<■487行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> mRNAのことを始めて知った時、これは絶対にノーベル賞を獲ると思った。 これだけ多くの人々の役に立って、人類を救っていることが明白なのに、これでノーベル賞が獲れないなんてあり得ない、と思った。 もしノーベル賞が獲れなければ、選考する人が余程のボンクラとしか考えれない、と思った。開発まで半世紀、「最後の壁」突破 日本人も貢献 ノーベル生理学・医学賞のmRNA開発の2氏 2023/10/2 19:56 https://www.sankei.com/article/20231002-UP2RRGT3EZLVVKL3EG4RQJW4T4/ 新型コロナウイルスの感染抑止に大きな力を発揮したメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン。 半世紀前から研究されてきた技術だが、開発には多くの困難があった。 ノーベル生理学・医学賞に輝いた米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授(68)とドリュー・ワイスマン教授(64)が 「最後の壁」 を突破し、新型コロナの流行開始から僅か約1年で実用化に導いた。 mRNAは細胞内の遺伝情報を写し取って伝える物質で、4種類の塩基という化合物が鎖状に連なっており、その配列によって様々なタンパク質が作られる。 ウイルスのタンパク質を合成するよう人工的に作ったmRNAをワクチンとして使う研究は、1970年代に始まったが、免疫の働きによって異物として認識され、破壊されてしまうことが最大の課題だった。 カリコ氏らはこの難題に挑み、異物だと認識する物質をまず特定。 4種類の塩基のうちウリジンの構造を僅かに変えると、この物質に破壊されず、免疫をすり抜けることを発見し2005年に発表した。 これによって世界中で研究が活発化し、実用化に大きく前進した。 研究の進展には、日本人研究者も貢献した。 大阪大の審良(あきら)静男特任教授(70)が2008年、カリコ氏らと共同で、ウリジンの構造変更によりmRNAが破壊されなくなることを実証したことも、大きな後押しとなった。 mRNAワクチンは、ウイルスを弱毒化して使う既存のワクチンとは異なり安全性が高い。 また、ウイルスを培養する時間や手間がかからない上、遺伝情報を簡単に書き換えるだけで新たなウイルスの登場に素早く対応できることも強みだ。 新型コロナ用を驚異的なスピードで開発できたのはこのためだ。 実用化に向けた他の課題には、タンパク質の合成効率が低いことがあったが、米ロシュ分子生物学研究所に所属していた古市泰宏氏(故人)が1975年、mRNAの端に 「キャップ」 と呼ばれる微細な構造を付けると、タンパク質の合成効率が向上することを発見し解決した。 当初は細胞の中にうまく入っていかないことも課題だったが、2000年代初頭にmRNAを脂質の膜で包む手法で解決。 その後、カリコ氏らが残った最大の壁を打ち破り、実用化への道を開いた。 新型コロナのmRNAワクチン開発のカリコ、ワイスマン両氏 ノーベル生理学・医学賞 2023/10/2 18:52 https://www.sankei.com/article/20231002-UNB5NCTN6NPADJWJDA3ETUOXE4/ スウェーデンのカロリンスカ研究所は2023年10月2日、2023年のノーベル生理学・医学賞を、新型コロナウイルスで実用化した 「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」 の技術を開発した米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授(68)とドリュー・ワイスマン教授(64)に授与すると発表した。 短期間でのワクチン開発に貢献し、感染拡大や重症化を抑止した功績が評価された。 授賞理由は 「新型コロナ用の効果的なワクチンの開発を可能にした、mRNAの構造改変に関する発見に対して」。 mRNAは遺伝情報を伝える物質で、タンパク質を合成する役割を担う。 これをワクチンに使う発想は古くからあったが、細胞内で異物と見做され破壊されるため実現しなかった。 カリコ、ワイスマン両氏は共同で2005年、構造を一部改変することで、細胞内で破壊されないmRNAを人工合成することに成功した。 