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「大澤真幸 陰謀論が増殖する原因は、人々の『不遇感』にある」
(中央公論 2023/11/13)
https://chuokoron.jp/society/124024.html
■ 「アイロニカルな没入」の増殖
陰謀論的な流言・デマがいくつも現れては、現実を動かすような影響力を持つようになってきています。「悪魔崇拝者によるディープステイト(闇の政府)が世界を裏で支配している」と唱える「Qアノン」は、いまやアメリカだけでなく、ドイツやブラジル、日本でも勢力を拡大させ、社会問題化しています。
私がこの種の陰謀論に最初に関心を持ったのは、1990年代半ば、オウム事件のときでした。オウム真理教が「影の世界政府」との戦争を宣言して、地下鉄サリン事件など凄惨な事件をいくつも起こしたのは、ご存じのとおりです。
陰謀論や流言のほとんどはトンデモ話です。普通に考えれば決してあり得ない荒唐無稽な話なので、「そんな判断もつかない無知な人がいるのか」と思われるのが常でした。知識が足りなくてハマっている人になら、ファクトを伝え、偽知識を論理的に正せば納得してもらえます。でもオウム事件は違っていました。首謀者は「啓蒙が不可能な人たち」だったのです。関係者に会うと、みな高学歴で知的レベルが高く、論理的な話もできる。それなのに「地下鉄サリン事件はCIAのでっち上げた事件だ」などと言うのです。
彼らはオタク気質で、自らをアニメーション作品『宇宙戦艦ヤマト』や『風の谷のナウシカ』の登場人物と重ね合わせていました。驚いたのは、私が「あれは作り話ですよ」と指摘すると、「そんなことわかっていますよ、大澤さん」と笑ったことです。事実ではないと知りながら、あえてそのファンタジーを生きている。こういう人たちが出てきたのか、と驚愕しました。
通常、対象と知的に距離を取ることと、ハマっていることとは相反します。しかし彼らは、ファンタジーとある程度冷静に距離を取っているのに、完全に没入していた。私はこれを「アイロニカルな没入」と呼んでいます。シンプルで愚かな没入と、アイロニカルな没入の間に境界線はありません。連続線上に並んでいるから、どちらも抜け出すのが難しい。オウム真理教でも、無知ゆえに没入していた信者もいたでしょう。でも嘘と知り、目覚めているかに思える人でさえオウムの陰謀論から抜け出せず、「尊師が言うのだから」と、凶行に及んでしまった。
■ 嘘と知りつつ没入する
あれから四半世紀以上が経ち、アイロニカルな没入はより強烈になっています。近年の顕著な例が、アメリカのトランプ前大統領をめぐる陰謀論の一つ、「選挙は盗まれた」論です。中でもトランプの元側近で女性弁護士のシドニー・パウエルは、2020年大統領選での結果を覆そうとするトランプを助けようと、「集票機にトランプに不利になるような裏工作がされていた」という噂を大量に流していました。投票システム会社ドミニオンはパウエルを名誉毀損で訴えたのですが、法廷での彼女の反論に、私は仰天しました。「集票機が壊されていて数え間違えたなんて荒唐無稽な話を信じる人は、いませんよ」。
完全に矛盾した発言でした。自ら「これは事実ではない」と宣言しつつ、他方ではそれを事実として吹聴する。多くの人が決して信じないようなことを、そうと知りながら完全に信じているという二重のことが、彼女のなかで起きていたのです。人間の心とはなんと複雑なのだろう、と感じ入りました。
でも身近な例で考えてみれば、わからなくもないのです。例えば私たちは日常的に広告に接しています。広告には広告主の意図が反映されるため、誇張や歪曲があると誰もがわかっている。それでも広告には一定の効果があります。
また、日ごろ「人は死ねば腐って消えていくだけ」と考えている合理主義者でも、親を亡くせば「父が天国から自分を見ている」と思うこともあるでしょうし、「父が見守ってくれているから頑張らなくちゃ」と影響されることさえある。つまり、嘘だとわかっていても、嘘に準拠して行動することが、心に重要な意味を持つこともあるのです。
■ 陰謀論の引き金は「不遇感」
