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「『日本発の薬』が新型コロナに効く?…医師すら"イベルメクチン神話"を信じてしまった2つの理由」
(岩澤 倫彦 PRESIDENT Online 2023/7/4)
https://president.jp/articles/-/71211
患者300人に投与した医師、個人輸入して過剰服用する人も…
新型コロナウイルス感染症の治療法が確立していなかった時期に、日本発の「イベルメクチン」
は“コロナ特効薬”として一部の人たちから熱烈な期待を集めた。その後、国内外で実施された臨床試験で、「新型コロナに有効性はない」という結果が出たにもかかわらず、現在も効果を信じている人たちがいる。一体なぜなのか。ジャーナリストの岩澤倫彦さんが取材した――。
■ 「イベルメクチンは殺されてしまった」?
「イベルメクチンに関して、日本は全部嘘の情報だけ。国に忖度そんたくしてどのメディアも踏み込めない。論文でイベルメクチンのエビデンスがないとかいうけど、それはワクチン会社が全部作っているんですね。ワクチンを打たせるために、イベルメクチンは殺されてしまった。ワクチンの問題とイベルメクチンは表裏一体。陰謀論じゃない!」
持論を一方的にまくし立てたのは、兵庫県でクリニックを経営していた長尾和宏氏。約300人のコロナ患者にイベルメクチンを処方して、死亡者ゼロだという“イベルメクチン推し”で知られる医師だ。取材を申し込んだところ、本人から筆者に直接電話がかかってきたのである。
イベルメクチンが新型コロナの治療に有効なのか調べた、国内2つの臨床試験の結果について、長尾医師に見解を聞きたかったのだが、議論が全く噛み合わない。事実と異なることを前提に話すからだ。
■ 計64億円の公的資金を使った臨床研究
北里大学は、2020年8月から2021年10月にかけて、248人のコロナ患者を対象に、イベルメクチンの臨床試験を実施。イベルメクチンとプラセボ(偽薬)を投与した2つのグループを比較した結果、新型コロナウイルスのPCR検査が陰性になるまでの期間に差はなかった。研究費は日本医療研究開発機構からの公的資金4億円が使われており、ワクチンメーカーから1円も入っていない。
製薬会社の興和も、2021年11月から1030人のコロナ患者を対象にイベルメクチンの臨床試験を実施したが、こちらも効果は実証されなかった。興和は厚生労働省から60億6387万円の支援を受けており、ワクチンメーカーの資金提供はない。
長尾医師は「国に忖度してどのメディアも踏み込めない」と述べたが、むしろイベルメクチンを好意的に伝えたテレビや週刊誌は少なくなかった。一時的なブームと期待感で取り上げたが、臨床試験で有効性が否定されたので報道しなくなったのだろう。
また、国内の臨床試験に多額の資金を投入している事実から考えると、国はイベルメクチンに大きな期待をかけていたとみるべきだ。イベルメクチンに関する情報を、ファクトチェックしていくと、誤解や思い込みの情報が一人歩きしていることが分かる。
■ 「イベルメクチン神話」の始まり
新型コロナの重症患者を中心に対応してきた、埼玉医科大学総合医療センターの岡秀昭教授は、感染拡大の初期からデルタ株の5波まで(2021年9月末)の時期が、最も厳しかったと語る。
「有効な治療薬がない、ワクチンの開発も追いつかない。高齢者だけでなく、働き盛りの40代から50代の患者も次々と重症化する。この状況は世界共通で、我々感染症の医師にとっては試練の日々でした。緊急の打開策だったのが、既存薬を新型コロナに応用する“ドラッグ・リポジショニング”です。イベルメクチンもその一つでした」
イベルメクチンは、寄生虫や疥癬(※)など感染症の治療薬として世界中で使用されている。中でもアフリカや南米に蔓延していた、失明を引き起こすオンコセルカ症の撲滅に大きな貢献を果たした。この実績が評価され、イベルメクチンを開発した大村智氏(北里大学特別栄誉教授)は、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞している。
パンデミックの混乱期だった2020年4月、「イベルメクチンで48時間以内に新型コロナウイルスがほぼ死滅した」というオーストラリアの研究が公表され、注目を集めた。この時の“誤解”が、イベルメクチン騒動の始まりだったと岡教授は指摘する。
※疥癬=ダニの一種が、人の皮膚に寄生して起こる、かゆみを伴った感染症
■ 「投与して治った、だから効く」の誤解
「これは試験管内の“基礎研究”の段階で、実際にコロナ患者に投与する“臨床試験”を実施してみないと、治療薬として有効性は判断できません。しかも、この研究で使われたイベルメクチンの濃度は、従来の100倍以上。安全性を考えると、同じ濃度を患者に投与する臨床試験は難しい。専門家なら分かりますが、『イベルメクチンは新型コロナに効く』というイメージだけが、一人歩きしてしまいました」
