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新型コロナワクチンはなぜ“企画倒れ”なのか 京大医生物学研究所准教授に聞くB
https://hc.nikkan-gendai.com/articles/278922
2023年04月06日 日刊ゲンダイ
ワクチン接種を受ける対策分科会の尾身会長(代表撮影)
新型コロナウイルスを積極的に解説している京都大学医生物学研究所ウイルス共進化分野准教授の宮沢孝幸氏。獣医師の宮沢氏がそれを行う理由は、新型ウイルスはほぼすべて動物由来であり、主に獣医師がその危険性を顧みず研究を続けてきたからだ。そのひとりとして未曽有の国難にこれまでのウイルス研究の成果を役立てたいと考えたからに他ならない。その宮沢氏に何かと話題の新型コロナワクチンについて聞いた。
「今回、日本国内で新型コロナウイルス感染症対策として接種されたのは主にmRNAワクチンです。これほど大規模な接種は人類初の試みです。しかし、私はこのワクチンは元々“企画倒れ”だったと考えています」
一般的なワクチンは病原体を不活化させるか、毒性を弱めるかしたものなどを体内に注入することでヒトが本来持っている免疫を誘導して感染や重症化を防ぐ。今回は新型コロナウイルスの表面にある突起状の「スパイクタンパク質」を合成する設計図(mRNA)を体内に送り込むことで、「新型コロナウイルスが侵入した、防御態勢を取れ」と体に認識させる。その結果、スパイクタンパク質が細胞に結合しないようにする抗体が大量につくられ、ウイルスが細胞に感染しないようにする。
「しかし、そもそもコロナウイルスに対するワクチン自体、作るのが難しいと思います。事実、豚や牛、犬に対するワクチンはありますが、コロナウイルスを根絶できたものはありませんし、猫においては有効なワクチンすらできていません。呼吸器感染症で防御効果があるのは粘膜面に出てくるIgA抗体です。しかし、今回のmRNAワクチンのIgA抗体の誘導能は低い。時間がたてばIgA抗体も減って効かなくなる。それもウイルスが変異すれば対応できません。むしろ、変異したウイルスにワクチンを打ち続けるとリスクがあります。抗体にはウイルスの感染性を失わせる中和抗体と、その能力のない非中和抗体がありますが、結果的に後者の割合が増えて効かなくなってしまうからです」
■非中和抗体が増えてマイナス面が大きくなる可能性
仮にスパイクタンパク質に抗体がくっついて、ウイルス感染受容体を介しての感染を防いだとしても、新型コロナは別の方法でヒトの細胞に感染できるという。
「マクロファージなどの免疫細胞の表面にあるFc受容体と血中のIgG抗体が結合して、エンドサイトーシスと呼ばれる経路でヒト細胞に侵入することが可能です。この作用が中和抗体の作用を上回ると逆効果になります。ヒトのデングウイルスなどで見られる現象で、珍しいことではありません」
また、スパイクタンパク質やウイルスとそれに結合する抗体が集まると、複合体が形成され、補体と呼ばれる物質がそこに集結する。すると補体が活性化され近くの細胞を傷害したり、複合体がマクロファージなどの免疫細胞と結合してサイトカインが過剰に分泌され、激しい炎症反応を起こしたりする。抗体依存性感染増強(ADE)と呼ばれる現象だ。
「今回のワクチンにはこうしたことも起きている可能性があるのではないか、と心配しています。ADEのメカニズムの全容は解明されておらず、よく似た遺伝構造のSARSコロナウイルスやMERSコロナウイルスにはADE現象が見られるわけで、新型コロナにもあると考えるのが自然だと思うのです」
仮にそうであっても、ワクチン接種後、しばらくすれば抗体は減る。ADEをそれほど恐れる必要はないのではないか?
「そうではありません。抗体全体における中和抗体の割合は低く、時間がたてば非中和抗体ばかりが体内に残って悪い影響が強く出る可能性があるとも考えられます」
新型コロナワクチン接種者が、非接種者よりもPCR検査の陽性者が多いとのデータは米NY州の12〜17歳の子供の100万人データで明らかになっている。日本では、名古屋大学名誉教授の指摘で修正した厚労省データでも2回目接種者は、そうでない人に比べて陽性率が高いとのデータが得られているという。
世界的にSARSが話題になった2003年ごろ、当時の日本のウイルス学会の重鎮のひとりは「日本ウイルス学会は医業だけの会ではない」と提言し、未知なるウイルスに対して専門分野を超えて対応することを求めたという。日本の新型コロナ対策は医業一辺倒でなく、もっとさまざまな側面から、いま一度検討すべきではないのか。
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