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NHKが番組の中で不適切な編集があったと謝罪したが、珍しいことではない
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202305160001/
2023.05.16 櫻井ジャーナル
NHK「ニュースウオッチ9」公式ツイッターが5月16日に投稿した内容が話題になっている。その前日に放送された「新型コロナ5類移行一週間・戻りつつある日常」の中で、ワクチンが原因で死亡したという遺族の訴えを伝えず、コロナウイルスに感染して死亡したと受け取れるように編集されていたことを不適切だったとし、謝罪したのだ。その謝罪コメントは短時間のうちに削除されたようだが、これは恥の上塗り。
日本に限らず、西側では1980年代からメディアのプロパガンダ機関化が進んでいる。その実態が明確になった一例は2003年3月20日のイラクに対する先制攻撃だろう。攻撃の前、ジョージ・W・ブッシュ政権はイラクが「大量破壊兵器」を保有していると西側の有力メディアを通じて宣伝していた。
この宣伝でイギリスのトニー・ブレア政権が重要な役割を果たしたことも知られている。2002年9月にブレア政権は「イラク大量破壊兵器、イギリス政府の評価」というタイトルの報告書(9月文書)を作成、メディアにリークされた。
この報告書をパウエル国務長官は絶賛したが、大学院生の論文を無断引用した代物で、別に執筆者がいるとも噂されている。ともかく信頼できるものではなかった。しかもイギリス政府はその怪しげな文書をイラクの脅威を強調するため改竄している。
こうした話を疑っていたひとりがUNSCOM(国連特別委員会)の主任査察官だったスコット・リッターだ。そうした指摘を有力メディアは否定、あるいは無視、戦争を後押ししたわけである。
ところで、パウエルは1968年3月にベトナムのソンミ村で引き起こされた虐殺事件にも関係している。ウィリアム・カリー大尉の率いる部隊がこの村のミ・ライ地区とミ・ケ地区で農民を虐殺したのだ。犠牲者の数はアメリカ軍によるとミ・ライ地区だけで347人、ベトナム側の主張ではミ・ライ地区とミ・ケ地区を合わせて504人だという。
カリー大尉の小隊はアメリカ陸軍の第23歩兵師団に所属していたが、パウエルは1968年7月へ少佐としてベトナム入りしている。2004年5月4日に放送されたCNNのラリー・キング・ライブに出演した際、パウエルはソンミ村で虐殺があった後に現場を訪れて衝撃を受けたと語っている。
この虐殺はCIAと特殊部隊が行っていたフェニックス・プログラムの一環で、似たような出来事は少なくなかったと言われている。ソンミ村の虐殺が発覚したのは、たまたま上空にさしかかったアメリカ軍のヘリコプターの兵士が止めたからである。
アメリカ軍に同行していた記者やカメラマンは非戦闘員が虐殺されていることを知っていたが、報道していない。公表しようとしたのアメリカ軍の兵士。虐殺事件をアメリカの議員らに告発したアメリカ軍兵士もいたのだが、政治家も動かなかった。
虐殺の話を知ったユージン・マッカーシー上院議員のスタッフから調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは聞く。ハーシュも同議員の選挙キャンペーンに参加していた。
ハーシュはアメリカで取材、虐殺に関する記事を書くものの、ライフやルックといった有名な雑誌からは掲載を拒否される。伝えたのはワシントンを拠点とするディスパッチ・ニュース・サービスという小さな通信社だった。1969年11月のことだ。
アメリカの情報機関は1948年頃から「モッキンバード」と呼ばれる情報操作プロジェクトを始めている。CIAでこのプロジェクトを担当していたのはコード・メイヤー。実際の活動はアレン・ダレス、ダレスの側近だったフランク・ウィズナー、リチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムが指揮していた。(Deborah Davis, “Katharine The Great”, Sheridan Square Press, 1979)
グラハムの死後、妻のキャサリーンが社主に就任、その下でワシントン・ポスト紙は「ウォーターゲート事件」を暴くのだが、その取材で中心的な役割を果たしたカール・バーンスタインは1977年に同紙を辞めて「CIAとメディア」というタイトルの記事をローリング・ストーン誌に書いている。
その記事によると、1977年までの20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上に達し、1950年から66年にかけてニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供したという。ニューズウィーク誌の編集者だったマルコム・ミュアは責任ある立場にある全記者と緊密な関係をCIAは維持していたと思うと述べたとしている。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)
