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ウクライナの天王山
衰退しつつある優位を維持するため戦争に頼る苦境のアメリカ
マイク・ホイットニー
2023年2月26日
Unz Review
人類の未来はウクライナの戦場で決定される。これは誇張ではない。アメリカとロシアの対立は、進化する多極システムの中で世界経済統合が拡大するのか、それとも「ルールに基づく秩序」が欧中心モデルに反対する敵を粉砕するのに成功するかを決定する。これがウクライナで起きていることであり、実際、最近政府が作成した国家安全保障関連文書は全てロシアと中国をアメリカ覇権に対する最大の脅威と特定している。たとえば2021年の議会調査局報告書「新たな大国競争:防衛への影響—議会の問題」という題名のこの短い抜粋をご覧願いたい。
ユーラシアにおける地域覇権国の出現を阻止するアメリカの目標は...(1)ユーラシアの人口、資源、経済活動を考えると、ユーラシアの地域覇権は極めて重要なアメリカ権益を脅かすに十分な大きさの権力集中になるという2つの判断を反映した政策選択だ。
大戦略と地政学に関するアメリカの視点からすると、世界の人口、資源、経済活動のほとんどが西半球でなく他の半球、特にユーラシアに位置していることがわかる。世界地理学のこの基本的特徴に対応し過去数十年間アメリカ政策立案者はアメリカ国家戦略の重要要素としてユーラシアにおける地域覇権の出現を阻止するという目標を追求すると選択した。」(「新たな大国間競争:防衛問題への影響—議会にとっての問題」アメリカ議会)
それは一言で言えばアメリカの外交政策の要約だ。「地域覇権の出現阻止」は絶対だ。次に2022年アメリカ国防戦略のアンドレ・デイモンによる要約を世界社会主義ウェブサイトで確認頂きたい。
アメリカ・マスコミでは本格的に議論されなかったこれら文書は、今年の大規模アメリカ軍備蓄が"ロシア侵略"への対応だというのが根本的なウソなのを明らかにしている。実際はホワイトハウスとペンタゴンの戦争計画者の考えでは軍事費の大幅増加と中国との戦争計画は「地政学や技術や経済や我々の環境の劇的変化」によって引き起こされている。
これら文書は、アメリカが中国の経済的台頭を実存的な脅威と見なし軍事力威嚇で対応することを明確にしている。アメリカはロシア征服を中国との紛争への重要な足がかりと見なしている。」(「ペンタゴン国家戦略文書は中国を標的にしている」アンドレ・デイモン、世界社会主義ウェブサイト)
これら2つの抜粋は決してアメリカ外交政策目標の包括的要約ではないが、かなり効果的なサムネイルスケッチだ。結論:ウクライナでの戦争はウクライナが狙いではない。極めて明確にされたアメリカの戦略目標は次の通りだ。ロシアを弱体化させ、指導者を打倒し、膨大な天然資源を支配し、中国封じ込めに移行する。簡単に言えばウクライナでのワシントンのエスカレートする侵略は、世界秩序の上で衰退しつつある地位を維持するため、新興経済力の中枢を封じ込めることを狙った一か八かの最後の試みだ。
これは「ロシアのいわれのない侵略に対する戦争」という隠れ蓑の背後で行われている地政学的チェス試合だ。このばかげた欺瞞に人々は惑わされるべきではない。この戦争はアメリカが徐々に消えつつある世界覇権を維持するための必死の試みとしてでっち上げたのだ。それがウクライナの真実の全てだ。これはアメリカ・マスコミと政治支配層を絞め殺しつつある戦争挑発屋欧米オリガルヒと"高速"インフラと協調的発展を通じて資源や工業製品を世界中の国々と結びつけるために市場システムを利用している新興経済国との衝突なのだ。
だから誰もが自問しなければならない質問はこれだ。皆様は更なる経済統合、より安い価格、共有されるより多くの繁栄とより少ない戦争、あるいは更なる80年の厄介で恣意的な制裁、カラー革命、政権転覆作戦、大量虐殺介入、生物兵器戦争(Covid-19)を見たいのか? どちらをお望みだろう?
おそらく皆様は中国はアメリカの敵だと信じている何百万人ものアメリカ人の一人だ。おそらく皆様は現代中国の創造の上でアメリカが果たした役割にも気づいていない。アメリカと欧米の企業はアメリカの生産経費の高さから逃れるため一斉に中国に事業を移したのか?
答え–そう、彼らはそうした。
そして、彼らは公正な賃金が彼らの過度な利益創出を阻止するのを望まなかったのでアメリカ労働者を裏切ったのだろうか?
