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金融面で着実に力をつけている中国が警戒する米国の「ドルの武器化」 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/322237
2023/04/27 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
中国経済は貿易に大きく依存(C)新華社=共同
CIA(米中央情報局)が公表した「ワールドファクトブック」で、2021年ベースの各国の輸出量が、中国は3兆5540億ドル、米国が2兆5570億ドルだったのに対し、日本は9191億ドルだった。
中国は「ものづくり」で圧倒的優位を築き、「世界の工場」となった。これまで中国の優位は「ものづくり」、米国は「金融」といわれてきた。
金融安定理事会(FSB)が指定した、金融システムの世界的安定に欠かせないと認定した銀行(G-SIBs)で、銀行のランキングと総資産(単位・兆円)について、米国、日本、中国を比較すると次の通りとなる。
米国…5位・JPモルガン・チェース(487)、7位・バンク・オブ・アメリカ(405)、11位・シティG(321)。日本…8位・三菱UFJFG(391)、12位・三井住友FG(265)、13位・みずほFG(252)。
そして中国が、1位・中国工商銀行(766)、2位・中国農業銀行(654)、3位・中国建設銀行(585)、4位・中国銀行(559)である。もはや規模では中国の銀行は米国を凌駕しているのである。
ただ、中国は大きな弱点を抱えている。
国際決済銀行(BIS)の行った世界の外為市場取引額調査によると、22年4月時点で主要5通貨の割合は、1位・米ドル(44.2%)、2位・ユーロ(15.3%)、3位・円(8.3%)、4位・ポンド(6.5%)、5位・人民元(3.5%)である。
ウクライナ戦争で米国は、ロシアに対し、貿易決済でドル使用を禁じた。米国内にある特定個人のドル資産を凍結した。これはいわば「ドルの武器化」である。仮に台湾を巡り、米中が何らかの形で軍事的に対立する際には、中国が貿易でドルの使用を禁じる可能性がある。
ウクライナ戦争が始まって以降、中国は通貨面での脆弱性を強く意識し、貿易で人民元を使用する策を次々打ち出している。
▽イラクが、同国の民間企業が中国から商品を輸入する際、人民元での決済を認可(2月23日)
▽サウジアラビアの国有石油会社サウジアラムコが人民元決済を開始(3月27日)
▽中国海洋石油とフランスのトタルエナジーズが、両国初となる人民元決済による液化天然ガス貿易を実施(同28日)
中国はGDPに対する財・サービス貿易の比率が20年に34.5%であり、中国経済は貿易に大きく依存している。台湾問題を発端に、貿易でドル使用を禁じられれば大変な打撃である。通貨問題だけ見ても、人民元の決済比率が上昇するまで、当面は自重せざるを得ないだろう。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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