<■364行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> LGBT思想の真実…なぜ少女は男になる 福井義高 2023/7/14 7:00 https://www.sankei.com/article/20230714-62VJ4IQHWJL5XAW2JD4GDAIHDU/ LGBTなど性的少数者を巡っては、賛否両論ある中で理解増進法が成立したものの、推進派と慎重派の間で建設的議論が行われた結果とは言い難い。 また、両者とも、自らの価値観を声高に主張するだけで、議論が嚙み合っていないように見受けられる。 LGBTに対する配慮にかける発言がある一方で、推進派はやみくもに慎重派の主張を 「差別だ」 と糾弾するため、自由な議論ができないという現実もあろう。 実は、推進派が範とする欧米でも、事情は変わらない。 ここでは、今後の実りある議論を期待して、LGBTの「T」即ちトランスジェンダーに焦点をあて、LGBT推進の時代精神に沿わない研究を無視、感情的に批判する風潮の中で取り上げられることの少ない実証研究や、欧米での新しい動向を紹介したい。 ■「LGB」と「T」は別の問題 まず初めに注意すべきは、LGBTと一括して語られることが通例となっているけれども、LGBT即ちレズビアン(L・女性同性愛)、ゲイ(G・男性同性愛)、バイセクシュアル(B・両性愛)と、トランスジェンダーは大きく性質を異にするということである。 LGBは個人の性的指向であり、その対象に同性を含むということ以外、異性愛と変わるものではない。 少なくとも大人に関しては、他人があれこれ言う話ではない。 ただし、法的に同性婚を異性婚と同様に認めるか否かなど、制度的取り扱いをどうするかは、また別の問題である。 一方、生物学的性(sex:生物の性別、雄と雌)と自らが考える性(gender:社会の性別、男性と女性)が異なると訴えるトランスジェンダー(Transgender)に関しては、その一部は、かつて非異性愛がそうであったように、世界的に専門家の間で利用されている米国精神医学会『精神疾患の診断・統計マニュアル』の現行版でも、 「性別違和」(gender dysphoria) として取り上げられている。 日本語で 「性同一性障害」 と訳されている 《gender identity disorder》 という用語は否定的印象を与えるということで避けられるようになっているけれども、治療の対象であることには変わりはない。 以下、日本での通例に従い、 「性同一性障害」 という表現で統一する。 ■「生まれつき」ではなく・・・ トランスジェンダーとされる人が、必ずしも性同一性障害であるとは限らないし、全てのトランスジェンダーが治療を求めているわけでもない。 更に性同一性障害も一律ではない。 日本では、生まれつきの性自認と生物としての性が異なるのが性同一性障害と思っている人が多いようである。 しかし、欧米の研究では、トランスジェンダー推進論の影響下にある教育やメディア、特にSNSやインターネットを通じて性同一性障害を訴えるようになるケースが少なくないことも指摘されている。 性同一性障害については、トランスジェンダー研究の大家マイケル・ベイリー教授(米ノースウェスタン大)とレイ・ブランチャード教授(カナダのトロント大)が、主なものとして次の3つのタイプに分類している。 第1の類型は、幼少期に発現するもので、男児(女児)が幼いうちから自分は女(男)だと自認する。 こうしたタイプは男児の方が女児より多い。 古くから確認されている類型であり、研究も進んでいる。 このタイプは、大人になるまでに、その大半の性自認が生物学的性と一致する。 つまり、性同一性障害が解消する。 もちろん、解消しない場合もある。 第2は、成人あるいは青年期の男性に発言するタイプ。 子供の頃には性同一性障害はなかったのに、性的に成熟してから、女性になった自分を想像して性的に興奮する 「自己女性化性愛症」(autogynephilia:オートガイネフィリア(英:Autogynephilia)とは、男性が、自身を女性だと想像すること、または、女装行為自体、女装中に「女性」として男性と肉体関係を持つこと、そして、これらのような各種「女性化」によって性的興奮する性的嗜好) に起因してなるものである。 