲む事を正式に義務化するようにします」と提案がなされたという事です。
この農場のリーダーの中から、「そんな約束をして来てはいけません。仮にそういった約束をする場合は皆の集会で説明し、多数決で決めなければなりません」と言う声が上がり始めました。
しかし管理者の豚と犬は、「元々あったルールを改正するだけだから、説明と多数決は不要なのです」と淡々と繰り返すのみです。鶏たちは本来、こういった動きを農場の皆に伝える役割があるのですが、他のいつもの豚や犬のお金に纏わる醜聞や、芸能やスポーツの話題で搔き消して、伝えようとはしません。
またこれと並行して、「もっと恐ろしい病気」のために更に新しい薬が開発されたのですが、その薬の生産と実験はこの農場で行われ、ここの動物たちを実験台にしてよいという事が、豚と犬たちの会議で静かに決まってしまいました。
さて、大人しかったこの農場の動物たちにも流石に段々と疑いや怒りも溜まってきたようですが、豚と犬にちゃんとした説明を求め、これまでの事に責任も取らせるようになるのでしょうか。ここまでのお話で動物たちは考えたり話したりしていました。それなりにそういった事は出来たのですが、こうした能力を忘却して本当の意味での家畜になった方がよいと思う動物たちも中には居るようなのです。
この農場の将来は、当然ながら動物たち次第なのですが今のところ未知数です。農場からの報告は以上となります。
佐藤戦略総研 http://blog.livedoor.jp/ksato123/
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