http://www.asyura2.com/23/hasan136/msg/307.html
Tweet |
※紙面抜粋
※2024年2月14日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
あの熱狂が再び?(平成元年バブル最盛期の沸き立つ東証と電光掲示板〈右〉=共同)/(C)日刊ゲンダイ
もう何が何だか分からない勢いだ。日経平均株価は3連休明けの13日も大爆騰。一時、3万8000円台をつけ、前週末比1066円55銭高の3万7963円97銭で取引を終えた。上げ幅は今年最大で、バブル崩壊後の高値を3営業日連続で更新。東証プライム上場銘柄の売買代金も6兆円に迫り、目安となる3兆〜4兆円を大幅に上回る活況ぶりだ。
日経平均は昨年末から約4500円も上昇。証券マンが語呂合わせで「砂漠へ行こう」と呼ぶ、1989年の大納会(12月29日)の過去最高値3万8915円87銭の更新まで、ついに1000円を切った。史上初の3万9000円台突破も視野に入り、市場は「ワッショイ、ワッショイ」の大盛り上がりである。
それにしても尋常ではない株価の上がり方だ。あのバブル期でさえ、13日の終値を上回ったのはたった17営業日しかないそうだが、物価高に苦しむ多くの庶民にすれば、東証の活況は「どこの国の話?」という感じがする。
実質賃金は実に21カ月連続マイナスで個人消費にも陰りが見える中、景気が良くなっているという実感はゼロ。史上空前の好景気に国全体が沸き、昭和から平成にかけて日本中が異様に盛り上がったバブル景気の熱狂とは大違いだ。
それもそのはず。現在の株高を牽引しているのは海外の投資家やファンドが中心。猫も杓子も財テクブームに乗って株価上昇を支え、国内に多くの「株長者」を生んだバブル期とは似ても似つかないのは当然である。
バブル景気の熱狂とは何から何まで異なる
海外勢は今年に入り、5週連続で「買い」が「売り」を上回り、1月は2兆693億円の買い越し。記録が残る82年以降で7番目の大きさだ。豊富な資金を日本株に投じる理由のひとつは、中国経済の成長鈍化だ。上海総合指数は日本株や米国株に逆行し、下落中。「中国はリスク」との受け止めが世界中の投資家に広がり、中国国内の富裕層までもが、ダブついた資金を日本株に振り向けているという。
海外勢の投資傾向は、いたってシンプルである。目をつけるのは東証プライムに上場する大手企業の業績と収益性。低迷する中国市場から移動してきた投資家ほど、その傾向は顕著だ。おあつらえ向きに、先週末にピークを迎えた上場企業の23年4〜12月期の決算発表は好業績ラッシュ。初の営業利益4兆円超のトヨタをはじめ、円安や値上げ効果で自動車など製造業の業績は大きく改善。純利益の合計額は過去最高水準となる見通しである。
13日も好決算の銘柄を中心に買い注文が殺到。東証プライムの時価総額は過去最高の約920兆円に達し、相場を押し上げた。海外勢にすれば保有銘柄の業績こそが全て。景気の好循環など知ったこっちゃなく、儲けるヤツが勝ち。日本の景気全体には目もくれない。もはや、日経平均はバブル期のように日本の景気を示す指標ではなくなってしまったということだ。
政府が「貯蓄から投資へ」「資産所得倍増」と煽る新NISAが、1月に始まったことも追い風だ。
「利用者の多くは海外の投資信託を購入しているようです。国内投資に向かわせるはずが、資金の海外流出が進み、急速な円安の要因にもなっています。それでも輸出関連企業の業績を押し上げる円安基調が、日本株の買い材料になっていれば結果オーライなのでしょう」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)
賃上げ率、米株バブル、日銀方便が3大リスク
日本中が宴に酔いしれたバブル景気とは何から何まで異なり、「遠い国の出来事」のような令和の株高。それでも市場の大半はイケイケの過熱ぶりだ。「日本株は割安で上昇余地は大きい。4万円上昇もすぐ」との声が飛び交うが、「あまりにも上昇ピッチが速すぎる。海外勢も過熱シグナルを警戒し、売りに転じる」という慎重意見もある。
