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※紙面抜粋
※2023年6月14日 日刊ゲンダイ
※文字起こし
主な要因は「円安」、実質が伴わない…(C)共同通信社
取引時間中としては1990年7月20日以来、約33年ぶりの水準となった。13日の東京株式市場は、6日に付けたバブル崩壊後の高値(3万2506円78銭)を上回る最高値を更新。日経平均株価の上げ幅は前日比584円65銭高の3万3018円65銭で取引を終えた。
12日の米国市場ではハイテク株を中心に買いが先行。米連邦準備制度理事会(FRB)が今週開く連邦公開市場委員会(FOMC)で、追加利上げを一時停止するとの観測が強まったためで、13日の東京市場もこの米国市場の流れを好感したとみられる。
国内企業の景況感も好材料となったようだ。財務省と内閣府が13日発表した4〜6月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数は2四半期ぶりのプラス(2.7)。コロナ禍からの人流回復などを背景に非製造業を中心に企業心理が上向きつつあり、株価を押し上げる一因となった。
2023年は相場格言で「跳ねる」といわれる卯年。格言通りの株高となった背景には、岸田首相が近く衆院を解散するとの観測から、総選挙に向けた経済対策や骨太の方針が評価された--なんて声も出ているが、全ての問題を先送りしているデタラメ政権にそんな力があるワケがない。主な要因として挙げられているのは「円安」だ。
海外市場では急速な利上げなどに伴う景気悪化の懸念が尽きないが、今のところ、日銀の植田総裁は大規模金融緩和を維持する姿勢を示しているため、為替リスクの影響は小さい。このため、先行きの安定感があり、割安感のある投資先として日本市場が選ばれているという。
半導体関連と新燃料が牽引役
13日の東京外国為替市場の円相場では、ドル売り円買いの動きがみられたものの、1ドル139円台で推移。昨年から続く円安傾向は大きく変わっておらず、23年3月期決算で堅調だった自動車や機械といった輸出関連企業の株を中心とした「買い」が目立った。
経済評論家の斎藤満氏は「新型コロナ禍からの景気回復局面で、日本は欧米市場に比べて出遅れていたが、円安などを理由に割安感が出ているのだろう」と言い、こう続ける。
「今の株価上昇は、割安感に加え、半導体関連と新燃料が牽引役となっている。半導体関連では、日本政府の支援を受けた米マイクロン・テクノロジーが、日本国内に最大5000億円を投資すると表明したのも好感されている。新燃料では、電気自動車(EV)の開発で遅れが指摘されていたトヨタ自動車が、新たな燃料電池の実用化に踏み切ると報じられたことが市場の追い風になっているようです」
経済ジャーナリストの井上学氏も「円安傾向が続く限り、業績好調な輸出関連企業の銘柄を中心とした株高はしばらく続くのではないか」とみているが、日本市場の株価を押し上げている要因は他にもある。「自社株買い」の動きだ。
東証は3月、資本効率を測る目安となる株価純資産倍率(PBR)の1倍割れ企業に改善を要請。これを受け、2022年は過去最高の9兆3900億円となった上場企業の自社株買いが、23年5月は3兆2000億円を超え、単月としての過去最高を更新した。
自社株買いを優先すると、将来の成長に向けた投資などが削られる恐れがあるものの、需給の引き締まりによる相場へのインパクトは小さくないことから、株高を支える一因になっているのは間違いないだろう。
異次元緩和バブルで「不動産」「モノ」「株」にカネが流れた
そしてバブル並みの「跳ねる」株高を生み出している最大の要因は、何といっても現物で6割、先物で7〜8割の売買比率を占めている外国人投資家の動向だ。3月に2兆円以上を売り越していた海外勢は、4月上旬から5月中旬の7週間で計5兆円以上を買い越し。これに沿う形で日経平均は4月以降、上昇基調が続いている。
「欧米株は景気の先行きなどに不透明な要素が少なくなく、中国株は不安。そこでリスクを避けるために海外勢が日本市場に資金を投じているわけです」
前出の斎藤満氏がこう指摘する通り、いわば、行き場のないマネーが流れ込んでパンパンに膨らんでいるのが日本市場の“本当”の姿ということ。つまり、今後の日本市場の命運、この先のシナリオは外国人投資家次第で決まると言ってもいいわけだが、果たして、バブル株価はどこまで上がるのか? いつ弾けるのか?
「とにかく動きの速い外国人投資家が日本市場から手を引くタイミングは2つ。1つは日銀が大規模金融緩和策の修正に動いた時。2つ目は、FRBが再び利上げに踏み切ると決めた時です。その動きが少しでも見えた時点で日本市場から大量の資金が一気に引き揚げられる。そういう意味では、海外勢マネーというのは“爆弾”を抱えていると言ってもいい」(斎藤満氏=前出)
今の状況は80年代後半と似ている
大量の海外勢マネーが手を引いたら、日本市場はたちまち大混乱。株価暴落どころじゃすまない。いつか来た道じゃないが、まさにバブル崩壊だ。
埼玉大学名誉教授の相澤幸悦氏(経済学、金融論)は「今の状況はまさに80年代後半のバブルの状況と似ている」と言い、こう続ける。
「首都圏を中心としたマンションなどの価格上昇が続き、ロレックスの時計などの価格が高騰。そして、いよいよ株高です。つまり、金融緩和によって世界中であふれたマネーが、日本の不動産、モノ、株という3つに流れ込んでいる構図であり、異次元緩和バブルと言っていいかもしれません。日本市場は株高に浮かれているが、今の過熱気味の市場は外国勢が後に大儲けするための“仕込み”かもしれないと冷静に見た方がいいでしょう」
振り返れば、日経平均株価が史上最高値を記録した1989年。世界の時価総額のトップ10に日本企業は7社もランクインしていたが、今や見る影もなし。同年度の経済成長率がプラス4.6%だったのに対し、23年度は日銀の見通しでプラス1.4%だ。22年の貿易赤字は過去最大の19.9兆円だったから、こんな状況下で再びバブル崩壊なんて事態に陥れば日本は奈落の底にまっしぐら。
いつも食い物にされているのが日本市場だということを忘れてはダメだ。
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