答え–そうだ。
そして、食卓に食べ物を置けるまともな賃金を稼ぐ機会をアメリカ労働者から奪いながら、彼らは自身を勝者にするため事業を海外移転し、製品製造を外注し、できる限りのあらゆることをしたのだろうか?
答え–彼らは確かにそうした。
では、中国の台頭は実際誰の責任なのだろう。
答え–欧米企業の責任だ。アメリカ人が誰か非難したいのなら連中を非難しろ!
しかし今や企業官僚や他のエリートは中国がアメリカで持っているように彼らの市場、金融システム、通貨を支配するのを許さないので中国に不満を持っている。それで今これら同じ冷酷至極な企業は彼らが作り出した怪物との戦争を我々に望んでいるのだろうか?
おわかりだろうか? 中国に対する執拗な挑発はアメリカの国家安全保障やアメリカの利益と何の関係もないことがおわかりだろうか。彼らの壮大な略奪作戦の次の標的に中国に定めた貪欲な欧米オリガルヒ幹部のため戦って死ぬよう我々はいいように操られているのだ。
しかし過去を少し忘れ未来に焦点を当てよう。結局それが本当に重要なことだろう?
では将来に対しより「前向きな展望」を持っている国は中国、アメリカどちらだろう。
中国外交政策の中心である数兆ドル規模の大規模インフラ計画である中国の一帯一路構想について聞いたことがおありだろうか? これは史上最大のインフラ計画で既に150か国以上がこの計画に投資している。これは高速鉄道、航路と港、高層ビル、鉄道、道路、橋、空港、ダム、発電所、鉄道トンネルを介した接続性を高めることを目的とした開発指向プロジェクトだ。移動速度を上げることで中国製品と商品はより早く市場に投入され、中国自身と関係する他の国々にとってより大きな繁栄を生み出すだろう。BRIは参加者が北京に指示された特定経済モデルに従うことを必要としない高速システムで世界中の国々を結ぶことに留意願いたい。言い換えれば一帯一路構想は政治のない自由市場経済だ。それは誰にとっても「ウィンウィン」で政治的操作、強制、搾取のない相互繁栄の保証だ。
アメリカを動かしている卑劣なオリガルヒ連中は、この規模や可能性のプロジェクトを想像することさえできない。実際彼らはアメリカの鉄道上で列車を維持するのに十分なお金を決済することさえできない。これら億万長者寄生虫が彼らの活動から引き出す利益は、常に株式の買い戻し、脱税や、誰にも利益をもたらさず、国富の多くを自身の膨らんだ銀行口座に移すだけの様々な巧妙な借金を積み上げるポンジ詐欺から来るのだ。もちろん、国から略奪するのは十分悪いことだが、今この同じ階級の悪党が全ての人の自由を大幅に制限する抑圧的警察国家措置を課せるよう、政治力を増幅する手段として公衆衛生を利用することにしたのだ。要するに連中は絶対的な社会統制を望んでおり、それを手に入れるまで諦めるつもりはないのだ。
この行動で「前向きな展望」はどこにあるだろう?
ない。アメリカはかつてアイデア、理想、展望の国だった。現在アメリカはオリガルヒが運営する全ての将来の希望を一握りの傭兵億万長者が容赦なく消す収容所だ。
少なくとも中国の場合、相互接続され、誰もがより利用しやすく、より良く、より繁栄した世界を想像できる。しかしアメリカはどうか? 東ヨーロッパで戦争をすることで我々の生活が改善されると我々は信じるべきだろうか? 「我々がトップにとどまれる」唯一の方法は、他の全員を押し下げることだと信じるべきだろうか? 間違った大統領候補に投票したり、我々の都市を燃やし略奪するテロリストを支持しなかったり、キーウのナチス突撃隊員よりも東パレスチナの人々こそ我々の支援に値すると信じたりしたことで我々の政府が8000万人を悪魔化しながら、我々は中国とロシアを憎むよう期待されているのだろうか?