これに基づき米ファイザーと米モデルナが新型コロナ用のワクチンを開発。 流行開始から僅か約1年後に米国で緊急使用許可を受け、世界中で接種が広がった。 ウイルスのタンパク質を体内で作り出し、免疫を担う抗体を作って感染を防ぐ仕組み。 ウイルス自体は使わないので安全性が高く、従来のワクチンと比べ迅速に開発できる利点がある。 授賞式は2023年12月10日にストックホルムで行われ、賞金計1100万スウェーデンクローナ(約1億5000万円)が贈られる。 パンデミック対応に「科学の力」 ノーベル生理学・医学賞が評価 2023/10/2 19:23 https://www.sankei.com/article/20231002-VYR5VB3JTFKEHA25FZVLKDNS5Q/ 2023年のノーベル生理学・医学賞に選ばれたカタリン・カリコ氏、ドリュー・ワイスマン氏らが実用化への道を開いた 「mRNAワクチン」 の最大の功績は、世界規模の感染症の爆発的な拡大(パンデミック)も、科学の力によって迅速に対応し、打ち勝てると証明したことだ。 インフルエンザなどに使われる従来のワクチンは、ウイルスに特殊処理を施し、感染力をなくして投与し免疫反応を起こさせるため、製造に時間がかかる。 開発も少なくとも数年以上かかり、新型ウイルスによるパンデミックに即応できない。 一方、カリコ氏らのワクチンは、ウイルスのタンパク質を作る情報を持ったmRNAを作って投与し、体内で免疫反応を起こさせる。 ウイルスの遺伝情報を解析すれば素早く合成できる上、ウイルスそのものを使わないため安全性が高い。 2019年12月に初めて感染者が確認された新型コロナに対しても、僅か1年後、米製薬会社のmRNAワクチンが各国で緊急使用許可を獲得。 他方式のワクチンが実用化に手間取る中、世界中で幅広く接種され、数多くの命を救った。 mRNAワクチンは、次々と出現した新型コロナの変異株にも迅速に対応した。 変異株の遺伝情報の素早い分析で、新ワクチンをすぐ開発できたからだ。 これらは、古くから人類が戦ってきたパンデミックに対する科学の勝利に他ならない。 現在は、ウイルスの遺伝子に変異が起きても基本的な部分が同じなら効果を維持するという、汎用の 「ユニバーサルワクチン」 の開発も進行中。 実用化されれば、変異株によるパンデミックに対する対応が、更に迅速化する可能性がある。 新型コロナ以外でも、がんやエイズ、結核、マラリア、C型肝炎、食物アレルギーなどに対するmRNAワクチンの開発が進んでいる。 mRNAワクチンは今後も、多様な疾病に対する勝利を人類にもたらす可能性を秘めている。 「謙虚な姿勢に尊敬」「多くの人を救った」 カリコ氏受賞で京大の山中教授 2023/10/2 20:05 https://www.sankei.com/article/20231002-VCMZMXHCUBNSZFPAXHKBZXQTNY/ 新型コロナウイルスで実用化した 「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」 の技術を開発した米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授(68)と、ドリュー・ワイスマン教授(64)のノーベル生理学・医学賞の受賞が決まったことを受け、京都大学iPS細胞研究所の名誉所長で2012年に同賞を受賞した山中伸弥教授は2023年10月2日、同研究所のX(旧ツイッター)でコメントを発表した。 山中氏は 「(カリコ氏と)対談の機会を頂きました際に、非常に謙虚な姿勢で粘り強く研究を進めてこられたことをお聞きし心から尊敬の念を抱きました」 と祝意を示した。 その上で 「コロナ禍という世の中が危機感に覆われた中、mRNAワクチン技術という画期的な発明により多くの人が救われました」 とその業績を讃えた。 コピー機の前で偶然の出会い コロナワクチンのスピード開発に貢献 2023/10/2 20:08 https://www.sankei.com/article/20231002-45PO2GVDKZKDFME7CPWL6E6CRM/ ノーベル生理学・医学賞の受賞が決まった米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授(68)とドリュー・ワイスマン教授(64)は学内での偶然の出会いをきっかけにメッセンジャーRNA(mRNA)の共同研究を始めた。 