ウクライナは最新のネオコン惨事（耕助のブログ） HIMAZIN

ウクライナは最新のネオコン惨事（耕助のブログ）
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投稿者 HIMAZIN 日時 2023 年 4 月 06 日 17:30:52: OVGN3lMPHO62U　SElNQVpJTg

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No. 1752 ウクライナは最新のネオコン惨事

投稿日時: 2023年4月6日

Ukraine is the Latest Neocon Disaster

by Jeffrey Sachs

ウクライナ戦争はアメリカ新保守主義(ネオコン）運動の30年にわたるプロジェクトの集大成である。バイデン政権には、セルビア（1999年）、アフガニスタン（2001年）、イラク（2003年）、シリア（2011年）、リビア（2011年）で起きた米国の戦争に賛同し、ロシアのウクライナ侵攻を誘発するようなことをした同じネオコンがひしめいている。ネオコンの実績は大失敗の連続であるにもかかわらず、バイデンは自分のチームにネオコンを配属した。その結果バイデンはウクライナ、米国、EUを、またしても地政学的な大失敗に向かわせようとしている。もしヨーロッパに洞察力があれば、このようなアメリカの外交政策の大失敗から自らを切り離すだろう。

ネオコンの動きが出現したのは1970年代にシカゴ大学の政治学者レオ・シュトラウスやイェール大学の古典学者ドナルド・ケイガンの影響を受けた知識人たちのグループからだった。ネオコンの指導者には、ノーマン・ポドホルツ、アーヴィング・クリストル、ポール・ウォルフォウィッツ、ロバート・ケイガン（ドナルドの息子）、フレデリック・ケイガン（ドナルドの息子）、ビクトリア・ヌーランド（ロバートの妻）、エリオット・エイブラムス、キンバリー・アレン・ケイガン（フレデリックの妻）らがいる。

ネオコンの主要なメッセージは、米国は世界のあらゆる地域で軍事的に優位に立たなければならず、いつか米国の世界的または地域的支配に挑戦する可能性のある地域の新興勢力、とりわけロシアと中国に立ち向かわなければならないというものである。この目的のために、米国の軍事力は世界中の何百もの軍事基地にあらかじめ配置されるべきであり、米国は必要に応じて選択戦争を主導できるように準備されるべきである。国連は米国の目的に役立つ場合にのみ米国が利用する。このアプローチが初めて明文化されたのはポール・ウォルフォウィッツが2002年に国防総省のために書いた国防政策指針（DPG）{1}の草案であった。この草案が、1990年にドイツのハンス＝ディートリッヒ・ゲンシャー外相{2}がドイツの統一に続いてNATOの東方拡大が行われることはないと明確に約束したにもかかわらず、米国主導の安全保障ネットワークを中・東欧まで拡大することを求めたのである。ウォルフォウィッツはまた、アメリカの選択戦争を主張し、アメリカが懸念する危機に対して単独で、たとえ一国でも行動する権利を擁護していた。ウェスリー・クラーク将軍によれば、ウォルフォウィッツはすでに1991年5月{3}、イラク、シリア、その他の旧ソ連同盟国での政権交代作戦をアメリカが主導することをクラークに明言している。

2008年にジョージ・W・ブッシュ・ジュニアの下で米国の公式政策となる前から、ネオコンはウクライナへのNATO拡大を支持していた。彼らはウクライナのNATO加盟が米国の地域支配と世界支配の鍵になると考えていた。ロバート・ケイガンは2006年4月にNATOを拡大するというネオコンの主張を紹介している{4}：

ロシア人と中国人は、[旧ソビエト連邦の「カラー革命」は]自然なものではなく、世界の戦略的に重要な部分で西洋の影響力を促進するために設計された西洋の支援によるクーデターだと考えている。彼らは間違っているだろうか？西側民主主義諸国が促し、支援するウクライナの自由化の成功は、同国がNATOやEUに組み込まれる前段階に過ぎない、つまり西洋のリベラルな覇権主義の拡大ということではないだろうか？

