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Wグループを率いるプリゴジンの露国防相批判は何が目的なのか?
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202305070000/
2023.05.07 櫻井ジャーナル
ワーグナー・グループを率いるエフゲニー・プリゴジンは5月5日、部隊を5月10日にバフムート(アルチョモフスク)から撤退させると宣言した。十分な弾薬が供給されず、多くの死傷者が出ているとしているのだが、すでにロシア軍はその80から90%を制圧したと推測され、ワーグナー・グループの任務は終わろうとしていた。
ロシア軍は昨年5月、ウクライナ北東部のハリコフ州から撤退したのだが、これも戦力不足が原因だとされた。当初、西側の有力メディアは「反転攻勢」だと喜んでいたが、糠喜びだということがすぐ判明する。この地域はステップ(大草原)で、隠れることが困難。ロシア軍は制空権を握り、高性能ミサイルも保有している。侵入したウクライナ軍部隊は壊滅的な打撃を受けた。ロシア軍の撤退はトラップだった可能性が高い。ロシア軍はウクライナ軍が地下要塞を築いていたソレダルへ兵力を集中させていた。
昨年10月、ロシア軍はセルゲイ・スロビキンをドンバス、ヘルソン、ザポリージャの統合司令官に据えた。ソレダルをワグナー・グループが制圧した直後、ワレリー・ゲラシモフ参謀総長をウクライナにおける軍事作戦の統合司令官に据え、スロビキンは副官にするという発表があったが、指揮の実態に変化はない。
バフムート制圧が見えてきた段階でワーグナー・グループのプリゴジンはショイグを批判した。十分な武器弾薬が供給されていないというものだ。チェチェン人部隊を率いているラムザン・カディロフも同じことを主張していた。そうした批判があった時期にショイグと司令官たちが武器の供給について話し合っている。
ワーグナー・グループはバフムートで勝利している。武器弾薬の供給について国防長官と司令官は話し合っている。ロシア軍がミサイルや砲弾などを使用している状況を見ると、枯渇している可能性はない。武器弾薬がなくなっているのはアメリカ/NATOだ。戦死者数はウクライナ軍が十数万人から30万人程度、ロシア軍はその1割りと見られている。プリゴジンの発言は奇妙だと言わざるをえない。アメリカ軍やウクライナ軍もそう考えているのではないだろうか。
西側の有力メディアはウクライナ軍が春に「反転攻勢」すると宣伝してきたが、まだ実行されていない。ウクライナのバディム・プリスタイコ駐英大使は5月2日にスカイ・ニュースの番組に登場、攻撃開始の遅れは悪天候、つまり気温の上昇で地面がぬかるみ、戦車が動けないからだと語っている。
実際、ぬかるみの中で身動きできなくなっているウクライナ軍をロシア軍はドローンやミサイルなどで攻撃、塹壕がウクライナ兵で死体で埋まっているというのだ。「反転攻勢」を自重しているのは当然のことだろう。もしロシア軍が混乱していると考えて「反転攻勢」を始めたならウクライナ軍にとって無惨なことになるだろう。プリゴジンはアメリカ/NATO/ウクライナ軍を誘っている可能性がある。
そのプリゴジンは4月21日、ドミトリー・ペスコフ大統領報道官の息子がワーグナー・グループの砲兵として6カ月間、ウクライナで戦ったことを明らかにした。そのペスコフ報道官は5月4日、2機のドローン(無人機)を使った3日のクレムリンに対する攻撃はアメリカ政府が決めたのであり、ウクライナ政府は命令を実行しただけだと語っている。
攻撃の直後、ドミトリー・メドベージェフ安全保障会議副議長はウォロディミル・ゼレンスキーを排除するしかないと語った。そのゼレンスキーは5月3日にフィンランドを訪問している。報復を恐れて「逃げ出した」と考える人もいる。
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