強気と弱気が交錯する中、空前の株高を機に新NISAを検討する人々も「のるかそるか」の見極めどころだ。はたして天井知らずで株価は上昇していくのか。それとも、いつかは暴落するのか。
令和の株高のスタート時期は昨年春。最大の理由は30年ぶり高水準の「歴史的な賃上げ」だ。実態はともかく、海外投資家は「デフレ脱却」ムードを好感。米ブルームバーグの試算によると、昨年4〜6月期に日本株を約9.5兆円買い越し。四半期ベースで過去最大規模だった。おかげで日経平均は6月に90年以来の3万2000円台を回復して以降、バブル後最高値を更新し続けてきた。
脱デフレを占う上で、今年の春闘は大きな試金石。しかし、過大な期待は抱けない。公益社団法人「日本経済研究センター」の2月調査だと、今年の賃上げ率の予想は平均3.88%。昨年の3.60%をやや上回る程度にとどまっている。前出の森岡英樹氏はこう言った。
「今後の物価上昇率の見通しを考慮し、実質賃金をプラスに転じさせるには、主要大企業ベースで『プラス4%以上』の賃上げ率が必要です。今年の春闘が4%を下回る結果となれば『脱デフレ』のムードが一気にしぼみ、海外勢の失望売りを招きかねません。ましてや、日本株の上昇を引っ張る米国株の歴史的な高水準も、実態の伴わない『バブル』です。米国のGDP成長率の中心予想は昨年の2.6%増に対し、今年は1.4%増と減速。クレジットカードの延滞急増など消費も不安だらけで、4年に1度の大統領選を控え、買い材料は『大統領選イヤーの株価は上昇する』というアノマリーのみ。説明のつかない株高は何らかの要因で市場心理が一転すれば一気に下落します。その場合、日本株も無傷ではいられません」
しょせん「その日」「その日」の気分次第
これこそが実態なき、ムードに頼る株高の危うさ。「直近の日本の株高を支えているのも、海外勢の誤解に基づく安心ムードに過ぎない」と言うのは、経済評論家の斎藤満氏だ。こう続けた。
「マイナス金利解除後の日銀の金融政策を巡り、内田副総裁に続き、植田総裁も『緩和的な金融環境が当面続く』と発言。海外勢は当面、ゼロ金利が続き、円高・株安に傾くことはないとの安堵感から、日本株を“爆買い”しているようですが、大いなる勘違い。日銀の正・副総裁は共に『緩やかに利上げする』と言っているに過ぎず、利上げそのものは否定していません。実は緩和修正に前のめりで、3月会合の出方次第では、期待からの反動から株式市場の動揺を誘いかねません。特に中国の富裕層などは日本の国内事情にうとい。日銀が利上げの動きを示しただけで『方便だったのか』と裏切られた気分となる。日銀への不審が、東証への不信に発展すれば、海外勢が一気に資金を引き揚げても、おかしくありません」
しょせん、令和の狂乱株高はビッグマネーを握った海外勢の「その日、その日」の気分次第ということだ。13日のように、たった1日で1000円超も上昇する日もあれば、逆に1000円超も下落する日もあるだろう。フワッとした空気に支配された株高だけに、いつ、何かの拍子で暴落しても不思議ではないのである。
「個人投資家は法人と違って決算期はありません。だから、NISA利用は目先の株高に一喜一憂せず、長期保有を心がけ、あくまで余った資金のみで運用すべき。岸田政権の『金融資産倍増』はミスリード。踊らされてはいけません」(森岡英樹氏=前出)
「この上昇局面での株式投資は、おすすめできません。特にNISAの『つみたてタイプ』は使いにくい。損金を“塩漬け”せざるを得なくなり、投資のプロは敬遠しています」(斎藤満氏=前出)
運用に回す余裕があるなら、そのカネを義援金として能登半島地震の被災者のために送った方がいい。精神衛生上は、よっぽどスッキリするはずである。
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民136掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民136掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。