ただし、この性愛症の男性全てが性同一性障害というわけではない。 この類型は、結婚して子供がいる場合もあり、本人たちは性愛症由来であることを否定することが多い。 ベイリー教授らは、このタイプに関しては 「心は女、体は男」 という主張は 「フィクション」 だとしている。 そして、近年急速に増えているのが、思春期に突発的に発現する 「ROGD」(rapid-onset gender dysphoria:急速な始まり性神経不安) と呼ばれる3つ目の類型である。 この類型の特徴は、思春期になるまで、全くその兆候がなく突然、性同一性障害が生じたと当事者が主張する点である。 ほとんどが女性、しかも中上流白人家庭の少女たちが中心で、両親の政治的傾向はリベラルでLGBTに好意的な場合が多い。 何不自由なく物分かりの良い両親の下で育った娘たちが、突然 「心は男」 と言い出すのである。 重要なのは、この類型には社会的伝播性が顕著で、学校のあるクラスで1人がそうだと言い出すと次々に自分もそうだと言うようになる傾向である。 トランスジェンダー教育が誘発する可能性も指摘されている。 性同一性障害は本来、個人的なもので、他人の影響を受けてなる性質のもではないのに、この類型には明らかに社会的影響がある。 米国では元々、性同一性障害は1万人に1人(0.01%)もいない稀な事象とされてきたのに、2017年の調査によると、高校生の2%(1万人に200人の割合)がトランスジェンダーと自認するようになった。 その背景にあるのが、その存在を巡りまだ論争が続いているこの類型の増加と見られている。 ■保守に救われるリベラル 米国で、トランスジェンダー推進の下、学校でも医療の場でも、子供の意見をそのまま肯定することが正しいとされ、反対する親は偏狭と非難されるという風潮となっている。 信じ難いことに、少女たちが望めば、親の承諾なしに、名前を男性のものに変え、人称代名詞sheからheに変更するといった社会的移行、大人の女性になることを止める2次性徴抑制ホルモンや男性化するためのテストステロン使用、乳房切除等の外科手術が行われているのである。 こうなると、如何にリベラルな親でも驚き、悩む。 しかし、トランスジェンダー推進を金科玉条とするリベラル主流派が、親を支援することは期待できないし、実際しない。 その結果、リベラルに見捨てられたリベラルな両親が、保守系団体に救いを求める事態となっている。 これが米国の現状なのだ。 ジャーナリストのアビゲイル・シュライアー氏が 『取り返しのつかないダメージ』(未邦訳) で指摘しているように、親の苦悩と親から引き離され、 「治療」 を受けた本人の後悔は極めて深刻である。 こうした現状に、最近ではトランスジェンダー推進に対する反発も顕在化してきた。 英国では、子供を対象とするジェンダー診療の中核を担ってきた、英国民保険サービス(NHS)監督下にある医療機関 「タビストック・アンド・ポートマン・トラスト」 の 「ジェンダー・アイデンティティ・デベロップメント・サービス」(GIDS) が閉鎖されることになった。 BBCによる報道を契機に、子供に対する2次性徴抑制ホルモンの乱用などの 「治療」 行為が広く知られることとなり、批判が殺到した結果である。 子供の性同一性障害は前述の通り、大半が大人になる過程で解消するにもかかわらず、2次性徴抑制ホルモンを使い始めると、逆にほとんどの場合、後戻りが困難になってしまう。 ここで紹介した研究が全て正しいと言うつもりもないし、大人が如何なるジェンダーアイデンティティを持とうが、その人の自由である。 しかし、大人の考えで、子供たちに 「取り返しのつかないダメージ」 を与えることがあってはならない。 少なくとも筆者はそう信じている。トイレ制限訴訟 判決の拡大解釈避けるべきだ 2023/7/12 5:00 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20230711-OYT1T50256/ 心と体の性が一致しない人の事情は様々であろう。 判決は、1人1人の状況を踏まえ、求められる職場環境を個別に検討すべきだとする判断を示したと言えよう。 