二人三脚の地道な努力が、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の最中で、ワクチンのスピード開発を可能にした。 カリコ氏はハンガリー中部ソルノク生まれで、地元のセゲド大学で生物学を専攻し、博士号を取得した。 mRNAの研究を始めたのは1980年頃だった。 当時は東西冷戦中でハンガリーは共産主義体制にあった。 カリコ氏は科学者として勤務していたが、研究資金が得られなくなり、1985年、30歳の時に夫と2歳の娘と米国に渡った。 闇市で中古車を売って得た資金が生活の頼みだった。 「大金を持って逃げたと思われないよう、紙幣を娘のクマのぬいぐるみに隠した」 と後に回想した。 米国でも家計は苦しく、洗濯機が買えずに家族の衣服は全て手洗いしたという。 一方、ワイスマン氏は米東部マサチューセッツ州レキシントン出身。 米紙によれば、幼少期から優秀で規律正しく、大人びた性格だった。 ボストン大大学院で免疫学と微生物学を専攻し、医師免許と博士号を取得。 米国立衛生研究所などで経験を積み、ペンシルベニア大に移った。 2人が出会ったのは同大学内だった。 ワイスマン氏が学術論文を複写しようとコピー機に頻繁に通ううちにカリコ氏と出会い、2人は雑談するようになった。 癌治療薬開発を目指すDNAの遺伝子研究が全盛だった中で、カリコ氏が敢えて貫いていたmRNA研究にワイスマン氏が興味を持ち、共同研究を申し出たという。 ワイスマン氏は研究の様子を 「発見やアイデアを伝えるのを待ちきれず、明け方にメールをやり取りするのもしばしばだった」 と振り返る。 カリコ氏は 「互いに相手に学ぶという形で努力した」 と語っている。 ただ、2人は2005年にワクチン開発に繋がる画期的な研究成果を発表したものの、長らく注目されず、医学的成果が乏しいとして大学は特許を売り払った。 2013年にカリコ氏はドイツのバイオ企業ビオンテックに移った。 それから約7年後の2020年、新型コロナ対策の切り札として、2人の研究成果は米ファイザーとビオンテックが共同開発したワクチン、米モデルナが開発したワクチンに活用され、日本でも広く普及した。 「信念と粘り強い姿勢が勇気与えた」ノーベル賞のカリコ氏と論文共著の審良静男・大阪大特任教授 2023/10/2 21:12 https://www.sankei.com/article/20231002-DHHMFZ5VF5PBBPQMVKIKV6YDVA/ メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの技術開発でノーベル生理学・医学賞の受賞が決定した米ペンシルべニア大のカタリン・カリコ特任教授(68)らについて、2008年に論文を共著した大阪大の審良(あきら)静男特任教授(70)は2023年10月2日、 「信念と粘り強い姿勢は多くの基礎生命科学者に勇気を与えた」 と偉業を讃えた。 審良さんはウイルスや細菌といった異物を身体から排除する身体の働き 「自然免疫」 の世界的権威。 体内に注入したmRNAは免疫によって異物として排除されてしまうため、ワクチンとしての使用は不可能とされてきた。 カリコさんらはこの難題を克服する技術を開発。 審良さんと2008年、mRNAが体内で引き起こす過剰な免疫反応を抑制する方法を共同で論文にまとめた。 当時、既に世界的に知られていた審良さんとの共同研究は注目を集め、世界中で研究が活発化した。 審良さんはカリコさんらの受賞が決まった2023年10月2日に大学を通じてコメントを発表。 「(共同研究以前に)カリコ氏らの論文を査読したときは、mRNAのもたらす画期的な効果に驚いた」 と振り返り、 「多くの研究者が挫折する中で、地道に基礎データを積み上げた」 「共に喜びたい」 と祝福した。 新型コロナ禍に「希望の光」だったワクチン 医療、介護現場から感謝と受賞たたえる声 2023/10/2 21:29 https://www.sankei.com/article/20231002-W5FCIA76ABJERFNRKFAMQF7APE/ ノーベル生理学・医学賞に選ばれた米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授(68)とドリュー・ワイスマン教授(64)の研究は日常生活を激変させた新型コロナウイルスのワクチン開発に繋がり、感染拡大を食い止めた。 