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※紙面抜粋
※2024年4月17日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
乱高下(C)日刊ゲンダイ
「ランダムウオーク理論」。株価の動きは予測不可能で、千鳥足のように動く──との意味で、米ウォール街などで長い間、支持されてきた相場の格言だが、最近の日本株の動きが当てはまる。
3月4日に日経平均が史上最高の4万円台を付けて「お祭り騒ぎ」になったかと思いきや、その1週間後の11日には終値ベースの下げ幅が2年9カ月ぶりの大きさに。そして再び4万円台を超え、さらに上昇する気配を見せたかと思えばたちまち急落。突然、エアポケットに入ったかのようなフラッシュクラッシュ(瞬時の急落)を繰り返している。
16日の東京株式市場も、米国株の下落を受けて幅広く売られる展開となり、日経平均株価の終値は、前日比761円60銭安の3万8471円20銭と大幅に続落。15日は、イスラエルに対するイランの大規模な報復攻撃で投資家の地政学リスクに対する意識が高まり、一時前週末比700円超安の展開となった。
米国市場で3月の小売売上高が予想を上回ったためにインフレ圧力が意識され、金利が上昇。投資家心理が悪化して米主要株価指数がそろって下落したのに加え、大型の半導体関連株が金利上昇による割高感などから下落率が大きくなり、日経平均を押し下げる一因となったわけだが、まさに予測不可能な動きと言っていい。
政府がヘタに為替介入すれば株価は下落
円安進行も止まらない。インフレの根強さを示す米経済指標の公表が相次ぎ、「市場が織り込んでいた6月の米利下げは難しくなった」との見方が拡大。日銀による金融緩和が当面続くとの見通しも重なり、日米金利差の拡大を意識した円売り・ドル買いの動きから、16日の東京外国為替市場では、円相場が一時、1ドル=154円台半ばに下落した。
154円台の円安は1990年6月下旬以来、実に約34年ぶりで、鈴木財務相は閣議後会見で「必要に応じて万全の対応をしていきたい」「行き過ぎた動きなのか、急激な動きなのかについて見解を言うことはふさわしくない」などと言って市場を牽制していたが、投機筋らは日本政府や日銀がしょせん、口先介入ばかりで何もできず、「円安に打つ手なし」ということをとっくに見透かしている。
そもそも昨年末から今年初めにかけてのドル円予想は1ドル=135円程度だったはず。政府や日銀が繰り返すように「万全の対応」を講じていれば、さすがに34年ぶりの円安水準にはなっていないだろう。さらに言えば、仮に日銀が利上げに踏み切ったとしても、せいぜい0.1%程度とみられているから大した影響もない。0.75%の利上げを4回も続けたFRB(米連邦準備制度理事会)の動きと比べれば屁みたいなものだからだ。
埼玉大学名誉教授の相澤幸悦氏(経済学、金融論)はこう言う。
「今の日本株は、円安と米国などで生成AIを手掛ける大手半導体企業の業績に牽引されているわけですが、この2つがちょっとでも変な動きになればどうなるのか分かりません。日本政府も動くに動けないでしょう。ヘタに為替介入すれば大手企業の株価は下落し、投機筋も手じまいと判断して日本株から手を引く可能性があるからです。大暴落すれば日本経済は持たない。あらゆる意味で打つ手なしなのです」
株価は予測不可能で大雑把に言えば“博打”と変わらない
よく考えて
4万円超も一瞬で終わった東証株価だが、この乱高下する株式市場に右往左往し、翻弄されているのが、岸田政権が煽りに煽り、我も我もと、新NISA(少額投資非課税制度)に参入した庶民ではないのか。
「家計金融資産の貯蓄から投資への流れを加速する」などと称して1月から始まった新NISA。非課税保有期間が無期限化、生涯投資枠が従来の2倍以上に緩和されたのを受け、新NISAの口座開設数は急増。主要証券会社19社の口座開設ペースは直近3カ月間の平均の2倍に達したというのだが、これはよくよく考えれば変な話だ。
繰り返すが株価は予測不可能なのだ。大雑把に言えば“博打”と変わらない。そんな「賭場」に政府が優遇措置という飴をチラつかせ、同調圧力や横並び意識に弱い日本人の特徴を刺激。博徒となって素人に投機を奨励しているようなもので、無責任極まりないだろう。
大体、岸田首相は4万円台を付けた際、官邸のX(旧ツイッター)に<岸田政権は物価上昇を上回る所得増に向けて、全力で取り組んでいます>などと大はしゃぎで投稿していたが、これまで経済底上げのために具体的に取り組んだ政策はあるのか。何もないではないか。
内需の好調が日本株を下支えしているわけではない
そもそも4万円超えと大騒ぎしたところで、その要因はほぼ「外的要因」だ。厚労省が公表した2月分の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価の影響を考慮した「実質賃金」は23カ月連続で減少。比較可能な1991年以降で、2007年9月〜09年7月と並んで過去最長となったが、この実態が示す通り、内需の好調が日本株を下支えしているわけではない。
4月の急落も米半導体エヌビディアの業績が日本市場の半導体銘柄の株価に影響したためで、この事実が明らかにしているのは、中東情勢の悪化といった地政学的要因のほか、海外企業の業績、為替など、どこかで何かコトが起きればあっという間に株価は奈落の底に転落するということだ。つまり、新NISAの熱狂とは、そんな裏付けのないハリボテ相場の上で庶民が踊らされているだけ。そしていったん下落が始まったら止まらないだろう。よく分からないまま株に手を付けた素人たちだ。周章狼狽して売りまくるのは容易に想像がつく。すべての銘柄が急落する展開となる「ナイアガラの滝」現象では済まないかもしれない。
経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。
「6月から電気代などが上がり、中東情勢次第では石油代も跳ね上がる。円安もさらに進行するでしょう。そんな不安定な状況が投資環境に適しているとは思えません。今後の利上げの可能性を考えれば、少しでも家計負担を減らすために住宅ローンなどの借金返済に力を注ぐべき。政府に煽られて新NISAだ、などと言っている場合ではないのです」
その通りだ。裏金をつくり続けても誰も責任を取らない岸田政権のことだ。賭場に集めたお客がいくら損をしても何とも思わないに違いない。庶民は今の状況を冷静に考えた方がいい。
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