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日本製鉄のUSスチール買収に反対するアメリカのご都合主義 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/337796
2024/03/21 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
こぞって反対表明(バイデン米大統領とトランプ前米大統領=右)/(C)ロイター
日米関係がいかなるものかを改めて考えさせる事件が起きた。日本製鉄がUSスチールを買収する動きについて、トランプ前大統領、バイデン大統領がともに反対を表明したのである。
USスチールは本社を東部ペンシルベニア州に置き、かつて世界最大の企業だった。近年はニューコアが米国内で最大の鉄鋼会社となっている。日本製鉄は昨年12月、約141億ドルで買収を決めたが、今年1月31日にトランプ前大統領は「とても恐ろしいことだ。日本製鉄がUSスチールを買収したら、私なら即座に、絶対に阻止する」と述べた。
バイデン大統領も3月14日、「USスチールは100年以上にわたって続く米国の象徴的な鉄鋼会社である。国内で所有・運営される米企業であることが不可欠だ」として、買収に反対の立場を表明した。
米大統領選は勝者総取り方式が採用されている。共和党、民主党の支持率が拮抗し、選挙のたびに勝利政党が変動する州をスイング州と呼称する。この中にペンシルベニア州などがある。
労働組合が買収に反対し、大統領選の投票に影響を与える。日本製鉄のUSスチール買収は今や大統領選の争点となった。
問題はこれを巡る日米両国政府の対応である。林官房長官は15日の記者会見で、「個別企業の経営に関する事案についてコメントすることは差し控えたい」と述べた。確かに日本製鉄がUSスチールを買収する話は企業の運営に関する話である。だが、政治家や政府がこの買収を「阻止する」と述べた時点で、それは単に個別企業の次元を超える。
1980年代の日米間の貿易摩擦は、日本の「個別企業」である企業の対米輸出を米国政府が規制しようとして生じたものである。国家安全保障会議のカービー戦略広報調整官は15日の記者会見で、この問題に関して「日米関係を何一つ損なうものではない」と述べていたが、そんなものではないであろう。日本の企業の意図が、米国政治家の意見で阻止されるのだ。ただ、ある意味でカービー氏の発言は正しい。
日本政府が何も文句を言わなければ「何一つ損なうものでない」のは間違いないからだ。
米国は事あるごとに「日米は共通の価値観を持っている」と強調するが、それは同盟国を従わせる時のセリフで、自分たちにとって不利と思えば、お題目は平気で投げ捨てるのである。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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