「ワクチンは希望の光だった」。 医療や介護の現場からはワクチンに感謝し、カリコ氏らの受賞を讃える声が上がった。 「ワクチンを打っていれば、重症化しにくい」 「効果を実感している」。 令和2年5月から5年5月まで、コロナ専門病院として患者を受け入れた大阪市立十三市民病院(同市淀川区)の後藤哲志・感染症内科部長(58)はこう語る。 「健康で若い人でも肺炎になり、肺炎で亡くなる人も多かった」 とコロナ禍を振り返る後藤部長。 病床逼迫で神経をすり減らす日々を送った。 そんな中で切り札として期待されたのが、ワクチンだった。 カリコ氏らの研究を基に、米製薬会社がワクチンを開発。 日本では3年に接種が始まった。 「ワクチンがなければ、もっと多くの死者が出ていたのではないか」。 後藤部長は実感を込めた。 高齢者施設もコロナ禍の影響を大きく受けた。 大阪市の介護老人保健施設「さくらがわ」副施設長の北谷善寛さん(48)は感染拡大初期について、感染者が出た施設への誹謗中傷もあったため、 「感染に過敏になった」 と話す。 施設内でのイベントや外出は減らし、入所者と家族との面会もストップした。 認知症の入所者の症状は顕著に進行、スタッフらは心を痛めた。 感染すれば命を失いかねない高齢者が集団生活を送る上で、ワクチンは 「希望の光だった」(北谷さん) という。 ワクチン接種が大きな後押しとなり、徐々に日常生活が戻ってきた。 さくらがわでは2022年末ごろから、パーティションや時間制限などで感染対策を講じつつ面会を再開。 入所者や家族からは安堵の声が聞かれたという。 北谷さんはカリコ氏らの受賞について 「ワクチンの開発にご尽力いただき、精神面で大きな安心感に繋がり、有り難かった」 「おめでとうございます」 と讃えた。 その上で 「まだコロナがなくなったわけではなく、変異株も出てきて予断を許さない状況」 「ワクチンも、更に発展したものが出てくれば」 と期待を込めた。 評価まで20年以上、ノーベル賞の知らせに「いたずらかも」 新型コロナのワクチン開発に貢献の米2教授 2023/10/3 7:38 https://www.sankei.com/article/20231003-RLXWHNPCSNIGBPCV2XAI5SPAHM/ 2023年のノーベル生理学・医学賞の受賞が決まった米東部ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授とドリュー・ワイスマン教授は2023年10月2日、大学構内で記者会見した。 新型コロナウイルスのワクチン開発に繋がった2人の研究は当初、学界で注目されず、評価を受けるまでに20年以上かかった。 2人は受賞を知らせる電話を 「いたずらかも」 と思ったという。 米メディアによると、最初に受賞連絡を受けたのはカリコ氏。 カリコ氏が直後にワイスマン氏に知らせると、ワイスマン氏はまだ連絡を受けていなかった。 2人は公式発表があるまで受賞は本当なのかと信じられずにいたという。 ワイスマン氏は会見で 「私たちの研究は面白いと人々に気付いてもらえなかった」 と振り返った。 2人が受賞に繋がる共同研究を始めたのは1998年。 当時の米科学界はDNAと遺伝子治療の研究が最盛期で、メッセンジャーRNA(mRNA)を用いた2人のワクチン開発研究は注目されなかった。 特にmRNAが専門だったカリコ氏は研究資金の獲得に何度も失敗。 それが原因でペンシルベニア大で常勤教授職を得ることが出来なかったという。 それでも探求心が萎むことはなかった理由について、カリコ氏は 「褒賞のために働いていたのではなく、役に立つ製品を作ることが重要だった」 と会見で話した。 免疫学が専門のワイスマン氏との共同研究は面白く、 「学び合っていた」 とも述べた。 ワイスマン氏も 「いつも午前3時や5時に新しいアイデアをメールで送り合っていた」 と振り返った。 2人は2005年、ノーベル賞の受賞理由となるmRNAの構造改変に関する技術を発見。 2020年に感染拡大した新型コロナのワクチンで実用化され、世界中で多くの人々の命を救うことに繋がった。 受賞決定について、カリコ氏は会見で 「とても嬉しい」、 ワイスマン氏は 「生涯の夢が叶った」 と喜びを語った。 ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏ら コロナワクチン開発貢献 2023年10月3日 0時26分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231002/k10014211101000.html ことしのノーベル生理学・医学賞の受賞者に新型コロナウイルスのmRNAワクチンの開発で大きな貢献をしたハンガリー出身で、アメリカの大学の研究者カタリン・カリコ氏ら2人が選ばれました。 スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は日本時間の午後7時前に記者会見し、2023年のノーベル生理学・医学賞に、新型コロナウイルスの 「mRNAワクチン」 の開発で大きな貢献をした ▽ハンガリー出身で、アメリカのペンシルベニア大学の研究者、カタリン・カリコ氏と ▽同じくペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン氏の2人を選んだと発表しました。 カリコ氏らは人工的に合成した遺伝物質のメッセンジャーRNA=mRNAをワクチンとして使うための基礎となる方法を開発しました。 mRNAにはたんぱく質を作るための設計図にあたる情報が含まれています。 これを人工的に設計し、狙ったたんぱく質が作られるようにして体内で機能するようにすればワクチンとして使うことができると期待されていましたが、mRNAは、ヒトに投与すると体内で炎症が引き起こされるため、医薬品に使うのは難しいのが課題でした。 カリコ氏らはmRNAを構成する物質を別の物質に置き換えることで炎症反応が抑えられることを発見し、2005年に発表しました。 更に、置き換えられたmRNAを使うと目的とするたんぱく質が劇的に効率よく作られることを発見し、医薬品として扱う上での大きな壁を取り除きました。 この技術を基に製薬会社がワクチンの開発に乗り出し、新型コロナのパンデミックでは記録的な速さでワクチンの開発に成功しました。 この技術の柔軟性は他の感染症のワクチンの開発にも道を開き、今後、癌の治療などへの応用が期待されています。 ■カリコ氏「家庭を持つことと科学者でいること 選ぶ必要はない」 受賞が決まったカタリン・カリコ氏は、ノーベル財団との電話インタビューで 「私は電話がかかってきたときに寝ていて、受賞が決まったという連絡は夫が受けました」 「誰かが冗談を言っているのかと思いました」 と話していました。 また、これまでの研究の道のりを振り返り、 「10年ほど前、ペンシルベニア大学から追い出されましたが、夫が私を支えてくれました」 「私の母は2018年に亡くなりましたが、『あなたが取るかもしれない』とノーベル賞の発表をいつも確認していました」 「母は『あなたは一生懸命頑張っている』と言ってくれていました」 「家族は私を信じてくれていて、娘たちも私が懸命に働く姿を見てくれていました」 と述べ、周りの支えがあったことを話していました。 その上で 「私は女性として、母として、同僚の女性の科学者たちに対し『家庭を持つことと科学者でいることのどちらかを選ぶ必要はない』と伝えています」 「子供はあなたを見て、見習います」 「あなたが子供の模範になることが重要なのです」 と女性の科学者たちを激励しました。 また 「多くの若い人たちは、友人や同僚がどんどん昇進していくのを見て、諦めてしまいます」 「しかし、自分を哀れに思っている時間はありません」 「次に自分に何が出来るかを探すのにエネルギーや時間を費やすべきなのです」 と、科学者たちを鼓舞する言葉を述べました。 ■選考委員会「新型コロナワクチン開発に不可欠だった」 ノーベル賞の選考委員会は授賞理由について 「2人の発見は、2020年初頭に始まったパンデミックで新型コロナウイルスに対して効果的なmRNAワクチンの開発に不可欠だった」 としています。 その上で 「mRNAが免疫システムにどう相互に作用するかについて私たちの理解を根本から変えた画期的な発見を通じて、2人は、現代における人類の健康に対する最大の脅威の1つだったパンデミックで前例のないスピードのワクチン開発に貢献した」 と評価しています。 また、授賞が決まったことを伝えた際のカリコ氏とワイスマン氏の様子について「2人はとても喜んでいた」と明らかにしました。 このうちカリコ氏は 「とても感激した」 と話したということです。 ワイスマン氏には選考委員会が公式発表する数分前に連絡が取れたということで 「彼は感激していて、非常に感謝していた」 と述べました。 ■安全性についての質問も 記者会見では、新型コロナウイルスのmRNAワクチンの安全性についての質問も出されました。 これに対してノーベル賞の選考委員会は 「mRNAワクチンの接種は始まってまだ間もないが、既にのべ130億人が接種を受けている」 「副反応も限定的で大きな懸念とは考えていない」 「有害事象として特に若い男性で心筋炎が出ることがあるが、ほとんどの場合は軽度で、特に長期的な影響なく解消するということだ」 「コロナに感染する方が長期的な健康への影響がある」 と述べました。 また、ワクチンに反対する動きがある中で、科学界や医療界はどう対応し、どう説明すべきか問われたのに対しては 「このワクチンがどのように機能するのか、引き続き仕組みを説明していく必要がある」 「新型コロナの場合、mRNAワクチンの開発が大きなニーズを受けて、加速したのは事実だが、臨床試験が短い期間で行われたからといって安全性の確認が省略されたわけではない」 「臨床試験がどのように行われたのかや、数十年に及ぶ基礎研究が行われてきたことについて伝えていくべきだと思う」 「ノーベル賞の受賞によってこうした事実に光が当たることを願う」 と説明しました。 ■所属するペンシルベニア大「画期的な発見」 カリコ氏とワイスマン氏が所属するペンシルベニア大学は、授賞発表の直後にSNSにコメントを投稿し 「2人を誇りに思う」 「画期的な発見は世界的なパンデミックという難題を克服しただけでなく、今後、数十年に渡り他の多くの病気の治療と予防に大きな影響を与えるだろう」 と祝福しました。 SNSには事前に撮影されたとみられる2人のインタビュー動画も投稿されていて、カリコ氏は 「母が、 『毎年10月にはあなたがノーベル賞を取るのではないかと思ってラジオを聞いているの。ずっと努力しているから』 と言うので、私は『たくさんの科学者が大変な努力を続けているのよ』と説明したものです」 と笑顔で語っています。 ワイスマン氏は 「ノーベル賞は科学者にとって最も重要な賞で、大変な名誉です」 「私たち2人が力を合わせなければ、この研究は達成しえなかったと思います」 「これがとても重要なことだと思います」 と話しています。 ■ワイスマン氏とは ドリュー・ワイスマン氏はアメリカ東部マサチューセッツ州生まれです。 1987年にボストン大学で免疫学と微生物学の博士号を取得した後、アメリカのNIH=国立衛生研究所に所属し、感染症研究の第一人者、アンソニー・ファウチ博士の下でHIV=ヒト免疫不全ウイルスの研究を行いました。 その後、1997年からペンシルベニア大学に移り、ワクチンや免疫関連の研究を続けていたころにカリコ氏と出会い、2005年、ワクチン開発に道を開く研究成果を共同で発表しました。 所属するペンシルベニア大学によりますとワイスマン氏は現在、次のコロナウイルスの流行に備えたワクチンの開発の他、同僚と共にmRNAの技術を使った癌の治療薬の開発にも取り組んでいるということです。 ■ワイスマン氏「mRNAワクチンを気にしている人もいなかった」 受賞が決まったドリュー・ワイスマン氏は、ノーベル財団との電話インタビューで、受賞が決まったという連絡はカリコ氏から受けたことを明らかにし、「本当かどうか分かりませんでした」 「誰かが僕らをからかっているんじゃないかと思ったんです」 と当初の心境を説明しました。 その上で、受賞が決まったことについては 「生涯の夢であり、ノーベル賞は仕事に対する究極の評価で、素晴らしい経験です」 ノーベル賞の受賞はいつも夢でしたが、実現するとは想像していませんでした」と喜びを露わにしました。 また 「私たちが一緒に研究していた20年間は、mRNAワクチンが何であるかを知っている人も気にしている人もいませんでしたが、私たち2人は机を並べて一緒に研究し、新しいデータについて話したり議論したりしていました」 「2人とも睡眠障害があるので、午前3時から5時くらいになると、新しいアイデアをメールで送り合っていました」 と述べて、当時のエピソードを紹介し、カリコ氏と取り組んできた研究生活を振り返っていました。 ■WHOがSNS投稿「彼らの科学への貢献が人命を救った」 WHO=世界保健機関のテドロス事務局長はカリコ氏とワイスマン氏の受賞が発表されると自身のSNSに 「本当におめでとう」と投稿して祝福しました。 