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日銀の植田総裁が円安を止められない理由
http://www.asyura2.com/23/ban11/msg/716.html
投稿者 中川隆 日時 2024 年 5 月 01 日 20:27:02: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 日本を経済成長させる唯一の方法は、人々が求めないものを生産するゾンビ企業と、政治家が自分の支持層を儲けさせる為にやって… 投稿者 中川隆 日時 2024 年 5 月 01 日 18:01:38)

日銀の植田総裁が円安を止められない理由
コロナ以後、円安が止まらない。日本でもインフレ率が上がっているが、金利の方はインフレ率ほどの上昇を見せていないからである。
円安は明らかに日本の家計を蝕んでいる。エネルギーや食料品、プラスチック製品など日本国民が消費するものの多くは輸入依存であり、ドル円の上昇分はそのまま輸入物価の上昇に直結している。

コロナ後にドル円が40%以上も上がったということは、基本的に輸入物価がそれだけ上がったということである。ドル円はそのまま元に戻っていないので、輸入物価もそのままだ。また、円はドルだけでなくほとんどの通貨に対して下落している。

円安の原因は黒田元総裁の時代から行われ続けてきた日銀の緩和政策であり、植田現総裁はそれを終わらせようとしている。実際、3月にはマイナス金利と、安倍元首相の支持率対策でしかなかった株式の買い入れ政策を終了した。

植田氏の取り組みにより、日本の長期金利は少しずつ上昇しつつある。それ自体は筆者やスタンレー・ドラッケンミラー氏の予想通りである。


ドル円上昇を止められない植田日銀
だがドル円の上昇は止まっていない。植田氏は黒田氏の緩和政策をいくつか終わらせたものの、政策金利自体は0.2%しか動かしておらず、金利上昇が十分ではないのである。

4月26日の日銀決定会合では、植田総裁は金融政策の維持を決定した。記者会見ではドル円に関する質問が噴出したが、植田氏は質問をかわすばかりだった。

何故植田総裁は金利を上げてドル円上昇を止めることができないのか? 植田氏は4月の会合で金利を上げるべきではなかったのか?

だが筆者は実は植田氏の政策がそれほど間違っているとは思っていない。何故かと言えば、日本のインフレ率はそれほど差し迫った状況にはないからである。

日本のインフレ動向
現在、日本のインフレ率は前年同月比(以下同じ)で2.7%であり、食品とエネルギーを除くコアインフレ率を半年分ほど並べると次のようになる。

2023年10月: 2.80%
2023年11月: 2.80%
2023年12月: 2.80%
2024年1月: 2.59%
2024年2月: 2.49%
2024年3月: 2.18%
おおむね2%台で落ち着いていると言える。

インフレ率が落ち着いているのは、残念ながら日本経済にとって喜ばしいことではない。何故ならば、それは日本経済の減速の結果だからである。

日本の実質GDP成長率は前年同期比で見れば1.3%(2023年第4四半期)だが、直近半年の減速が大きく、個人消費は既にマイナス成長となっている。日本に関しては年内の景気後退も有り得る状況である。

所得税と社会保険料と消費税で所得の半分を持っていかれる経済において物価がこれほど上がってしまったのだから、消費が振るわないのは当たり前である。

だがインフレ率が落ち着いている以上、日銀は早足に利上げをすることが出来ない。むしろここから利上げすればインフレ率がどんどん沈んでゆくシナリオも有り得る。

そしてインフレ率よりも早々と減速しているGDPの方は、利上げが更なる追い打ちになるだろう。

インフレ率と物価水準

問題は、インフレ率の落ち着きと物価の高騰が別物だということである。これはアメリカでもそうだが、インフレ率が元に戻ったからと言って物価が元に戻ったわけではない。

インフレ率とは物価上昇率であり、落ち着いたとはいえ上昇率はまだプラスなのだから、過去に上がった分の物価は下がることもなく高いままなのである。

輸入物価を戻すには日銀が更に金利を上げるしかない。黒田日銀が行なった過去の緩和の分だけ引き締めを行なうしかないのである。

だがそのような引き締めを行えば、ただでさえ景気後退寸前の日本経済は本当に死んでしまうだろう。

ということで、日本経済はまさにアベノミクス以来の金融緩和のツケを払うべき状況にある。物価は上がってしまったが、それを元に戻すための金融引き締めを行えば実体経済が死んでしまう。

緩和を始めた時には既に分かっていたはずの当たり前の帰結を、今日本人は目の当たりにしている。自分の支持率のために日銀にETFを買わせた安倍晋三氏を何故誰も止めなかったのか。

20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏はもう何十年も前に著書『貨幣論集』で次のように述べていた。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31421

将来の失業について責められる政治家は、インフレーションを誘導した人びとではなくそれを止めようとしている人びとである。

何故誰も止めなかったのか。誰もハイエク氏の著書を読んでいなかったのか。誰も読んでいなかったのだろう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47910  

