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日銀のシナリオを狂わせた能登半島地震…ゼロ金利解除遠のく、メインシナリオの4月も後ずれか
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/334239
2024/01/04 日刊ゲンダイ
マイナス金利の早期解除は困難に(日銀の植田和男総裁=代表撮影)
巨大地震によって日本銀行のシナリオも崩れるのか──。能登半島地震の後、「円安」が進行している。年明け2日に1ドル=142円台をつけ、4日は143円台前半まで円が売られた。東京市場で大方の取引を終えた12月29日に比べ、2円程度、円安・ドル高になっている。地震の被害が明らかになるにつれ、リスク回避で円が売られている形だ。アメリカの長期金利が上昇したことも大きかった。
昨年末、市場関係者の多くは、2024年は「円高」になると予想していた。米FRBが年前半にも利下げに踏み切り、逆に日銀はマイナス金利の解除など異次元緩和の正常化を進め、日米の金利差が縮まると予想されたからだ。
ところが「地震によって、日本銀行によるマイナス金利の早期解除は困難になった」との見方が強まっている。
「マーケットの一部には、1月にもマイナス金利が解除されるとの声もありましたが、さすがに1月解除は消えたでしょう。メインシナリオだった4月解除も後ずれする可能性があります。あれだけ大きな地震被害を復旧させなければならない。景気を冷え込ませ、企業の再建を難しくする可能性もあるだけに、ゼロ金利解除のハードルが高くなったことは確かでしょう」(経済ジャーナリスト・森岡英樹氏)
日本の国力は低下している
今はリスク回避で円売りに(能登半島地震=2日、石川県輪島市)/(C)共同通信社
もともと、日銀が「異次元緩和」から脱するのは、そう簡単ではないとみられていた。「賃金と物価の好循環」を前提にしているからだ。
能登半島地震の後の「円安」でわかったことは、もはや円は安全資産ではないということだ。2011年の東日本大震災の時は、その後、過去最高の円高・ドル安水準となった1ドル=75円台をつけている。
「国際社会は、改めて日本のことを地震大国、地震リスクのある国だと認識したのではないか。金沢は外国人にも有名ですからね。3.11の時に比べ、日本の国力は低下しているようにも映っているのだと思う。貿易赤字は膨らみ、経済成長も止まり、人口減少も解決しそうにありませんからね。リスクがあり、国力が低下する国家の通貨が安くなるのは、ある意味、当たり前です」(森岡英樹氏)
「円安」が止まらないと、インフレがつづき、今年も庶民生活は苦しくなる一方だ。
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