人はどんなときに「アイロニカルな没入」に陥ってしまうのか。それは受け入れがたい不遇感を抱えていて、その原因がわからないときです。不幸には偶然によるものもあるし、因果関係はしばしば非常に複雑です。それでも、自分にあって然るべき幸福がない、不当に不幸だと感じたとき、人はどこかに原因を見出し、安心感を得ようとするのです。
こうして、人々の多様な不遇感を一手に引き受けるような「記号」が生まれていきます。ユダヤ人や在日朝鮮人、最近では新型コロナウイルスのワクチンが典型例です。「大金持ちのユダヤ人が我々の富を奪っている」、あるいは「不潔なユダヤ人が街の治安を悪化させている」。両極端の、ユダヤ人の本質とは無関係のデマで、すべてのネガティブな原因が「ユダヤ人」という記号に投影され、ホロコーストは起きました。
ここで重要なのは、当時のドイツがさまざまな意味でうまくいっていない理由は、ユダヤ人とは何の関係もないことです。自分の不幸の原因がわからず嘆く人は、自分から幸福を奪っている「X」を見出そうとしますが、見出されたXは不幸の要因ではない。「共産主義のソ連がユダヤ人によって操られている」などといったあり得ない論理でユダヤ人に投影することで、ドイツの人々は不遇感を解消し、精神的な安定を得ていたわけです。
「コロナワクチンによって人口抑制がなされている」というデマを流す人も、ワクチンによって直接被害を受けたわけではありません。デマを信じて吹聴する人に「いや、コロナワクチンの仕組みはこうで、ファイザー社はちゃんとした会社だ」といくら説明しても埒が明かないのはそのためです。アイロニカルな没入と同様に、本人さえわかっていない、無意識のフラストレーションを、陰謀論を使って処理しようとしているのですから。
(中略)
では陰謀論を支持する人にどう対処すればいいのか。正しい情報に基づく反証材料を提示すればいいと思うかもしれませんが、効果はなく、むしろ逆効果にさえなります。
ユダヤ人指導者による世界征服の企みが記された書として流布され、反ユダヤ主義の根拠になった「シオンの議定書(プロトコル)」という偽書があります。明らかに非合理的で捏造なのですが、信じる人に反証材料を提示しても、「だからこれは本物なんですよ。あなたの提示したものこそ、これを偽物だと思わせようとする勢力の存在を証明しているじゃないですか」と、逆手に取って証明の根拠にしてきます。シドニー・パウエルが「誰でも信じるような話じゃないからこそ正しい」と言ったのと同じです。極端な非合理性、荒唐無稽さが彼らの信心を強化してしまうのです。
(続きは『中央公論』2023年12月号で)
大澤真幸(社会学者)
〔おおさわまさち〕
1958年長野県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。社会学博士。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を歴任。著書に『ナショナリズムの由来』(毎日出版文化賞)、『ふしぎなキリスト教』(共著、新書大賞2012)、『自由という牢獄』(河合隼雄学芸賞)などがある。
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科学に暗い社会学者など文系の学者は、その無知蒙昧さから噴飯ものの
主張をすることが多いが、この記事もその典型例である。
新型コロナワクチンには、規制上限値の何百倍ものプラスミドDNAが含まれており、
そのDNAには、コロナワクチンには何の必要もないSV40発がんプロモーターが
組み込まれていた。
これは第一線の専門家たち、そしてカナダ政府も確認している厳然とした科学的事実である。
そして、それが発がんにより人口削減を狙った陰謀であることも明らかである。
科学的に証明されたからこそ、陰謀であると信じる人が増えているのであって、
「不遇感」など全く関係がない。
こんな根拠のないデタラメを堂々と書く学者も問題だが、それを掲載する中央公論も
非常識である。
"中央暴論"と改名したほうがよかろう。
(関連情報)
「独占: カナダ保健省、ファイザー社製注射液に未公表のDNA配列が含まれていたことを確認
(Epoch Times)」 (拙稿 2023/10/21)
http://www.asyura2.com/23/iryo11/msg/820.html
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