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アメリカとヨーロッパの支配者たちは、自分たちの国民が国内で戦争を始める前に、ロシアと戦争を始めたいと考えている。
<記事原文 寺島先生推薦>
The rulers of the United States and Europe want to start a war with Russia before their own people start a war at home.
https://strategic-culture.org/news/2022/10/21/elite-desperation-belies-europe-union-becoming-party-to-war-in-ukraine/
出典:Strategic Culture
2022年10月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年11月13日
今週開催された欧州連合(EU)外相会合では、ロシアと戦うウクライナ軍のEU域内での訓練を、正式に、欧州全域の関与とすることにした。このことは、27カ国からなるEUを不可避的にウクライナ戦争の当事者にする。
2カ月近く前、前号8月19日付の戦略文化財団(Strategic Culture Foundation)週報社説で、我々はウクライナ紛争がすでに第3次世界大戦に転移していると仮定した。その警告は、米国を中心とするNATO同盟とEUによるウクライナへの軍事的関与の劇的なエスカレーションによって裏付けられている。
今週、欧州連合(EU)の外務理事会は、今後2年間で最大15,000人のウクライナ軍を訓練する軍事支援ミッション(EUMAM)を発表した。ドイツとポーランドが主要な訓練拠点となる予定である。EUMAMの本部はブリュッセルに置かれる予定である。これは、戦争を想定した長期的な計画であり、嘆かわしいことに、いかなる種類の外交的解決策も放棄している。
EU全体の訓練プログラムは、これまで国内レベル、二国間レベルで控えめに行われていた任務を、正式かつ包括的に採用したものである。米国、カナダ、英国は2014年からウクライナに軍事顧問を置き、アゾフ大隊などのネオナチ勢力を指導してきた。ウクライナ軍の訓練は、フランス、ドイツ、スペイン、ポルトガル、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、エストニア、そしてその他のバルト諸国でも行われてきた。
しかし、EU外相が今週宣言したのは、ロシアに対するウクライナでの戦争に、欧州全域で組織的に参加することである。法的に言えば、戦争に積極的に参加する軍隊をEU域内で公式に訓練することは、EUを戦争の当事者にすることになる。これは、ロシアが合法的に軍を指揮する方法に対して重大な意味を持つ。潜在的には、欧州諸国は自らをロシア軍の攻撃目標にすることになる。
NATOの欧州加盟国が米国と共同でウクライナに殺傷力の高い兵器をどんどん投入していたら、もっと早い段階ですでにそうなっていたことははっきりしている。
ロシアは、ウクライナに供給されたNATOの兵器が、米国主導の枢軸を戦争当事者にした、と繰り返し警告している。したがって、この紛争はもはや代理戦争ではなく、全面的な対立である。
週を追うごとに、米国とNATOの同盟国によるウクライナへの重火器納入の発表が続いている。西側諸国からウクライナに提供される武器は総額420億ドルと推定され、その3分の2近く(280億ドル)が米国からのものである。
EU域内におけるウクライナ軍の訓練を強化することに加え、EUは今週、キエフ政権への武器供給を支援するために5億ユーロを追加で割り当てた。この資金調達の仕組みには、「欧州平和機関(European Peace Facility)」という『1984年』(ジョージ・オーウェル)を思わせるようなタイトルがつけられている。
ドイツのオラフ・ショルツ(Olaf Scholz)首相は、自走式榴弾砲、防空システム、多連装ロケット発射システムの新規供給を約束した。先週、フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領も、榴弾砲、防空レーダー、ミサイルの増設を約束した。
欧州連合の指導者たち、そして米国やNATOの指導者たちの犯罪性は正気の沙汰には見えない。ウクライナでのロシアに対する戦争の激化は、NATO圏がヨーロッパでロシアを標的にした核戦争演習を行っているときに、今週起こった。NATO圏が着手した戦争路線は地球の破局につながりかねない、というモスクワの警告は、ロシアが「核の恐喝」を行っているとされ、西側諸国によって見境もなく歪曲されている。
米国とその欧州の属国による二重思考には驚かされる。ジョー・バイデン米大統領は「核のハルマゲドン」の危険性を語っている。ショルツやマクロンのようなヨーロッパの指導者たちは、ロシアとの直接対決に警告を発したとされる。しかし、この同じ西側の政治家とその仲間は、ウクライナでの戦争を破滅的な規模にまで煽り続けているのだ。
欧米の指導者は誰一人として、ウクライナ戦争を解決するための外交的解決策を提示せず、紛争を誘発した背景となる戦略的安全保障問題にも取り組んでいない。
英国を襲っている政治的・経済的混乱は、首相就任からわずか6週間で、運に見放されたリズ・トラス(Liz Truss)首相が辞任に追い込まれたこともあり、経済の崩壊からくる西側諸国の倦怠感の表れであると言える。米国、英国、欧州連合は、その破綻した資本主義システムによって、まさに経済的メルトダウンに陥っている。
貧困と社会崩壊の前例のないレベルを示す数値は桁外れである。戦争のことしか念頭にない政策や生活費の緊急事態に対する市民の抗議行動や産業界のストライキが、ヨーロッパやアメリカの都市で急増している。体制崩壊は何十年も前から進行していたが、ロシア(と中国)と対立しようとする間違った帝国主義政策によって加速されている。ロシアからヨーロッパへのガスの供給を自ら断ったことは、ヨーロッパのエリートが自国民に向けて発射した究極の神風特攻機だ。
実際のところ、ウクライナにおける戦争は、老衰死の道をたどるアメリカ主導の西側秩序を何とか持ちこたえようとする、ロシアとの地政学的対決なのである。このアメリカ主導の西側秩序においては、ちょうちん持ち的な動きをする欧州各国によって、アメリカ政府が覇権を握っていると推定されている。そのような帝国主義的な秩序の時代は終わりを告げている。
過去1世紀の間に起こった2つの世界大戦は、破綻した西欧資本主義を救済する手段として引き起こされた。恐ろしいことに、これらの戦争は部分的に西欧資本主義を再生すること、あるいは少なくとも災いの種を先送りすることに成功した。
今日、再び、西側システムは存亡の危機に直面している。既存支配層は、革命的な社会的混乱に対する正当な懸念の中で、生き残りをかけて必死に抵抗している。この極端な状況だからこそ、西側の政治エリートは、犯罪的なまでに無謀な決定を下し、破滅的な戦争を引き起こす危険を冒しているのである。もちろん、その装いは時代から取り残された高貴さにしがみついた代物でしかない。
アメリカとヨーロッパの支配者たちは、自分たちの国民が国内で戦争を始める前に、ロシアと戦争を始めたいと考えている。幸いなことに、ロシアには自衛のための十分な能力がある。しかし、それは(世界消滅という)悲惨な誤算を未然に防ぐものではない。
この地獄のような状況の元凶は、欧米のエリート、その企業の親玉、そして病的な資本主義体制である。欧米の市民たちは、彼らに最大限の責任を取らせるべきである。
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