1970年代の半ば、CIAが有力メディアを情報操作のために使っていることはフランク・チャーチ上院議員を委員長とする情報活動に関する政府の工作を調べる特別委員会でも明らかにされた。ただ、CIAからの圧力で記者、編集者、発行人、あるいは放送局の重役から事情を聞いていない。
またフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だったウド・ウルフコテは2014年2月、ドイツにおけるCIAとメディアとの関係をテーマにした本を出版、その中で多くの国のジャーナリストがCIAに買収されていて、そうした工作が危険な状況を作り出していると告発している。
ウルフコテによると、CIAに買収されたジャーナリストは人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開し、ロシアとの戦争へと導いて引き返すことのできないところまで来ていると彼は警鐘を鳴らしていた。
しかし、メディアの状況はこの当時より格段に悪くなっている。バラク・オバマ政権はムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を傭兵として利用してシリアやリビアに対する侵略戦争を始める。侵略に加担したのはアメリカのほかイスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランス、カタール、そしてトルコ。プロパガンダはシリア系イギリス人のダニー・デイエムなる人物からの現地情報という形で西側の有力メディアが行っていた。
デイエムが撮影スタッフと演出の打ち合わせをしている場面がインターネット上に流出、中継はフィクションだということが明らかになった2013年3月、ジェームズ・ル・ムズリエなる人物がトルコで「SCD(シリア市民防衛、通称「白いヘルメット」)」が設立される。
SCDの活動目的は医療行為だとされたが、公開された映像からそのメンバーは医療行為の訓練を受けていないと主張する人もいた。それだけでなく、SCDメンバーがアル・カイダ系武装集団と重複していることを示す動画や写真も存在する。アル・カイダ系武装集団が撤退した後の建造物ではSCDと隣り合わせで活動していたことを示す証拠がビーリーやバートレットらによって確認されたのである。
ウクライナでも西側の有力メディアはあからさまに偽情報を流している。2014年2月にオバマ政権はネオ・ナチを使ってビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除した。このヤヌコビッチが支持基盤にしていた東部や南部はソ連時代にロシアからウクライナへ割譲された地域で、住民の7割以上がロシア語を話し、東方正教会の信徒が多く、ロシア文化圏に入っている。そこで東部や南部の住民はクーデターを拒否、ドンバスでは内戦が始まったのだ。
そうした東部の都市、マリウポリはクーデター後にネオ・ナチを主体とする親衛隊に占領された。昨年2月にロシアがミサイル攻撃を始めると住親衛隊は住民を人質にする。
後にロシア軍が解放した住民は異口同音に、脱出を試みる住民を親衛隊が射殺するだけでなく、建物を破壊、住民や捕虜を拷問、若い女性をレイプしているとも告発さしている。(例えばココやココだが、脱出した住民が増え、少なからぬ映像がインターネット上にアップロードされている。)
そうした住民が証言する様子を撮影した映像を西側の有力メディアは避けていたが、ドイツの有力な雑誌「シュピーゲル」はマリウポリのアゾフスタル製鉄所から脱出した住民のひとり、ナタリア・ウスマノバの証言を3分間の映像付きで5月2日に伝えたが、すぐに削除されてしまう。ショルツ内閣や米英の政権にとって都合の悪い事実が語られていたからだ。(インタビューのロイター版と削除部分の映像:ココ)
脱出した市民の声を伝えているのは現地で取材しているジャーナリスト。ドイツ人ジャーナリストのアリナ・リップ、フランス人ジャーナリストのアン-ローレ・ボンネル、カナダ人ジャーナリストのエバ・バートレットが有名だが、フランスの有力メディアTF1やRFIのスタッフ、またロシアやイタリア人の記者もいたという。
アメリカはさまざまな国を侵略、建造物を破壊し、人びとを虐殺、富を略奪しているが、それを正当化するため、偽情報を流してきた。西側の支配層が偽情報を流していることを明らかにする情報を彼らは「フェイク・ニュース」だと宣伝する。NHK「ニュースウオッチ9」も同じようなことをしたわけだ。
有力メディアは支配層、つまり強大な私的権力が望む筋書きに従って「報道」しようとする。都合の悪い事実は無視、最近では現実と無関係なハリウッド風のシナリオに合わせようとしている。
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