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円安歯止めは「年単位の時間」と専門家が悲観観測…1ドル=110〜120円台は遥か遠い道のり
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/340425
2024/05/21 日刊ゲンダイ
とりあえず注視(日銀の植田和男総裁=代表撮影)
歯止めがかからない歴史的な円安水準に、個人も企業も疲弊するばかりだ。毎日新聞の最新の世論調査(18〜19日実施)によると、円安が自身の暮らし向きにとって「マイナス面が大きい」との回答が8割に上ったという。悲しいかな、為替の影響が暗い影を落とす状況はしばらく続きそうだ。
足元の円相場は1ドル=154〜156円台で推移。政府・日銀による覆面介入の効果なのか、先月29日に一時1ドル=160円に達して以降、150円台半ばをウロウロしている。
円安のおかげで輸出企業はウハウハだろうが、帝国データバンク(TDB)が17日に公表した〈円安に関する企業の影響アンケート〉によれば、対象企業(有効回答1046社)の実に63.9%が円安進行について「利益にマイナス」と回答。自社にとって適正な為替レートの水準は「1ドル=110〜120円台」が50.1%を占めた。足元の円安水準が多くの企業を悩ませ、いかに行き過ぎているかがよく分かる。
円安・コスト高による倒産増の恐れ
ただ、1ドル=110〜120円台までは遠い道のりだ。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「現状は企業が望ましいレートより30〜40円の開きがあり、円のドルに対する購買力平価を1ドル=100円程度と考えれば、50円も差があります。ギャップが大きすぎて、急な修正は不可能です。ひとまず140円台に軟着陸させ、130円台、120円台と少しずつ軌道修正していくほかありません。足元の異常な円安を招いたのは、10年に及ぶ金融緩和、そして5%の開きがある日米の金利差です。日銀は大幅な利上げはできないのだから、早めに動いて少しずつでも金利の修正を図るべきです。日銀が利上げし、アメリカが利下げしてようやく金利差は4%を切るかどうか。日銀は一気に利上げする気はないから、円安に歯止めがかかるのは年単位の時間が必要でしょう。しばらくは企業にとっても、日々の暮らしにとっても大変な状況が続くと思います」
日本は中小企業・小規模事業者が99%を占める。TDBの調査では、円安が売上高と利益の両方に「マイナス影響」と答えた企業が中小企業は32.9%、うち小規模事業者は34.3%に上った。
「円安進行で恩恵を受けるのは、外貨資産を大量に保有する企業や輸出大企業ぐらい。今の状況が続くと、円安・コスト高による倒産が増えていく恐れがあります」(斎藤満氏)
円安を放置し続ける政府・日銀がいかに罪深いことか。
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