戸籍上は男性だが、女性として生活する性同一性障害の50歳代の経済産業省職員が、庁舎内の女性用トイレの使用を不当に制限されたとして国に制限の撤廃を求めた訴訟で、最高裁は国の対応を違法だとする判決を言い渡した。 原告は入省後に性同一性障害と診断され、2010年以降は女性の身なりで勤務してきた。 経産省からは 「他の女性職員とのトラブルを避けるため」 との理由で、職場から2階以上離れた女性用トイレを使うよう求められた。 1審・東京地裁は使用制限の違法性を認めたが、2審・東京高裁は違法ではないと判断した。 これに対し、最高裁は、原告が女性用トイレを使っても性暴力を起こす可能性は低く、他の女性職員ともトラブルになっていないと指摘した。 他の職員への配慮を重視し過ぎて、原告の不利益を軽んじていると考えたのだろう。 最高裁判事の1人は 「判決は不特定多数が使用する公共施設について触れるものではない」 と補足意見を述べた。 判決は原告とその職場について論じており、デパートや公園などのトイレにまで拡大して解釈するのは誤りだ。 トイレに異性が入ってくることに抵抗感を持つ人は少なくない。 悪意のある男性が 「自分は女性だ」 と主張し、女性用トイレに侵入するような行為は許されない。 判決に触発され、性自認に応じたトイレ使用を広く認めるべきだという極端な議論が起きれば、社会に混乱が生じる恐れもある。 先の国会では、議論が不十分なまま性的少数者(LGBT)への理解増進法が成立した。 女性団体などからは、トランスジェンダーによる公衆浴場や女性用トイレの利用が、女性の権利侵害になると不安視する声も上がっている。 厚生労働省は2023年6月、公衆浴場の利用について、身体的な特徴によって男女を区別するという通知を出した。 性自認を過度に重視する傾向が強まれば、男女を身体で区別する考え方も、不当な差別だとして否定されかねない。 トランスジェンダーの中には、性自認を伏せて生活している人も多い。 職場や教育現場では、プライバシーに十分配慮しながら、本人とその周囲の人の権利を守れるような解決策を、その都度検討していくことが大切だ。 「女性トイレ」めぐる最高裁判決に不安の声も…「偽トランスジェンダーが入ってくる」の“勘違い” 2023/7/12 https://nordot.app/1051737821854941919?c=768367547562557440 女性として暮らす50代の経産省職員が、職場の女性トイレ使用の制限をめぐって起こした裁判で、最高裁は2023年7月11日、裁判官5人全員一致の結論として 「国の対応は違法」 とする判決を言い渡した。 判決後に都内で行われた記者会見には多くの報道陣が詰めかけ、注目度の高さを物語っていた。 ■原告の「逆転勝訴」 判決によると、原告は男性として入省後、1999年頃には医師より性同一性障害である旨の診断を受けた。 健康上の理由から性別適合手術は受けておらず、戸籍は男性のままだが、血液中の男性ホルモン量が同年代男性の基準値の下限から大きく下回っており、性衝動による性暴力の可能性が低いとの診断も受けているという。 2009年に性同一性障害について上司に伝え、女性として勤務したいことを要望し、翌年には同部署の職員への説明会を経て女性らしい服装や髪型、化粧、更衣室の利用が認められた。 しかし女性トイレについては、執務室から2階以上離れたフロアを利用するよう制限されたという。 なお更衣室や女性トイレの使用を始めて以来、他の職員との間でトラブルが生じたことはないそうだ。 原告は女性トイレの自由な使用を含めて、原則的に女性職員と同等の処遇を行うよう人事院に行政措置を求めたが、2015年に要求を認められないとの判定を受けたことから、国を相手に訴訟を起こすに至った。 国の対応について、2019年の1審判決では「違法」、2021年の2審判決では「適法」とされており、最高裁判決は原告の「逆転勝訴」となった。 ■「他の職員に対する配慮を過度に重視」 最高裁は人事院の判定について 「具体的な事情を踏まえることなく他の職員に対する配慮を過度に重視し、上告人(編注:原告)の不利益を不当に軽視するものであって(中略)著しく妥当性を欠いたものといわざるを得ない」 と評価。 