その上で 「彼らの発見が新型コロナウイルスのmRNAワクチンの開発を可能にした」 「彼らの科学への貢献が人命を救った」 として、2人の功績を讃えました。 ■《研究者から喜びの声》 ■審良特任教授「地道に追究する姿勢が印象的」 カリコ氏らが2008年に発表した論文に共著者の1人として名を連ねていた大阪大学の審良静男特任教授は、 「受賞は当然だと思う」 「新型コロナのワクチンが開発できたことは人類にとっての大きな貢献だ」 と述べました。 審良特任教授は、当時の論文について 「基礎研究としては画期的な成果だと思ったが、その後も長い期間研究を続けワクチンの実用化に繋がったことは素晴らしい」 「ワクチンの開発は難しく、研究費がかかることなどから途中で頓挫するケースも多い」 「mRNAワクチンが開発されたというニュースの中で彼女の名前が出て驚いたが、必死になって医療への応用を目指した結果だと思う」 と評価しました。 カリコ氏の研究への姿勢については 「彼女は派手な所がなく、自分の知りたいことを地道に追究していく姿勢が印象的だった」 「今回の発表を機に他の病気の治療にもmRNAが応用されるなど、研究が更に進むことを期待している」 と話していました。 ■位高教授「非常に勇気のある人」 カリコ氏が選ばれたことについて、mRNAを使った薬の開発の研究者で、15年に渡って交流を深めてきた東京医科歯科大学の位高啓史教授は 「mRNAが薬になると本気で考える人が世界中でほとんどいなかった時から、その可能性を信じて研究を手探りで進めてこられたので、非常に勇気のある方だと思っています」 と話し、喜びを露わにしていました。 また、カリコ氏の人柄については 「どなたとも先入観なく接することができる気さくな方です」 「学会の会場でお会いした時に、実験のノウハウなどを快くオープンに教えて頂いたことをよく覚えています」 「そうした姿勢が最終的にはカリコ先生の仕事の成果に繋がったのだと思います」 と話していました。 そして、今後、与える影響については、 「mRNAは感染症のワクチンとして非常に広く知られる存在になりましたが、今後は他の治療薬としても応用が大きく広がると思います」 「更に多くの研究者や企業がこの分野に入ってくることを期待したい」 と話していました。 ■山中伸弥さん「多くの人が救われた」 京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥名誉所長はSNSで 「カタリン・カリコ先生、ご受賞おめでとうございます」 「対談の機会を頂きました際に、非常に謙虚な姿勢で粘り強く研究を進めてこられたことをお聞きし、心から尊敬の念を抱きました」 「コロナ禍という世の中が危機感に覆われた中、mRNAワクチン技術という画期的な発明により多くの人が救われました」 「そのご業績に心から敬意を表します」 とコメントしています。 ■《研究内容は》 mRNA 医薬品として使う基礎開発 カタリン・カリコ氏とドリュー・ワイスマン氏は、人工的に合成した遺伝物質のメッセンジャーRNA=mRNAを医薬品として使うための基礎となる方法を開発しました。 mRNAにはタンパク質を作るための設計図にあたる情報が含まれています。 これを人工的に設計し、狙ったタンパク質が作られるようにして体内で機能するようにすれば医薬品として使うことができると期待されていましたが、mRNAは、ヒトに投与すると体内で炎症が引き起こされるため、医薬品に使うのは難しいのが課題でした。 この課題に対応するため、カリコ氏らは2005年の論文で、mRNAをヒトに投与したときの炎症反応を抑える方法を発表しました。 それが、mRNAを構成する物質の1つ、 「ウリジン」 を 「シュードウリジン」 という似た物質に置き換える方法で、医薬品として使うための基礎の確立に繋がりました。 ■mRNAワクチンとは mRNAワクチンは、ウイルスの遺伝情報を伝達する物質で、体内でタンパク質を作るための設計図に当たる情報を含むmRNAを使ったワクチンです。 新型コロナの感染拡大以降、広く接種されているファイザーやモデルナの新型コロナワクチンはmRNAワクチンで、スパイクタンパク質と呼ばれる、ウイルスの表面にある突起を合成するmRNAが含まれています。 mRNAの情報を基に体内で新型コロナと同じスパイクタンパク質が作られ、このタンパク質に対して免疫が働き、抗体が作られます。 