事実は我々のリーダーはBRIのような巨大な相互接続されたインフラス・プロジェクトに公的資源をさくことを想像できない。それで彼らはノルドストリームを破壊したのと同じようにそれを破壊すると決めたのだ。この画期的プロジェクトに関する報道論評をお読み願いたい。欧米ジャーナリストは、それについて言うべき「良い言葉」を見つけられないのだ。アメリカ中央部の広大な地域は、塩化ビニル、アクリル酸ブチル、イソブチレンで激しく攻撃されたが、欧米マスコミは彼らのお雇い主に責任を負わせるより中国の野心的BRIプロジェクトを批判したがるのだ。信じられない。
同じ規則がロシアにも適用される。バイデン・チームと裕福な同盟諸国は、より緊密な関係は両国にとってより多くの繁栄を意味するためドイツとロシアのより緊密な関係を望んでいない、ワシントンはそれを許せず、それがドイツの安い燃料の生命線だったパイプラインを連中が爆破した理由だ。それがワシントンが問題を解決した方法だ。それでドイツとロシアを下落させアメリカが首位にとどまれるようにした。これがわからない人がいるだろうか?
対照的に、一帯一路構想は世界の大多数が支持する考えである未来への前向きな展望を提供する。それは人々が生活水準を高め、地域社会に有意義な貢献をし、制裁や投獄や爆撃されて死ぬのを恐れることなく自分たちの文化や伝統を享受楽できる相互接続された世界への道に我々を置いてくれる。下記は中国の環球時報からの抜粋だ。
中国が提案した一帯一路構想(BRI)は既に好評を博している国際公共財で国際協力の重要プラットフォームとなっている...
「BRIは地政学的ゲームの時代遅れの考え方を超越し、国際協力の新しいモデルを生み出した。それは他の参加者を排除する排他的集団ではなくオープンで包括的な協力の場だ。それは中国単独の努力だけでなく、全参加国が演奏する交響曲だ。
2013年に一帯一路構想(BRI)が提案されて以来、この構想は常に開発指向で、高水準で持続可能で人間中心であることを保証するため一貫した努力がなされてきた。
8月までに中国のBRI参加国との商品貿易は約12兆ドルに達し、これらの国々に対する中国の非財務的直接投資は1,400億ドルを超えた。...2021年末までに中国企業はBRI諸国の経済貿易協力区建設に430億ドル投資し、34万人以上の地元雇用を創出したと公式データが示している...
中国は他国や地域のBRI参加を受け入れており、より質の高い公共財を世界に提供するため他国が提案するインフラ構想との連携を検討している。中国は高品質の開発を進めるため全てのパートナーと手を組みたいと望んでいる...中国は断片化ではなくグローバルなつながり、ドアを閉じるのではなく相互開放、ゼロサムゲームではなく相互統合を目指していると強調した。 (「BRIは全ての人々にオープンで包括的で、地政学ゲームという時代遅れの考え方を超越している」環球時報)
一帯一路構想に匹敵するアメリカ主導のプロジェクトは何だろう?
一つとしてない。アメリカは致死兵器と戦争遂行に年間1兆ドル以上を割り当て、ウォール街の銀行家を救済するため更に数兆ドル割り当て、国民に有毒な泥濘を注入したい億万長者エリート独裁に従うことを余儀なくされた全国の全ての企業を閉鎖するため更に数兆ドル割り当てている。しかし商業やレクリエーションを通じて世界の人々を平和的に近づけるグローバル・インフラ・プロジェクトにはゼロだ。
中国が完璧だとは誰も言っておらず、少なくとも私はそうではない。また私は中国に住みたくない。違う。私はアメリカ人で、ここで死ぬつもりだ。
しかし私は目が見えないわけではない。このロシアとの戦争が「いわれのない侵略」と何の関係もないことは容易に理解できる。これはアメリカの世界覇権を維持するという本当の目的を隠すため利用されている煙幕にすぎない。我々が今しなければならないのは「何が起きているのか」正確に分析することだ。「なぜそれが起きているのか」を理解しようとし、次に、アメリカが勝った場合の結果がどうなるかご理解願いたい。言い換えれば我々はロシアを粉砕し、中国を封じ込め、ヨーロッパに必要なエネルギーを飢えさせ、一帯一路インフラ計画を妨害し、アフガニスタン、リビア、シリア、イラクにもたらしたと同じ失敗した政策を強化するオリガルヒ支配体制を永続させたいのだろうか?
我々はそれを望んでいるのだろうか? 皆様はそれを望んでいるのだろうか?
アメリカ国民はより豊かで平和な世界を創造するため政府が他の国々と協力するのを望んでいる。彼らは新しい世界秩序を望んでおらず確実に第三次世界大戦は望んでいない。
記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/showdown-in-ukraine-hobbled-us-turns-to-war-to-preserve-its-waning-primacy/
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中国国営放送CGTN地女性記者が訪中前のルカシェンコ大統領を現地でインタビュー
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‘Europe is Waking Up’: Protests in Europe Call For Peace in Ukraine
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「シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!」
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2023年3月 5日 (日)
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