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日本が大量保有「AT1債」が“紙切れ”になる日…青学大・原晋監督は数千万円の大損
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/322727
2023/05/11 日刊ゲンダイ
<我が国の金融システムは健全かつ頑健である>と言うが…(日銀の植田和男総裁)/(C)共同通信社
海外の金融不安は対岸の火事ではない。「クレディ・スイス」が発行していた「AT1債」は、クレディ・スイスの救済買収の過程で無価値となり、世界に衝撃を与えた。
AT1債は金融機関が発行する特殊な社債。利回りが高い分、債権者保護は手薄い。金融機関が破綻した際の弁済順位は低く、“紙切れ”になることもある。金融庁の調査によると、クレディ・スイスのAT1債は、日本国内で、個人や法人の約2000口座で、1400億円程度が販売されていた。青学大駅伝部の原晋監督も証券会社の営業マンに言われるがままに購入し、数千万円程度の大損を食らったとみられている。
クレディ・スイスの一件を機に、世界中でAT1債を手放そうと売る動きが広まっているが、売り先の中心は日本だ。
ゼロ金利でターゲットに
「主要国で唯一ゼロ金利を続けている日本は、高利回りの金融商品のニーズは旺盛です。海外投資家が投げ売りしたAT1債が他の債券と組み合わせて販売されており、地銀などが買っているようです。利回りが高い債券はリスクも高く損失を被る恐れがあります」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)
ヤバいのはAT1債が紙切れ化するケースが増えそうなことだ。米国の債務上限問題が難航し、米国債の金利が急騰(価格は急落)する可能性があるからだ。
「米国債が暴落すれば、保有している米国の金融機関は巨額の含み損を抱えることになる。2カ月で3行の米銀が経営破綻しましたが、それに続く破綻が起きても不思議ではありません。破綻した銀行が発行していたAT1債を保有していれば、最悪の場合、“紙切れ”になってしまう。AT1債の売り先である日本にも少なからず影響が出る恐れがあります」(森岡英樹氏)
日銀の「金融システムレポート4月号」は、〈今年3月の米銀破綻をきっかけに米欧の金融部門を巡る不確実性が高まったもとでも、わが国の金融システムは健全かつ頑健である〉と断定している。
「あまりにも楽観的です。リーマン・ショックの時も、サブプライムローンに関連した債権が“組み込まれた”金融商品が焦げ付き、世界的危機に至りました。今回もAT1債が“組み込まれた”金融商品から同様の事態が起きてもおかしくありません」(森岡英樹氏)
楽観視している植田総裁に任せて大丈夫なのか。
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