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実質賃金マイナスは半永久的に続くのか…11カ月連続減は序の口、そして「卵不足」も?
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/321273
2023/04/09 日刊ゲンダイ
大企業の賃金は大幅アップしたが…(C)日刊ゲンダイ
厚労省が7日発表した2月の毎月勤労統計(速報)で、物価の影響を考慮した「実質賃金」は、前年同月比2.6%減。11カ月連続のマイナスで、1年近くも物価高に賃金上昇が追いつかない状況が続く。インフレは鈍化傾向が見られ、大企業の賃上げも好調。そろそろ実質賃金がプラスに転じてもよさそうだが、それを拒む現実はいくつもある。
■原油高
鈍化しつつあるインフレを再燃させそうなのが原油市場の動向だ。先物価格は3月の1バレル=60ドル台から足元は80ドル台で推移。一部の産油国の減産表明が価格を引き上げた。
「バイデン米政権は中東への影響力を弱めている。サウジアラビアなど産油国は米国に忖度せず、今後も追加減産に踏み切る恐れがあります」(市場関係者)
市場では「年内1バレル=100ドル」との見方が浮上。スイスのUBSは6月早々に100ドル、年末に105ドルに達するとみている。
「原油価格が100ドルを超えれば、エネルギー価格の上昇のほか、企業は原油高を理由にさまざまな製品やサービスの値上げに動くでしょう。政府の支援策も財源に限界があり、物価高は長期化する可能性が高い」(経済ジャーナリスト・井上学氏)
深刻な卵不足
今も品薄(C)日刊ゲンダイ
食品の値上げも続いているが、とりわけ深刻なのは鳥インフルエンザの影響を受ける卵だ。JA全農たまごによると、足元の鶏卵1キロ(東京Mサイズ)の卸売価格は350円と過去最高値を付けている。
22〜23年シーズンの鳥インフルの殺処分数は1740万羽と過去最多だ。7日は北海道で陽性が確認されるなど、今なお感染拡大は続く。収束の見通しを農水省に聞くと「予断を持って申し上げられない。これまでの最も遅い発生は、昨年の5月中旬でした。来季の見通しは何とも言えない。流行するしないのメカニズムが分かっていないからです」(動物衛生課)と答えた。
養鶏場が正常化されないまま、次の流行が来れば、卵不足はいっこうに解消されない恐れがある。
■名目賃金
4月以降の名目賃金はどうか。大企業は物価に見合う賃上げができたとしても、問題は雇用労働者の7割を占める中小企業だ。日本商工会議所が中小企業約6000社を対象にした調査(2月実施)によると「賃上げを実施予定」と回答したのは約6割。つまり、約4割は賃上げナシ。賃上げ幅も、実施すると答えた企業の4割は「2%未満」と、物価上昇の幅に追いついていない。
「賃上げが低調とみられる中小企業を含めれば、全体の名目賃金の上昇率が物価上昇率を上回るとは考えにくい。実質賃金のプラス化は見通せません」(井上学氏)
実質賃金マイナスと卵不足は半永久的に続くのか。
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