医薬品として承認されるためには、三段階の厳密な「臨床試験」が必要となる。試験管での研究成果は、その手前の段階に過ぎなかったのだが、「イベルメクチン神話」は、さまざまな思惑が交錯する中で暴走していく。
長尾医師は「300人のコロナ患者にイベルメクチンを投与して治った、だから効く」と公言する。その言葉を信じた人も多いようだが、ここにも誤解が潜んでいるという。
「私が対応した患者の中には、イベルメクチンを服用しても、重症化して入院した人もいました。コロナ患者の大半は、数日のうちに苦しい症状は治ります。臨床試験でイベルメクチンを投与した人とプラセボ(偽薬)に差が出なかったように、イベルメクチンで治ったというのは思い込みではないでしょうか」(岡秀昭教授)
医師の体験談(専門家の意見)は医学のエビデンスレベルでは「低いランク」に位置づけられる。2021年8月の記事〈「イベルメクチンこそ新型コロナの特効薬」を信じてはいけない5つの理由〉で解説しているので、ご参照いただきたい。
■ 治療薬がない状況で「安心材料」に
筆者は2021年1月に新型コロナの感染が判明して、ホテルで2週間の隔離生活を体験した。激しい咳の発作、頭が割れそうなほどの頭痛で、眠れない日々が続いた。医療機関への入院を希望したが、どこも受け入れるベッドがないという。その代わり、電話で医師が診察して、薬を処方するといわれた。
翌日、ホテルに届いた薬は「葛根湯」と解熱剤のみ。
当時は対症療法しかなかったので、それが最善の治療薬だったのだが、目の前が真っ暗になるほど落胆した。このままホテルで命を失うかもしれない、という不安と恐怖の中で、筆者は“新型コロナの特効薬”と一部で賞賛されていたイベルメクチンをインターネットで知る。正直に言えば、手に入るなら服用したい、という思いに駆られた。
イベルメクチンの最新情報を伝えるために、2021年2月下旬、北里大学・大村智記念研究所の花木秀明教授(感染制御研究センター長)を訪ねてインタビュー取材を行った。テレビや週刊誌、ツイッターも駆使してイベルメクチンをアピールする、スポークスマン的な人だったからである。
■ ドラマチックな予防効果エピソード
花木教授は、世界各地でイベルメクチンが効いた、という報告をいくつも説明してくれたが、特に強調していたのが、ペルーでの予防効果だった。イベルメクチンを配布した地域で、感染者数や死亡率が「スーッと下がった」というのである。
ただし、治療と予防のメカニズムは異なるし、実際に服用した人数や、感染者数を把握する検査体制も今ひとつ不明確だった。疫学の専門家なら、データの信憑性に欠けるとして一蹴するところだが、一般の人にとってペルーのエピソードは、ドラマチックで分かりやすい。
イベルメクチンの生みの親・大村智氏の部下でもある花木教授の情報発信は、コロナ禍で不安を抱えていた人々の心を捉えていった。
今回、北里大学の花木教授とイベルメクチンの臨床試験を担当した山岡邦宏教授に、改めて取材を申し入れたが、共に辞退するという回答だった。
■ 個人輸入する“裏技”で、過剰服用する人も
イベルメクチンへの期待感が高まっていくと、インドなどで製造されている海外のイベルメクチンを個人輸入する“裏技”が急増した。国内のイベルメクチンは、寄生虫や疥癬の治療用として承認されているので、新型コロナ治療薬としての処方は原則的にできないからだ。(※)
とはいえ、コロナ治療薬としてイベルメクチンの「服用量」は定まっておらず、SNS上では予防効果を期待して毎日服用している人も散見されている。
イベルメクチンは副作用が比較的少ないとされているが、それは寄生虫治療などでの1回、または2回の少量投与に限った話だ。アメリカでは大量のイベルメクチンを服用して、血圧低下や昏睡こんすいに至った、重篤な副作用が相次いで報告され、CDC(米国疾病予防管理センター)が注意を呼びかけた。
イベルメクチンはパッケージ(商品名:ストロメクトール)に、赤文字で記載されているとおり、「劇薬」であり、各個人の判断で服用するのは極めて危険な行為なのだ。
しかも、個人輸入の代行業者10社(Google検索の上位順)を調べると、全てが香港などの海外に拠点を置いている会社だった。イベルメクチンで健康被害などが起きた場合、完全に自己責任となってしまう可能性が高い。
※2021年3月24日の衆議院厚生労働委員会で、田村厚労相(当時)は、イベルメクチンの適応外処方を容認する発言をしている。
■ イベルメクチンが支持された2つの理由
なぜ人々は、イベルメクチンに強く惹かれるのか。医薬品を社会学の視点で研究する、東京大学薬学部の小野俊介准教授は、2つの要因を挙げた。
「日本人が発見してノーベル賞を得た日本発のイベルメクチンが、新型コロナの救世主になる、という物語は多くの人を魅了したはずです。現実的には、日本はもはや医薬品の先進国ではないし、過去にも世界をリードした時期があったわけでもありません。
