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2024年4月22日 12時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/322676?rct=tokuhou
計4棟のタワーマンションを建設する2つの再開発に揺れる東京・板橋のハッピーロード大山商店街。そのシンボルである長さ約560メートルの巨大アーケードの一部解体工事が4月から始まった。すでに一部の屋根が取り外され、商店街は中心部で分断される形に。解体は、都道の整備と再開発に伴うためとされるが、都道の用地買収は難航し、完成のめどは立っていない。先んじてアーケードを解体する理由に乏しいように思えるが―。(岸本拓也)
◆気付いたら屋根がなくなっていた
「気付いたら屋根がなくなってて驚いた。毎日来てたけど、雨でぬれたら嫌だし、足が遠のくかも」
4月中旬、大山商店街を歩いていた販売業の女性(67)は骨組みがあらわになったアーケードの屋根部分を見上げた。
地元住民によると、屋根部分の取り外しが始まったのは4月9日深夜。近くに住む平川広美さん(65)は「夜中に電動カッターで屋根を切っている音やガシャーンという音が聞こえるようになった。この日から解体を始めるなんて説明はなかった」と話す。
◆先行工事は「断腸の思い」というけれど
アーケードは1978年、商店街振興組合が集客の目玉に完成させた。だが、東京都が2015年に都市計画道路「補助第26号線」を整備することを決定。アーケードを所有する振興組合が、その整備に協力する形で、都道が横断する部分約180メートルの解体を決めた。今年4月からは「第1期」として、このうち68メートル分を9月末までに完全に撤去する。残る部分の解体時期は決まっていない。
都は25年度に都道の完成を目指すとするものの、立ち退きに反対する住民も多く、整備に必要な用地買収率は51%(昨年3月末時点)。予算執行率も3割に満たない。都道の完成が見通せない中で、一部商店主らが先行してアーケードを解体することに反発、今年3月に中止を求める仮処分を東京地裁に申し立てた。
商店主らは4月中旬、反対の署名活動を行い、商店街でスーパーを経営する「コモディイイダ」の飯田武男社長(84)も参加。「いつ道路ができるか分からないのに、先にアーケードを壊して商店街の魅力を失うことはマイナスしかない」と強調した。振興組合は3月に商店主向けの説明会を開いたが、「なぜ先行して解体するのか、具体的な説明はなかった」と憤慨する。
改めて振興組合に解体理由を尋ねると、街づくり担当の男性は「道路事業の計画は令和7年(25年)度となっており、こちらもその計画に合わせた。68メートル分を先行させたのは、クロスポイント地区の再開発事業の支障にもなるためだ。われわれとしても解体は断腸の思いだ」と話した。
◆再開発組合は「解体要望していない」
クロスポイント地区とは、2棟のタワーマンション建設を軸とした再開発事業で、解体中の68メートル部分に面している。振興組合は再開発への影響も解体理由に挙げたが、クロスポイント再開発組合の担当者は「アーケードと再開発は別。解体しなくても再開発に問題はない。再開発組合が、アーケードの解体を要望したこともない」と否定した。
先行解体の理由は判然としないが、都道の整備が長期化する可能性は高そうだ。昨年11月の都の資料は「権利者が多く、用地折衝に時間を要している」と事業の難航を認める。21年に事業期間を5年先延ばしした経緯もあり、都は再延長を含めた検討を始めた。
飯田社長は「このままでは都道ができないのにアーケードだけが解体され、商店街が分断される。一日3万人が訪れるすばらしい商店街がダメになるのは明らか。何としても止めたい」と述べた。
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