原告の不利益については、 性同一性障害である旨の医師の診断を受けているところ、本件処遇の下において、自認する性別と異なる男性用のトイレを使用するか、本件執務階から離れた階の女性トイレ等を使用せざるを得ないのであり、日常的に相応の不利益を受けていることができる と判断。 一方で人事院の判定が 「妥当性を欠いた」 根拠としては、以下の事情を挙げた。 ・健康上の理由から性別適合手術を受けていないものの、女性ホルモンの投与や女性化形成手術を受けるなどしている ・性衝動に基づく性暴力の可能性は低い旨の医師の診断も受けている ・説明会の後、女性の服装等で勤務し、執務階から2階以上離れた階の女性トイレを使用するようになったことでトラブルが生じたことはない ・説明会においては、原告が執務階の女性トイレを使用することについて、担当職員から数名の女性職員が違和感を抱いているように見えたに留まり、明確に異を唱える職員がいたことは窺われない 説明会から人事院判定に至るまでの約4年10か月の間に、原告による庁舎内の女性トイレの使用につき、特段の配慮をするべき他の職員が存在するか否かについての調査が改めて行われ、処遇の見直しが検討されたこともうかがわれない ■「無条件に許容する」という判決ではない 尚、最高裁判決を受け、SNSやネットニュースのコメント欄では 「偽トランスジェンダーが女子トイレに侵入しても止める根拠が無くなる」 「これで今度は女性がトイレに行けなくなるという矛盾」 といった“反対派”の声が目立っているが、今崎幸彦裁判長は補足意見として以下のように述べている。 「本件のような事例で、同じトイレを使用する他の職員への説明(情報提供)やその理解(納得)のないまま自由にトイレの使用を許容すべきかというと、現状でそれを無条件に受け入れるというコンセンサスが社会にあるとは言えないであろう」 「本判決は、トイレを含め、不特定又は多数の人々の使用が想定されている公共施設の使用の在り方について触れるものではない」 「この問題は、機会を改めて議論されるべきである」 主張 トイレ制限「違法」 個別事情踏まえた判断だ 2023/7/12 5:00 https://www.sankei.com/article/20230712-4RD4X2D4ANA7RIVDI52TDBMJJE/ 心と体の性が一致しないトランスジェンダーを巡り、最高裁は職場の女性用トイレの使用に制限を設けたことを「違法」とする判断を示した。 原告は戸籍上、男性だが、医師が性同一性障害と診断するなど個別事情を考慮したものだ。 制限が「違法」とされたからといって、誰でも女性と自称すれば女子トイレに入っていいわけではない。 定義が曖昧で自己申告による性自認と、医学的見地からの性同一性障害は線引きして考えるべきである。 原告は経済産業省に勤務する50代の職員で、同僚への説明会などを経て女性の身なりで勤務している。 性同一性障害に関する特例法では、複数の医師の診断など一定の条件で戸籍上の性別を変更することなどを認めているが、健康上の理由から戸籍変更に必要な性別適合手術は受けていない。 原告に対し、勤務するフロアから2階以上離れたトイレを使うよう求めた使用制限について1審は「違法」、2審は「適法」とし、判断は分かれていた。 2審は使用制限について 「他の職員の性的羞恥心や不安」 を考慮し、全職員にとって適切な職場環境を作る対応だったとした。 周囲の理解を重く見た形だ。 これに対し最高裁は、原告は女性ホルモンの投与を受けている他、性衝動に基づく性暴力の可能性は低いとの医師の診断があり、職場でのトラブルもないことなど具体的な実態をあげた。 最高裁が今回「違法」と判断したからといって、他の職場などでも同様に考えるのは早計だ。 各裁判官の補足意見では、職場状況などは多様なため、今回の判決が 「一律の解決策とはならない」 とクギを刺した。 不特定多数が使う公共施設の使用の在り方に触れるものではないともした。 LGBTなど性的少数者への理解増進法が2023年6月に施行されたが、女性と自称する男性が、女性専用スペースに入ることを正当化しかねないという不安は払拭されていない。 厚生労働省は、公衆浴場ではこれまで通り 「身体的特徴」 で男女を取り扱うことなどを確認する通知を自治体に出している。 