もう一つは、科学的な体裁をとった根拠があったこと。一般の人だけでなく、インテリジェンスの高い研究者や一部の医師までイベルメクチンを支持しましたが、臨床試験などの結果の受け止め方が表層的で、本質を見抜く冷静さを失っていたように見えます」
「科学的な体裁をとった根拠」の一つが、海外で実施された臨床試験である。
■ 世界のイベルメクチン論文は「ハリボテ」だった
医薬品として承認を受けるには、試験薬とプラセボ(偽薬)を、無作為に2つのグループに分けた患者たちに投与して比較する「ランダム化比較試験(=通称RCT)」が必要となる。最も質が高いとされるのは、複数のRCTを解析した「メタアナリシス」だ。
「イベルメクチンが新型コロナに効く」というRCTやメタアナリシスは、海外から数多く報告されているが、ここに落とし穴があると小野准教授は指摘する。
「RCTやメタアナリシスといっても、対象患者の選び方や人数、評価項目やバイアス(偏り)を除く方法の有無などで、結果の信頼性は大きく異なります。臨床試験の信頼性を見分けるには、専門的な知識が必要ですが、RCTやメタアナリシスという“科学的な体裁”だけで、結果を信じてしまった人が多かったようです」
イベルメクチンの有効性を示す世界各地の論文について、専門家が調査した結果、不正が次々と明らかになっている。
イギリスのBBCは、2021年10月、イベルメクチンの主要な臨床試験26のうち、3分の1以上に深刻な誤りや不正行為があり、イベルメクチンが新型コロナによる死亡を防ぐとする臨床試験の全てに「明らかな捏造ねつぞうの兆候、重大な誤りがあった」と指摘した。
「イベルメクチンが効く」という科学的な体裁は、見せかけのハリボテだったのである。
■ 「がんにも効く」と発信する人の根拠は…
このようにコロナの特効薬ではなかった事実が明らかになっても、「イベルメクチン神話」は終わらない。最近では、「がんにも効く」という話が飛び交っているが、この情報を発信している人が引用していたのは、NHKのニュース番組の動画だった。
実際に鈴木聡教授(現・神戸大学)のグループは、2015年にイベルメクチンが胆管がんの治療薬となり得る、という研究結果を公表している。そこで鈴木教授に直接話を聞くと──。
「これはマウスにイベルメクチンを投与した基礎研究で、胆管がんの治療薬として使える”可能性”が分かったという段階です。実際の胆管がん患者を対象にした臨床試験ではありませんし、私の知る限り、今後も予定はありません」
■ イベルメクチン騒動から得られた大事な教訓
マウスによる研究は、治療薬としての可能性に過ぎない。イベルメクチンが、胆管がんの治療薬として有望なら、臨床試験を行って実用化に進んでいく。
だが、胆管がんの治療には、京都大学の本庶佑特別教授による免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ)など、効果が見込める有力な薬がすでに存在しているのだ。イベルメクチンを使った胆管がんの臨床試験が行われていないのは、製薬会社の陰謀ではない。
前出の岡秀昭教授は、イベルメクチンをめぐる騒動から、誤った情報が簡単に流布されてしまう現実に危機感を抱いていた。
「イベルメクチンだけでなく、最近は新型コロナのワクチンに関するデマが横行しています。『不妊の原因になる』『かえって新型コロナに感染しやすくなる』『がんになる』……すべて事実無根ですが、こうしたデマを信じてワクチンを回避する風潮が出てきました。イベルメクチンのようにイメージが先行したり、SNSで情報が大量に飛び交ったとしても、冷静に見極める目を養ってほしい。決して容易いことではありませんが、正しい情報を判断することは、ご自分の命を守ることに繋がるはずです」
医療情報に紛れ込んでいるデマには、一見すると科学の体裁を整えているものが多い。
そのデマを信じ込んで情報を拡散してしまう行為は、ご自身や他の人の命さえも危険に晒すことになる。
デマを見破る方法としては、まず客観的なファクトチェックを行うこと。そして情報の発信者が本当に信頼できる専門家であるか、経歴、業績に加えて「情報との利害関係」を調べることをお勧めしたい。
------(引用ここまで)------------------------------
この期に及んで、これでもかとデタラメを並べてベルメクチン叩きをするのに、
失笑せざるを得ません。
新型コロナに効く薬があると、コロナワクチンの緊急(特例)承認が取り消されてしまうので、
製薬業界は必死です。
それで御用ライターを使って、こういうデタラメを記事を書かせるわけです。
新型コロナにイベルメクチンが有効であるという論文はすでに何十もあります。
新型コロナやワクチン後遺症に効いたという服用者の報告も数えきれないほどあります。
