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2023年6月7日 12時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/255094
6日の参院外交防衛委員会で可決された防衛産業強化法案。審議中は「死の商人」という言葉で批判した参考人発言を与党議員らが問題視したものの、逆に「言葉狩りだ」との批判が出ている。防衛産業の元技術者らも多くの懸念を残したまま成立へ突き進む現状を危ぶむ。このまま進めていいのか。(中山岳)
◆発言の主は杉原浩司氏、自民議員の非難にも反論
「なぜ、これほど重大な法案をこれほど拙速に通そうとして恥じないのか」
先月30日の同委員会。参考人として出席した「武器取引反対ネットワーク(NAJAT)」の杉原浩司代表が切り出した。成立すれば、殺傷性武器の輸出解禁を加速させかねないとし、「『平和国家』から『死の商人国家』への堕落だ」と批判した。
これを、松川るい氏(自民)が「レッテル貼りで、防衛産業が後ろ指をさされることはあってはならない」と問題視。音喜多駿氏(維新)も「死の商人とか強い言葉もあるが、平和を目指す一致点は変わらない。前を向いた議論をしていければ」と言及した。杉原氏は「後ろ指をさされるようなことをやらせようとしているのが、武器輸出を促進しようとする政府与党で、法案に賛成している会派の皆さんだ」と反論した。
◆元技術者「『死の商人』と見られても仕方なくなる」
実際、防衛産業OBはどう感じているのか。短距離ミサイルなどの大手メーカーで技術者を務めた男性に尋ねると、「輸出に歯止めがきかなくなれば、外国などから『死の商人』と見られても仕方なくなる」と危ぶんでいた。
そもそも「死の商人」という言葉は100年以上前からある。欧州では、19世紀にダイナマイトを発明したノーベル賞創設者のアルフレド・ノーベルや、第1次世界大戦で武器取引したトルコ出身の商人バジル・ザハロフらの形容にも用いられた。近年の国会でも、2017年に畠山和也衆院議員(共産)が「紛争を武器の面で支える死の商人としての日本であってはならない」と述べるなど、頻繁に使われている。
◆「武器輸出への批判として使うのは全く問題ない」
軍事ジャーナリストの前田哲男氏は「歴史ある言葉で、武器を売ったり輸出したりすることの批判として使うのは全く問題ない。議員があげつらうのは言葉狩りでは」と疑問視。法案の可決を「国の予算で防衛産業を永続的に支える仕組みにつながる。1国会で決めるのは議論が決定的に足りない」と危惧する。
前出の男性も「多くの技術者は、専守防衛のもとで国の安全に貢献しようと働いている。法案は、売り上げが伸びないから輸出で拡大する論理で、危うい」と話す。疑念を募らせるのは、企業の事業継続が困難な場合に政府が製造施設を一時国有化する仕組みだ。「各メーカーは系列の下請け企業を含めて秘密の技術もある。そんな簡単に引受先が見つかるとは思えない」
◆特定秘密保護法と同様の問題まで…
法案は、防衛相が「装備品等秘密」を指定し、契約を結んだ企業の従業員に守秘義務を課すとも規定。漏らした場合の罰則も設けられた。日弁連は「違法な秘密指定などを防ぐ手だてが全く講じられていない。市民の知る権利と表現の自由が侵害される」との会長談話を発表している。
秘密保護法対策弁護団の事務局次長を務める海渡双葉弁護士は「何を秘密とするかの要件があいまいで、特定秘密保護法と同様の問題をはらんでいる」と指摘。岸田政権が防衛費を増大させるなか、監視が行き届かなくなる危険性を挙げる。「市民団体やメディアが、防衛産業に予算が適切に使われているかを検証しようにもできなくなる。民主主義の基盤を危うくする『企業版秘密保護法案』とも言え、今国会で拙速に成立させてはならない」
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