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米国史上初のデフォルトに現実味…Xデー「6.1」が招く未曽有の世界金融危機
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/322955
2023/05/15 日刊ゲンダイ
やっぱり来日している場合じゃない(バイデン米大統領)/(C)AP=共同
このまま最悪の事態に突き進むのか──。米国の債務上限問題がこじれ、米国史上初のデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高まっている。デフォルトの期限とされる6月1日が迫っているのに、解決の見通しが全く立っていないからだ。
「過去に2011年、13年、15年にもデフォルト危機がありましたが、最後は与野党が歩み寄り、何とか回避してきました。ところが、今回は交渉になっていない。バイデン大統領が交渉している共和党のマッカーシー下院議長は党内基盤が弱く、安易な妥協を許されていないからです。市場はデフォルトを織り込み始めています」(市場関係者)
デフォルトに備えた金融派生商品の保証料率は、14年ぶりの水準に上昇している。デフォルトの確率が高くなっているとみているのだ。
デフォルトに陥ると、政府の資金繰りが苦しくなり、行政の執行がままならなくなる。政府窓口は閉鎖され、公務員の給与も支払いが遅れかねない。さらに金利は上昇し、企業の借り入れや住宅ローンにも大きな影響が出る。金融ジャーナリストの森岡英樹氏が言う。
「最悪のタイミングです。米国では経営不安の金融機関から預金が引き揚げられ、米銀3行が経営破綻しました。さらに、政府のデフォルトが起きてしまうと、不安感を強めた預金者が預金を引き出し、新たな銀行破綻が次々と起こってもおかしくありません。しかも、政府がデフォルトに陥ると、上限25万ドル(約3300万円)の預金保護も怪しくなってくる。そうした懸念から預金がさらに引き出されるという悪循環が起きかねません」
資産5500兆円がすぐに換金される可能性
売りが売りを呼ぶパニックに陥りまさかの未曽有の世界金融危機に?(米ニューヨーク証券取引所)/(C)ロイター
オバマ政権の2011年はギリギリでデフォルトを回避できたが、米国債は史上初めて格下げされた。現実にデフォルトになれば、米国債の格下げと下落は必至だ。米国債の信用が低下すると、株や債券の売りも加速する。
国際通貨基金(IMF)によると、投資家がいつでも解約できる「オープン型投資ファンド」の資産総額は41兆ドル(約5500兆円)に上る(22年1〜3月期)。5500兆円もの資産がすぐに換金される可能性があるのだ。
「売りが売りを呼ぶパニックに陥り、未曽有の世界金融危機に突入する可能性があります。バイデン大統領は何としてもデフォルトを回避する必要があります。広島サミットが開かれる今週末は下院議長との交渉のヤマ場と言える時期です。バイデン大統領は広島を訪問している場合ではありません」(森岡英樹氏)
11年のデフォルトを回避したのは当時、副大統領だったバイデンだ。今回も交渉役は政治経験が長く、野党に人脈があるバイデン大統領しかいないとされる。広島サミットに出席すれば、岸田首相の顔は立てられるが、その代償が世界金融危機とはいかにも割に合わない。
バイデン大統領は10日、「米政府がデフォルトに陥れば全世界がトラブルに巻き込まれる」と発言。ホントに広島に来るのか。
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