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コメント
1. 中川隆[-10750] koaQ7Jey 2024年5月01日 20:43:46 : LjyKKtK9ds : MXpyRGlvcDAxalk=[17] 報告
<■71行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
アベノミクスの後始末をさせられている日銀 植田総裁が円安を止められない理由 _ 米大統領選までは金融緩和を続けてアメリカ国債を買え、とアメリカ政府から指示されている
コロナ以後、円安が止まらない。日本でもインフレ率が上がっているが、金利の方はインフレ率ほどの上昇を見せていないからである。
円安は明らかに日本の家計を蝕んでいる。エネルギーや食料品、プラスチック製品など日本国民が消費するものの多くは輸入依存であり、ドル円の上昇分はそのまま輸入物価の上昇に直結している。

コロナ後にドル円が40%以上も上がったということは、基本的に輸入物価がそれだけ上がったということである。ドル円はそのまま元に戻っていないので、輸入物価もそのままだ。また、円はドルだけでなくほとんどの通貨に対して下落している。

円安の原因は黒田元総裁の時代から行われ続けてきた日銀の緩和政策であり、植田現総裁はそれを終わらせようとしている。実際、3月にはマイナス金利と、安倍元首相の支持率対策でしかなかった株式の買い入れ政策を終了した。

植田氏の取り組みにより、日本の長期金利は少しずつ上昇しつつある。それ自体は筆者やスタンレー・ドラッケンミラー氏の予想通りである。


ドル円上昇を止められない植田日銀
だがドル円の上昇は止まっていない。植田氏は黒田氏の緩和政策をいくつか終わらせたものの、政策金利自体は0.2%しか動かしておらず、金利上昇が十分ではないのである。

4月26日の日銀決定会合では、植田総裁は金融政策の維持を決定した。記者会見ではドル円に関する質問が噴出したが、植田氏は質問をかわすばかりだった。

何故植田総裁は金利を上げてドル円上昇を止めることができないのか? 植田氏は4月の会合で金利を上げるべきではなかったのか?

だが筆者は実は植田氏の政策がそれほど間違っているとは思っていない。何故かと言えば、日本のインフレ率はそれほど差し迫った状況にはないからである。

日本のインフレ動向
現在、日本のインフレ率は前年同月比(以下同じ)で2.7%であり、食品とエネルギーを除くコアインフレ率を半年分ほど並べると次のようになる。

2023年10月: 2.80%
2023年11月: 2.80%
2023年12月: 2.80%
2024年1月: 2.59%
2024年2月: 2.49%
2024年3月: 2.18%
おおむね2%台で落ち着いていると言える。

インフレ率が落ち着いているのは、残念ながら日本経済にとって喜ばしいことではない。何故ならば、それは日本経済の減速の結果だからである。

日本の実質GDP成長率は前年同期比で見れば1.3%(2023年第4四半期)だが、直近半年の減速が大きく、個人消費は既にマイナス成長となっている。日本に関しては年内の景気後退も有り得る状況である。

所得税と社会保険料と消費税で所得の半分を持っていかれる経済において物価がこれほど上がってしまったのだから、消費が振るわないのは当たり前である。

だがインフレ率が落ち着いている以上、日銀は早足に利上げをすることが出来ない。むしろここから利上げすればインフレ率がどんどん沈んでゆくシナリオも有り得る。

そしてインフレ率よりも早々と減速しているGDPの方は、利上げが更なる追い打ちになるだろう。

インフレ率と物価水準

問題は、インフレ率の落ち着きと物価の高騰が別物だということである。これはアメリカでもそうだが、インフレ率が元に戻ったからと言って物価が元に戻ったわけではない。

インフレ率とは物価上昇率であり、落ち着いたとはいえ上昇率はまだプラスなのだから、過去に上がった分の物価は下がることもなく高いままなのである。

輸入物価を戻すには日銀が更に金利を上げるしかない。黒田日銀が行なった過去の緩和の分だけ引き締めを行なうしかないのである。

だがそのような引き締めを行えば、ただでさえ景気後退寸前の日本経済は本当に死んでしまうだろう。

ということで、日本経済はまさにアベノミクス以来の金融緩和のツケを払うべき状況にある。物価は上がってしまったが、それを元に戻すための金融引き締めを行えば実体経済が死んでしまう。

緩和を始めた時には既に分かっていたはずの当たり前の帰結を、今日本人は目の当たりにしている。自分の支持率のために日銀にETFを買わせた安倍晋三氏を何故誰も止めなかったのか。

20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏はもう何十年も前に著書『貨幣論集』で次のように述べていた。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31421

将来の失業について責められる政治家は、インフレーションを誘導した人びとではなくそれを止めようとしている人びとである。

何故誰も止めなかったのか。誰もハイエク氏の著書を読んでいなかったのか。誰も読んでいなかったのだろう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47910