同法は不安を踏まえ 「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意する」 と条文が追加された。 周囲の理解を欠いてはその実現も叶わない。 全裁判官が異例の個別意見 トイレ使用制限訴訟 2023/7/11 20:26 https://www.sankei.com/article/20230711-XZYU7PGZZRPVBAEBWQ36QPB4AA/ 戸籍上は男性だが性自認は女性の性同一性障害の経済産業省職員に対するトイレの使用制限を巡る訴訟で最高裁第3小法廷(今崎幸彦裁判長)が2023年7月11日、国の対応を違法とする初判断を示した。 「職場のトイレ」 という限られた空間に関し個別事情を踏まえ判断した形だが、裁判官5人全員が補足意見を付けた。 性的少数者への配慮というより一般的な問題に対し、社会全体での議論を促したと言える。 今回の訴訟で問題となったのは、トイレの使用を制限した経産省が根拠とした女性用トイレを使う他の女性職員らに対する 「配慮」 と、原告職員が自認する性に即した社会生活を送る 「法的利益」 とのバランスだった。 同小法廷は、双方の重要性を認めた上で、原告職員が職場で 「女性」 として十分認知され、公共施設などと異なり人間関係が限定されている具体的な事情を分析。 原告職員がトイレの使用でトラブルを起こしたことはなく、経産省の措置を 「問題ない」 とした人事院判定までの間、経産省が見直しを検討した形跡もないことを踏まえ、結論を導いた。 判決では、異例となる裁判官5人全員の補足意見が付され、それぞれ持論を展開した。 裁判官出身の今崎裁判長は、今回の判決について 「不特定多数が利用する公共施設のトイレなどを想定した判断ではない」 とした上で 「そうした問題は、機会を改めて議論されるべきだ」 と指摘。 「今後、この種の事例は社会の様々な場面で起こる」 とし 「多くの人々の理解抜きに解決はなく、社会全体で議論され、コンセンサスが形成されることが望まれる」 と述べた。 学者出身の宇賀克也氏は、原告職員が戸籍変更に必要な性別適合手術を受けていなかったことに触れ 「手術は生命・健康への危険を伴い、経済的な負担も大きい」 「受けていなくても可能な限り性自認を尊重して対応すべきだ」 とした。 弁護士出身の渡辺恵理子氏と裁判官出身の林道晴氏も 「性別は人格的な生存と密接不可分」 とし、原告と他の職員との間の利害調整は、具体的に行う必要があったと強調。 経産省が、説明会で女性職員が 「違和感を抱いているように見えた」 という曖昧な理由で制限を決めたことは 「合理性を欠くことは明らかだ」 と批判した。 行政官出身の長嶺安政氏は、トイレの利用制限自体は他の職員の心理面も踏まえ 「激変緩和措置として一定の合理性はあった」 としつつ、 「必要に応じて見直すべきだった」 と述べた。 判決を受けて経産省は 「判決を精査した上で対応していく」。 人事院は 「判決の内容を十分に精査し、適切に対応していきたい」 とそれぞれコメントした。 トイレ使用制限、国の対応「違法」 性同一性障害の経産省職員、最高裁が初判断 2023/7/11 15:14 https://www.sankei.com/article/20230711-2XY73MQSXJMGXA64JNPA7UIJUU/ 戸籍上は男性だが性同一性障害で女性として生活する経済産業省の50代職員が勤務先の庁舎で女性用トイレの利用を制限しないよう国に求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(今崎幸彦裁判長)は2023年7月11日、制限を 「適法」 として職員の逆転敗訴とした2審判決を破棄し、制限を行った国の対応は 「違法」 とする判断を示した。 心と体の性別が一致しない 「トランスジェンダー」 の職場での処遇に関する初の最高裁判断。 性的少数者の権利擁護に関する議論が高まりを見せる中、学校や企業といった特定の人々で構成される場所での同様のケースを巡る対応に影響を与えそうだ。 判決によると、職員はホルモン治療を続け、女性として生活。 健康上の理由から性別適合手術は受けていない。 2010年に同僚への説明会などを経て女性の身なりで勤務を始めたが、経産省は勤務するフロアと上下1階にある女性用トイレの使用を制限した。 