ケイガンはNATOの拡大が悲惨な事態を引き起こすことを認めていた。彼はある専門家の言葉を引用して、「クレムリンは『ウクライナのための戦い』の準備を真剣に進めている」と述べている。ソ連崩壊後、米ロ両国は慎重な緩衝材と安全弁として中立のウクライナを求めるべきだった。しかしネオコンはアメリカの「覇権」を求め、ロシアは防衛のため、また自分たちの帝国的な誇りのためにこの戦いに挑んだ。クリミア戦争（1853年〜1856年）はオスマン帝国に対するロシアの圧力によりイギリスとフランスが黒海でロシアの弱体化を図ったものだった。

ケイガンは私人としてこの論文を書いたが、彼の妻ビクトリア・ヌーランドはジョージ・W・ブッシュ・ジュニアの下でNATOの米国大使を務めていた。ヌーランドは代表的なネオコンの工作員であった。ブッシュのNATO大使に加え、ヌーランドは2013年から2017年までバラク・オバマの欧州・ユーラシア問題担当国務次官補を務め、ウクライナの親ロシア大統領ヴィクトル・ヤヌコヴィッチの転覆に参加し、現在はバイデンの国務次官としてウクライナ戦争に対する米国の政策を指導している。

米国の軍事的、財政的、技術的、経済的優位性によって、世界のあらゆる地域で条件を決定することができるという誤った前提がネオコンの考え方の基本である。それは、驚くべき傲慢さと、驚くべき証拠軽視の立場である。1950年代以降、米国は参加したほぼすべての地域紛争で足踏みまたは敗北してきた。しかし、「ウクライナの戦い」では、ネオコンたちは、ロシアの猛反対を押し切ってNATOを拡大してロシアとの軍事衝突を誘発する用意があった。それはロシアは米国の金融制裁とNATOの兵器によって敗北すると強く信じているからである。

キンバリー・アレン・ケイガンが率いるネオコン系シンクタンクの戦争研究所（ISW）は、ゼネラル・ダイナミクスやレイセオンといった国防関連企業の錚々たる面々をバックに、ウクライナの勝利を約束し続けている。ロシアの前進について、ISWは典型的なコメント{5}を発表している：「シエビエロドネツク市をどちらが押さえるにしても、作戦・戦略レベルでのロシアの攻勢はおそらく頂点に達し、ウクライナはロシア軍を押し戻すために作戦レベルでの反撃を再開する機会を得ることになるだろう」。

しかし現地の事実はそうではないことを示唆している。欧米の経済制裁はロシアにほとんど悪影響を与えず、逆に世界に大きな「ブーメラン効果」をもたらした。さらにアメリカがウクライナに弾薬や武器を補給する能力は、アメリカの限られた生産能力と壊れたサプライチェーンによって著しく阻害されている{6}。ロシアの工業能力は、もちろんウクライナのそれを凌駕している。ロシアのGDPは戦前のウクライナの約10倍であり、ウクライナは戦争で工業力の多くを失った。

現在の戦闘で最も可能性が高いのは、ロシアがウクライナの大部分を征服し、おそらくウクライナは陸の孤島かそれに近い状態になることだろう。欧州と米国は軍事的損失と、戦争と制裁によるスタグフレーションの結果に対する不満が高まるだろう。米国で右翼の扇動政治家が台頭（あるいはトランプが政権に復帰）して、危険なエスカレーションによって米国の色あせた軍事的栄光を取り戻すと約束すればその影響は壊滅的なものになるだろう。

このような惨事を招く危険を冒すのではなく、真の解決策は、過去30年間のネオコンの幻想を終わらせ、ウクライナとロシアを交渉の場に戻し、NATOはウクライナの主権と領土保全を尊重し保護する実行可能な平和と引き換えに、ウクライナとジョージアへの東方拡大へのコミットメントを終了することを約束することである。

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ジェフリー・サックス：アメリカの経済学者、公共政策アナリストであり、コロンビア大学地球研究所の前所長で大学教授。

https://www.tikkun.org/ukraine-is-the-latest-neocon-disaster/ 　