→スト長期化ならビッグ３の生産減少へ、中長期で労働コスト上昇も

→電動化の遅れ取り戻せるかどうかが日本メーカーの鍵−ピクテ

大幅な賃上げを求める全米自動車労働組合（ＵＡＷ）のストライキが拡大し、日本の自動車株が漁夫の利を得る可能性がある。ストが長引けば、米国３大自動車メーカーの販売が短期的に落ち込むことが予想される上、中長期的には賃上げに応じた米メーカーの製造コストが上がり、日本を含む海外のメーカーにプラスに働くためだ。

ＵＡＷのストを巡り、長期化は必至との見方が強まっている。４年間で最大40％の賃上げを求める組合側に対し、経営側は拒否する姿勢を変えていない。世論調査でもストを支持する声が２対１で反対を上回るなど、労組側には強気の材料が多い。

スト中のＵＡＷ組合員への支援を表明するため、バイデン大統領が26日にミシガン州入りし、トランプ前大統領もデトロイト入りを予定するなど来年の大統領選を見据え、民主・共和両党ともに重要な接戦州であるミシガンでの支持の掘り起こしに躍起だ。

ピクテ・ジャパンの市川眞一シニア・フェローは「世論、政治の後押しを受けているだけに、今回の争議でＵＡＷ側が簡単に妥協するとは思えない」と指摘。ビッグ３側が組合の要求である４年36％の賃上げを受け入れない場合、「ストライキは長期化するだろう」とみている。