http://www.asyura2.com/23/ban11/msg/475.html
Tweet |
金融緩和を続けてはいけない理由
インフレと利上げによってアメリカの莫大な政府債務が暗礁に乗り上げている。GDPの119%の債務に大きな金利が付きつつあり、米国政府は利払いのために更に国債を発行しなければならないが、国債を発行すると借金が増え、したがって利払いも更に増えてしまうからである。
それで米国債が売られ、金利が上がっている。そして金利が上がると更に利払いが増える。
もうどうしようもないのだが、ダリオ氏はこの状況をコロナ直後から予想していた。コロナ後の緩和がインフレを引き起こし、金利が上がり、そして今の状況になるということをダリオ氏は予想し、同じ状況に陥って衰退していった大英帝国やオランダ海上帝国などアメリカ以前の覇権国家の研究を2020年には始めていたのである。
世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退 (2020/5/25)
世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由 (2020/5/22)
ダリオ氏はこの考えを後に著書『世界秩序の変化に対処するための原則』として公開している。
「金利は下がりましたよね」
インフレを引き起こすインフレ政策によって、デフレと低金利の時代がインフレと高金利の時代に転換する。そして低金利の時代に積み上げられた莫大な借金が金利を持つことで暴れ始める。
ダリオ氏が予想していたのはそういう大きなトレンドである。そしてアメリカは高金利の結果に直面しつつある。
だからダリオ氏は最近高金利の話をずっとしていた。それに対してインタビューで司会者はダリオ氏にこう言った。
9月にあなたはアメリカが債務危機に直面しつつあると主張していました。でも先週金利はかなり動きましたよね。まだ同じことを考えていますか?
これを読んだだけでダリオ氏がどう思ったか分かってほしいものだが、どうだろうか。ダリオ氏はこれを聞いた途端苦笑している。苦笑するしかない。
このインタビューは11月17日に行われているのだが、その頃のアメリカの長期金利のチャートは次のようになっている。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2023/11/2023-11-16-us-10-year-treasury-bond-yield-chart.png
司会者が言っているのは、このチャートが10月末にピークの5%付近に達した後、4.5%辺りまで下がってきた最後のわずかな下落のことである。
何を言っているのか? このチャート上のわずかな動きが、ダリオ氏が2020年から予想してきた巨大トレンドの何を変えるというのか? 本気でそう思っているのか? 本気でそう思えるのだろうか。
結論
だが、個人投資家と話しているとよくそういう話になる。
彼らは先週市場がどう動いたのか、ここ数ヶ月上がったのか下がったのかを気にしている。「ドル円は大きく下がりましたよね」。チャートを見てみると2円しか動いていない。何を言っているのか?
最初のうちは、筆者やダリオ氏が気にもしないようなことを彼らは何故いつも気にしているのか理解できなかった。だが彼らと長く接するうちにその理由が分かった。
その理由は、彼らの大半はより重要な長期トレンドのことを理解できないからである。長期トレンドを理解できなければ、短期トレンドを気にするしかない。
彼らが気にするのは目先の動きであって、1週間や2週間で儲かったのか損をしたのかである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41974
- 室伏謙一とか保守・右翼の積極財政派はGDPの意味が全くわかっていない 中川隆 2023/12/04 23:56:10
(0)
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。