2. 中川隆[-10739] koaQ7Jey 2024年5月04日 05:17:55 : j1Fxeoh2mM : RjM2MmpILm9GMm8=[2] 報告
<■77行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
アベノミクスの後始末をさせられている日銀 植田総裁が円安を止められない理由 _ 米大統領選までは金融緩和を続けてアメリカ国債を買え、とアメリカ政府から指示されている
コロナ以後、円安が止まらない。日本でもインフレ率が上がっているが、金利の方はインフレ率ほどの上昇を見せていないからである。
円安は明らかに日本の家計を蝕んでいる。エネルギーや食料品、プラスチック製品など日本国民が消費するものの多くは輸入依存であり、ドル円の上昇分はそのまま輸入物価の上昇に直結している。
コロナ後にドル円が40%以上も上がったということは、基本的に輸入物価がそれだけ上がったということである。ドル円はそのまま元に戻っていないので、輸入物価もそのままだ。また、円はドルだけでなくほとんどの通貨に対して下落している。

円安の原因は黒田元総裁の時代から行われ続けてきた日銀の緩和政策であり、植田現総裁はそれを終わらせようとしている。実際、3月にはマイナス金利と、安倍元首相の支持率対策でしかなかった株式の買い入れ政策を終了した。

植田氏の取り組みにより、日本の長期金利は少しずつ上昇しつつある。それ自体は筆者やスタンレー・ドラッケンミラー氏の予想通りである。


ドル円上昇を止められない植田日銀
だがドル円の上昇は止まっていない。植田氏は黒田氏の緩和政策をいくつか終わらせたものの、政策金利自体は0.2%しか動かしておらず、金利上昇が十分ではないのである。

4月26日の日銀決定会合では、植田総裁は金融政策の維持を決定した。記者会見ではドル円に関する質問が噴出したが、植田氏は質問をかわすばかりだった。

何故植田総裁は金利を上げてドル円上昇を止めることができないのか? 植田氏は4月の会合で金利を上げるべきではなかったのか?

だが筆者は実は植田氏の政策がそれほど間違っているとは思っていない。何故かと言えば、日本のインフレ率はそれほど差し迫った状況にはないからである。

日本のインフレ動向
現在、日本のインフレ率は前年同月比(以下同じ)で2.7%であり、食品とエネルギーを除くコアインフレ率を半年分ほど並べると次のようになる。

2023年10月: 2.80%
2023年11月: 2.80%
2023年12月: 2.80%
2024年1月: 2.59%
2024年2月: 2.49%
2024年3月: 2.18%
おおむね2%台で落ち着いていると言える。

インフレ率が落ち着いているのは、残念ながら日本経済にとって喜ばしいことではない。何故ならば、それは日本経済の減速の結果だからである。

日本の実質GDP成長率は前年同期比で見れば1.3%(2023年第4四半期)だが、直近半年の減速が大きく、個人消費は既にマイナス成長となっている。日本に関しては年内の景気後退も有り得る状況である。

所得税と社会保険料と消費税で所得の半分を持っていかれる経済において物価がこれほど上がってしまったのだから、消費が振るわないのは当たり前である。

だがインフレ率が落ち着いている以上、日銀は早足に利上げをすることが出来ない。むしろここから利上げすればインフレ率がどんどん沈んでゆくシナリオも有り得る。

そしてインフレ率よりも早々と減速しているGDPの方は、利上げが更なる追い打ちになるだろう。

インフレ率と物価水準

問題は、インフレ率の落ち着きと物価の高騰が別物だということである。これはアメリカでもそうだが、インフレ率が元に戻ったからと言って物価が元に戻ったわけではない。

インフレ率とは物価上昇率であり、落ち着いたとはいえ上昇率はまだプラスなのだから、過去に上がった分の物価は下がることもなく高いままなのである。

輸入物価を戻すには日銀が更に金利を上げるしかない。黒田日銀が行なった過去の緩和の分だけ引き締めを行なうしかないのである。

だがそのような引き締めを行えば、ただでさえ景気後退寸前の日本経済は本当に死んでしまうだろう。

ということで、日本経済はまさにアベノミクス以来の金融緩和のツケを払うべき状況にある。物価は上がってしまったが、それを元に戻すための金融引き締めを行えば実体経済が死んでしまう。

緩和を始めた時には既に分かっていたはずの当たり前の帰結を、今日本人は目の当たりにしている。自分の支持率のために日銀にETFを買わせた安倍晋三氏を何故誰も止めなかったのか。

20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏はもう何十年も前に著書『貨幣論集』で次のように述べていた。

ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31421

将来の失業について責められる政治家は、インフレーションを誘導した人びとではなくそれを止めようとしている人びとである。

何故誰も止めなかったのか。誰もハイエク氏の著書を読んでいなかったのか。誰も読んでいなかったのだろう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47910


円安を止める3条件は!?
石原順チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=3uHZpr-EScs

キャリートレードの落とし穴
石原順チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=O_WIlel1_nA

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