mRNAワクチンはウイルスの遺伝情報があれば製造できるため素早い対応が可能で、新型コロナのパンデミックでは1年足らずで開発に成功し、変異ウイルスに対応したワクチンも開発され、パンデミック対策の最も重要な要素の1つとなりました。 既に他の感染症に対応したmRNAワクチンの開発も進んでいる他、癌ワクチンなど新たな医薬品としての活用も進むと期待されています。 ■独バイオ企業「2人の情熱 粘り強さ 献身はとても貴重」 新型コロナの感染拡大を受けてmRNAワクチンを実用化した、ドイツのバイオ企業、ビオンテックは、 「ビオンテック一同、カリコ氏とワイスマン氏を褒め讃えたい」 「2人の情熱、粘り強さ、献身はとても貴重なものだ」 「今回の受賞は、新薬の可能性を最大限引き出し、開発を続けていくことを、世界中の科学者に思い起こさせてくれるものだ」 とするコメントを発表し、2人の受賞を讃えました。 ■源流の研究に日本人も mRNAワクチンは、基礎的な研究が積み重なって開発されていて、源流となる研究には日本人も名前を連ねています。 ■古市泰宏さん 2022年亡くなった古市泰宏さんは1970年代にmRNAに特徴的に見られる 「キャップ」 という構造を発見しました。 古市さんは蚕に感染するウイルスの研究を行う中で、mRNAの端に特殊な構造があることに気付き、帽子を被っているような形をしているように見えることから1975年に発表した論文で 「キャップ構造」 と名付けました。 キャップ構造はmRNAに含まれる遺伝情報を基に、タンパク質が作られるのに欠かせないもので、mRNAワクチンに繋がる源流の研究として位置付けられています。 生前、古市さんは 「目先の利益や応用を考えずに、物事の理(ことわり)を知りたいと研究していたことが、ワクチンに応用された」 「新型コロナのワクチンを接種した時には 『この中にキャップが入っているんだ。皆キャップの付いたmRNAを打つんだ』 と不思議な縁を感じました」 「効果が高いワクチンだということなので誇らしい気がしました」 と話していました。 ノーベル生理学・医学賞 カリコ氏とワイスマン氏 大学で会見 2023年10月3日 6時45分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231003/k10014213691000.html ことしのノーベル生理学・医学賞の受賞者に選ばれた、アメリカの大学の研究者、カタリン・カリコ氏ら2人が記者会見し、 「選ばれるとは思っていなかった」 などと心境を語りました。 スウェーデンにあるノーベル賞の選考委員会は2023年10月2日、2023年のノーベル生理学・医学賞に、新型コロナウイルスの 「mRNAワクチン」 の開発で大きな貢献をした、 ▽ハンガリー出身で、アメリカのペンシルベニア大学の研究者、カタリン・カリコ氏と、 ▽同じくペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン氏の、 2人を選びました。 これを受け、ペンシルベニア大学では2023年10月2日、2人が出席して記者会見が行われました。 この中でカリコ氏は、 「1997年、私たちはコピー機の前で出会いました」 「建物も部署も違いましたが、私たちは共に協力し、戦ってきました」 と振り返りました。 ワイスマン氏は 「研究資金も得られず、興味を持ってくれる人もいない中、いつも一緒に研究をしてきました」 「新型コロナウイルスワクチンの有効性が認められたのは大きな転換点でした」 「決して諦めずに取り組み続け、今があると思います」 と話していました。 2人は、mRNAをワクチンとして使うための基礎となる方法を開発し、新型コロナのパンデミックでは、記録的な速さでワクチンの開発が行われました。 ワクチンの開発から短い期間で受賞が決まったことについて、カリコ氏は 「私たちは賞のために仕事をしているわけではありません」 「大切なのは人に役立つものを作り出すことです」 「だから選ばれるとは思っていませんでした」 と述べました。 また、若い世代が科学を学ぶことの意味について問われると、ワイスマン氏は 「社会が前に進むためには科学が必要です」 「私たちは子供や孫、全ての人たちに、科学こそが世界を進展させるものだと伝える必要がある」 と強調していました。
[18初期非表示理由]:担当:スレ違いの長文多数のため全部処理
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