<■90行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> (1)平成の日本経済が成長しなくなった最大の理由は、デフレである。 デフレとは、物価が下がり続ける=貨幣の価値が上がり続ける状態である。 貨幣の価値が上がり続ける状態では、誰も支出をしたがらないので、経済は成長しなくなる 経済成長には、マイルドなインフレ(貨幣の価値が下がり続ける状態)が必要である。(2)デフレとは、「需要不足/供給過剰」が持続する状態である。 インフレとは、「需要過剰/供給不足」が持続する状態である。 したがって、インフレ対策とデフレ対策は、正反対となる @インフレ対策 「小さな政府」、財政支出の削減、増税 金融引き締め 生産性の向上、競争力の強化(規制緩和、自由化、民営化、グローバル化) Aデフレ対策 「大きな政府」、財政支出の拡大、減税 金融緩和 産業保護、労働者保護(規制強化、国有化、グローバル化の抑制) 『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】 中野剛志』 15のポイント、新自由主義は、本来、インフレ対策のイデオロギー。貨幣とは、負債の特殊な形式である(「信用貨幣論」)。貨幣には、現金通貨 (3)新自由主義は、本来、インフレ対策のイデオロギー デフレ対策のイデオロギーは、民主社会主義
(4)平成日本は、デフレ下にあったのに、新自由主義のイデオロギーを信じ、インフレ対策(財政支出の削減、消費増税、規制緩和、自由化、民営化、グローバル化)をやり続けた。 その当然の結果として、平成日本はデフレから脱却できず、経済成長できなくなった。 (5)貨幣とは、負債の特殊な形式である(「信用貨幣論」)。 (6)貨幣には、現金通貨と預金通貨がある。 預金(預金通貨)を創造するのは、銀行である。 預金は、銀行が貸出しを行うと創造される(信用創造)のであって、銀行が預金を集めて貸出すのではない。 銀行の貸出しは、銀行の保有する資金量の制約を受けない。ただし、借り手の返済能力の制約は受ける。 借り手の資金需要が、銀行による貨幣(預金)の創造を可能にする。 (7)「現代貨幣理論」の貨幣理解のポイント まず、国家は、国民に対して納税義務を課し、「通貨」を納税手段とすることを法令で決める。 すると、国民は、国家に通貨を支払うことで、納税義務を履行できるようになる。 その結果、通貨は、「国家に課せられた納税義務を解消することができる」という価値をもつこととなる。 その価値ゆえに、通貨は国民に受け入れられ、財・サービスの取引や貯蓄など、納税以外の目的においても広く使用されることとなる。 『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】 中野剛志』 15のポイント、規制緩和(マネタリー・ベースの増大)では、貨幣供給量は増えない。財政に関する正しい理解(「機能的財政論」) (8)規制緩和(マネタリー・ベースの増大)では、貨幣供給量は増えない。 貨幣供給量を増やすのは、借り手の資金需要である。 デフレ下で貨幣供給量を増やすためには、政府が資金需要を拡大するしかない(財政出動)。 財政政策こそ、貨幣供給量を操作する金融政策である。
(9)財政に関する正しい理解(「機能的財政論」) @民間金融資産は、国債発行の制約とはならない。 財政赤字は、それと同額の民間貯蓄(預金)を生み出す。 A政府は、自国通貨発行権を有するので、自国通貨建て国債が返済不能になることは、理論上あり得ないし、歴史上も例がない。 政府は、企業や家計とは異なる B財政赤字の大きさ(対GDP比政府債務残高など)は、財政危機とは無関係である。 C財政赤字の大小を判断するための基準は、インフレ率である。 インフレが過剰になれば、財政赤字は縮小する必要がある。 デフレであるということは、平成日本の財政赤字は少な過ぎるということ。 D税は、財政確保の手段ではない。 税は、物価調整や所得再分配など、経済全体を調整するための手段である。 (10)財政赤字を拡大しても、それだけでは金利は上昇しない。 デフレを脱却すれば金利は上昇するが、それはむしろ正常な状態である。 金利の上昇は、日銀の国債購入によって容易に抑制できる。 『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】 中野剛志』 15のポイント、財政政策の目的は、「財政の健全化」ではなく、デフレ脱却など「経済の健全化」でなければならない。 (11)国内民間部門の収支+国内政府部門の収支+海外部門の収支=0 国内政府部門の赤字は、「国内民間部門+海外部門」の黒字を意味する。 バブル期に政府債務が減ったのは、民間債務の過剰の裏返しである。 (12)税収=税率×国民所得。 政府は税率を自在に上げられるが、国民所得は景気次第なので、税収を思い通りにすることはできない。 歳出削減や増税はむしろ景気を悪化させるので、税収を増やすことには失敗する。 財政健全化は、やっても無駄であるし、デフレ下では、むしろやってはならない。
(13)財政政策の目的は、「財政の健全化」ではなく、デフレ脱却など「経済の健全化」でなければならない。 (14)自由貿易が経済成長をもたらすとは限らないし、保護貿易の下で貿易が拡大することもある。 グローバリゼーションは避けられない歴史の流れなどではなく、国家政策によって抑制することができる。 戦後日本の輸出依存度は、10〜15%程度である。日本は内需大国であって、貿易立国ではない。 (15)主流経済学は、過去30年間で、進歩するのではなく、退歩した。 主流派経済学者は、一般均衡理論という、信用貨幣を想定していない非現実な理論を信じている閉鎖的な集団の一員である。 日本において影響力のある経済学者は、ほぼ全員、(1)から(14)までの内容は知らないか、正確に理解していない。日本経済が成長しなくなってしまったのが、その何よりの証拠である。 『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】 中野剛志』より
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