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ガザ紛争が引き起こす“泥沼の円安地獄”…「有事の円買い」は今は昔
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/330679
2023/10/18 日刊ゲンダイ「
イスラエル軍による攻撃後、ガザに上る煙(C)AP=共同
イスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘は、イスラエル軍が地上侵攻の準備を進め、緊迫が続く。かつて日本円は米ドルと並んで安全資産といわれ、戦争や経済危機には円買いが進んだものだ。しかし「有事の円買い」は今は昔。むしろ、円安が加速する恐れがある。
「為替は国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映します。低成長が長期化し、貿易赤字を繰り返す日本について、世界の投資家の信用は低下しています。今や、円はリスク回避の安全資産とは見なされない。そのことはウクライナ有事で鮮明になりました」(市場関係者)
ロシアがウクライナに侵攻したのは2022年2月24日だ。その頃の円相場は1ドル=115円だったが侵攻以降、みるみる円安が加速。3月に120円、4月に130円を突破。秋には140円台をつけ、一時、152円に迫った。
その後、米景気後退の懸念もあり、130円台に落ち着いたが、今も侵攻前の水準には戻っていない。今の円安の発火点はウクライナ有事なのだ。これでは「有事の円売り」である。ガザ有事で円相場はどうなるのか。
原油高とのダブルパンチ
ウクライナ有事でこれほどの円安(上から、2022年3月、2023年10月の円為替)/(C)共同通信社
「ロシアの侵攻により、原油や穀物価格が跳ね上がり、世界的なインフレに見舞われました。世界の中央銀行がインフレ退治のために、金利を引き上げたのに対し、日銀は金融緩和を継続し、円の独歩安となった。ガザ有事でも近いことが起きる可能性がある。すでに、原油価格の高騰が懸念されており、米FRB(連邦準備制度理事会)が利上げを継続するとの見方が浮上しているからです」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)
足元の1ドル=150円は、空前の円安水準なのに、さらに円が安くなれば、暮らしは壊滅的だ。
「イランがガザ紛争に参戦し、ホルムズ海峡近辺の緊張が高まれば、原油価格が1バレル=110〜120ドルもあり得るとの見方も出るようになった。原油高はさらに円安を進める面もあります。1バレルの原油を買うのに、より多くのドルを用意する必要がありますからね。原油高と円安のダブルパンチでさらなる値上げラッシュが起こりかねません」(森岡英樹氏)
ファンダメンタルズは一朝一夕には改善できない。円安にあぐらをかき、経済成長をおろそかにしてきたツケが“円安地獄”ということか。
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