それに対して、イベルメクチンに否定的な論文はわずかであり、すべてビル・ゲイツなど
ワクチン利権者が研究費を提供していることも判明しています。
およそ中立的なものではなく、投与を遅らせて効き目を低下させるなどの不正を行なっています。
岡秀昭教授と言えば、製薬会社から多額の謝礼を受け取っている御用の中の御用です。
「コロナ患者の大半は、数日のうちに苦しい症状は治る。それをイベルが効くと勘違いした」
と言っていますが、そもそもそんなに軽症ですむ病気になぜワクチン接種が必要なのか。
支離滅裂です。
イベルメクチンは、オンコセルカ症などの予防・治療のために、すでに数十年にも渡って
何十億人に投与され、ほとんど副作用も事故も報告されていません。
米国テネシー州では、医師の処方箋なしに買えるということです。
イベルメクチンに限らず、どんな薬でも大量に服用すれば危険です。当たり前の話です。
すでに日本国内だけでも二千人以上の死者が出ている新型コロナワクチンのほうが
はるかに危険です。
効くという見せかけのハリボテだったのは、イベルメクチンではなく新型コロナワクチンです。
新型コロナワクチンに関して、『不妊の原因になる』、『かえって新型コロナに感染しやすくなる』、
『がんになる』等、指摘されていますが、これらはすべて事実であり、着々とデータが
積み上がっており、論文も出始めています。
イベルメクチンはがんにも効くという研究が出始めていますが、安価なイベルメクチンで
がんが治るとなると、製薬会社は高価な抗がん剤などが売れなくなって困るのです。
だから必死で否定するのです。
彼らの主張には常に利権が絡んでいます。
いずれ、御用医師、御用マスコミ、御用ライターの言説が、ことごとく間違っていたことが
明らかになるでしょう。
(関連情報)
「イベルメクチン臨床試験 新型コロナの入院予防効果認められず (NHK)」 (拙稿 2022/4/2)
http://www.asyura2.com/21/iryo8/msg/802.html
「イベルメクチン否定の臨床試験を請け負った会社に、あの破綻したFTXが出資していた」
(拙稿 2022/11/20)
http://www.asyura2.com/22/iryo10/msg/234.html
「クリス・シューメーカー博士 『コロナ禍の何年も前に、コロナにはイベルメクチンが極めて有効であると
DARPAがCDCに報告していた』」 (拙稿 2022/12/30)
http://www.asyura2.com/22/iryo10/msg/447.html
「花木秀明教授 『イベルメクチン治験結果がよくなかったのは、二類の規定で投与が発症3-4日と遅れたため』
(及川幸久チャンネル)」 (拙稿 2022/12/9)
http://www.asyura2.com/22/iryo10/msg/340.html
「イベルメクチンでワクチン接種後の月経異常のほとんどが改善される (池澤孝夫)」 (拙稿 2023/6/12)
http://www.asyura2.com/23/iryo11/msg/500.html
「FDA、COVID-19治療のためイベルメクチンを服用しないよう伝えたのは単なる勧告に過ぎないと発表
(Epoch Times)」 (拙稿 2022/11/22)
http://www.asyura2.com/22/iryo10/msg/245.html
「ポール・マリック医師 『イベルメクチンを否定するのは、ワクチン緊急使用許可が得られなくなるから』
(Newsmax / 連新社訳)」 (拙稿 2022/9/24)
http://www.asyura2.com/22/iryo9/msg/785.html
「63にのぼる論文のメタ分析で、イベルメクチンの驚異的な治療・予防効果が判明。
インドの複数の州はすでにイベルメクチンでパンデミックは完全に終了済。しかし、どの国も一切報じず」
(阿修羅・てんさい 2021/8/18)
http://www.asyura2.com/21/iryo7/msg/238.html
「元WHOコンサルタントがイベルメクチンの削除の謎を暴露 (HighWire ym_damselfly訳)」
(拙稿 2022/8/14)
http://www.asyura2.com/22/iryo9/msg/600.html
「テネシー州、COVID-19治療に薬剤師によるイベルメクチンの処方を許可 (The Epoch Times)」
(拙稿 2022/4/29)
http://www.asyura2.com/22/iryo9/msg/141.html
「2019年『岡秀昭』の受け取り検索結果 875,692円」 (医療ガバナンス研究所)
https://yenfordocs.jp/pharmaceutical/2019/389024
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