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ウクライナでの勝利を諦めた米政府は東アジアへの「転進」を図っている
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202303280000/
2023.03.28 櫻井ジャーナル
バフムート(アルチョモフスク)はロシア側が包囲したと言われている。ウクライナ兵の脱出路は確保されているが、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の「死守しろ」と命令しているので、どのような展開になるかは不明だ。
ワーグナー・グループを率いるイェフゲニー・プリゴジンによると、ウクライナ軍は約20万人を軍事訓練、NATOから軍事物資の補給を受けているとしたうえで、バフムートの周辺に集結しているウクライナ兵は約8万人だと警告、ロシア軍の合流を要請している。ウクライナは最後の決戦を挑もうとしているようだ。
ここにきてワーグナー・グループの動きが静かになっているともいうが、その理由はロシア軍の合流を待っているのか、ウクライナ軍の動きを見ているのかもしれない。
ウクライナ軍はすでに数十両のドイツ製戦車「レオパルト2」とイギリス製戦車「チャレンジャー2」を受け取り、アメリカ製の「M1エイブラムズ」は数週間後に届くという。イギリスはチャレンジャー2で使える劣化ウラン弾も供給していると言われている。
ロシア軍は改良型で暗視装置、熱線暗視装置、射撃統制システムなどが装備されているタイプのT-72戦車を使ってきたが、さらに新しいタイプのT-90Mを既に投入済みだという。今年に入ってロシアは約3000両の戦車を製造したが、その大半はT-90Mで、最新型戦車のT-14は準備中だとされている。
アメリカ/NATOはミンスク合意を利用し、2014年から22年にかけて戦力を増強させたが、地下要塞の建設も進めてきた。それでもロシア軍の攻撃でウクライナ軍は壊滅状態。兵器を供給するだけでなく、ポーランドやイスラエルなどから傭兵を投入しているものの、追いつかないようだ。
今後、どこかの時点でロシア軍は動員した兵士を前線へ出してくるはずで、アメリカ統合参謀本部のマーク・ミリー議長は昨年11月、ウクライナ軍がロシア軍に勝利することはないかもしれないとニューヨークの経済クラブで発言している。
短期的に見ると、ウクライナの戦乱は2010年の大統領選挙で東部と南部を支持基盤とするビクトル・ヤヌコビッチが勝利、それを嫌ったバラク・オバマ政権がクーデタを計画したところから始まる。アメリカのウクライナ侵略から始まったとも言える。戦乱を回避するためには、この時点で動かねばならなかった。
その計画に従い、オバマ政権のネオコンは2013年11月にクーデターを始動させる。その主力はNATOの軍事訓練を受けたネオ・ナチ。そして2014年2月にヤヌコビッチは排除された。
ヤヌコビッチの支持者が圧倒的に多い東部や南部ではクーデターを拒否する人が多く、クリミアの住民はロシアの保護下に入る道を選び、対応が遅れたドンバスでは内戦が始まる。オデッサではクーデターに抵抗した住民がネオ・ナチの集団に虐殺された。
この内戦ではドンバスの反クーデター軍が優勢だったこともあり、ドイツやフランスは停戦を持ちかけ、ミンスク合意の締結に漕ぎ着けたのだが、キエフ政権だけでなく、ドイツ政府もフランス政府も本気で戦争を止めるつもりはなかった。
当事者だったアンゲラ・メルケル元独首相は昨年12月7日にツァイトのインタビューでミンスク合意が時間稼ぎにすぎなかったことを認めている。その直後にフランソワ・オランド元仏大統領はメルケルの発言を事実だと語った。ドイツやフランスはアメリカの命令に背く力を持っていない。日本と同じだ。
おそらく、ジョー・バイデン政権はウクライナで勝利することを諦めて東アジアへの「転進」を図っている。中国を破壊するための手先としてアメリカが考えているのは日本だろうが、そうした展開になったならば、日本は破滅する。アメリカが中国との戦争で拠点にするのはオーストラリアのようで、日本、台湾、韓国などは使い捨てだろう。台湾や韓国で戦争にブレーキがかかることを期待するしかない。
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