職員は使用制限の撤廃を人事院に求めたが認められず、国に対し処遇改善などを求めて提訴。 1審東京地裁判決は 「制約は正当化できない」 とし、トイレの使用制限を違法と認定した上で慰謝料など132万円の支払いを命じたが、 2審東京高裁判決は 「処遇は他の職員の性的羞恥心や不安を考慮し、適切な職場環境をつくる責任を果たすためだった」 として適法と判断。 面談時の上司の不適切な発言のみを違法と認め、11万円の支払いを命じた。 職員は上告し、最高裁では経産省が行ったトイレの使用制限を人事院が 「問題ない」 と判断した部分が審理さた。 2023年6月16日には上告審弁論が開かれ、職員側は 「女性として社会生活を送る重要な法的利益を制約するものだ」 と主張。 国側は 「人事院判定は適切だった」 と反論した。 性同一性障害 トイレ使用制限訴訟の判決要旨 2023年7月12日 産経新聞 性同一性障害の経済産業省職員に対する女性用トイレの使用制限を違法とした2023年7月11日の最高裁判決の要旨は次の通り。 【事実関係】 原告は生物学的には男性だが平成11年頃、性同一性障害と診断され、平成20年頃から女性として私生活を送るようになった。 健康上の理由から性別適合手術は受けていない。 平成22年7月、原告の性同一性障害に関する同僚向け説明会が開かれた。 担当職員には、原告が勤務先フロアの女性用トイレを使うことに、数人の女性職員が違和感を抱いているように見えた。 原告には勤務先とその上下の階の女性用トイレ使用は認めないこととした。 その後、他の職員とトラブルは生じていない。 原告は平成25年、女性用トイレを自由に使わせるよう行政措置を求めたが、人事院は平成27年5月、認められないと判定した。 【法廷意見】 原告は、自認する性別と異なる男性用トイレを使わざるを得ず、日常的に相応の不利益を受けている。 一方、同僚への説明会後、原告のトイレ使用を巡るトラブルはない。 人事院判定までの間、見直しが検討されたことは窺われない。 遅くとも人事院判定の時点で、原告が女性用トイレを自由に使うことによるトラブルは想定しづらく、原告に不利益を甘受させるだけの具体的事情は見当たらなかった。 人事院の判断は職員への配慮を過度に重視し、原告の不利益を不当に軽視するもので、著しく妥当性を欠き違法だ。 【宇賀克也裁判官の補足意見】 性別適合手術は生命・健康への危険を伴う。 受けていなくても、可能な限り性自認を尊重して対応すべきだ。 同僚の女性職員が原告と同じトイレを使うことに抱く違和感・羞恥心は、トランスジェンダーへの理解を増進する研修で相当程度拭えるはずだ。 経産省はそうした取り組みをしないまま約5年が経過した。 多様性を尊重する共生社会の実現に向けた取り組みが十分だったとは言えない。 【長嶺安政裁判官の補足意見】 経産省の処遇は、急な状況変化に伴う混乱を避ける激変緩和措置と見ることができ、説明会の時点では一定の合理性があったと考えられる。 しかし経産省には、この処遇を必要に応じ見直す責務があった。 自認する性別に即し社会生活を送ることは重要な権利だ。 【渡辺恵理子、林道晴両裁判官の補足意見】 経産省は、説明会で女性職員が違和感を抱いているように「見えた」ことを理由に、原告の女性用トイレ使用を一部禁止し、その後も維持した。 合理性を欠くことは明らかだ。 激変緩和措置として一部禁止するとしても、女性職員らの理解を得るよう努め、次第に軽減・解除すべきだった。 【今崎幸彦裁判長の補足意見】 今回のような事例で、他の職員の理解を得るためどのような形で、どの程度の内容を伝えるのかといった具体論は、プライバシー保護との慎重な衝量が求められ、難しい判断を求められる。 事情は様々で、一律の解決策には馴染まない。 現時点では、本人の要望と他の職員の意見をよく聴取し、最適な解決策を探る以外にない。 今後、事案の更なる積み重ねを通じ、標準的な扱いや指針、基準が形作られることに期待したい。 今回の判決は不特定多数が使う公共施設の使用の在り方に触れるものではない。 それは機会を改めて議論されるべきだ。
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