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ウクライナ、間違った仮定、間違った結論、そして多数の兵士の死
2022年8月24日
Moon of Alabama
ウクライナでの戦争が半年を超すにつれ、多数のメディアが戦争の始まりについて結論を出している。だが詳細に見ると、大半は、人々が戦争開始時のロシア計画が何だったと想定していたか、その人々が、その計画とされるものが、どのように現実と適合していると想定しているかについての皮相的な記事だ。
ワシントン・ポストが長い「独占」記事を見出し記事にしている。(英語原文)
キーウを目指す戦い:ウクライナの勇気、資金節約と相俟ってのロシア大失敗
記事は最初に戦争開始直後を記述し、次に誤った仮定を述べている。
あの瞬間、皆が直面した疑問は[ウクライナ内務大臣デニス]モナスティルスキーが言ったように「巨大な拳骨で、敵は一体どこまでやれるのか?」ということだった。
もしロシアがウクライナで権力の座を掌握するか、少なくとも政府をパニックで逃亡逃させることができれば、国防は早々と解体されたろう。モスクワは傀儡政権を据えられたはずだ。
それがクレムリンの計画だった。
なぜ著者が、それがクレムリン計画だったと知っていると思っているのか私は分からない。説明されているものが、ロシアが得ようと目指していたものでないのは確かだと思う。
「ニューズウィーク」記事も似たような主張をしている。(英語原文)
プーチンは、いかにウクライナ戦争を台なしにし、ロシア軍事力を危険にさらしたか
ウクライナを守る人々は、実に固く決意していたが、ロシア軍は、お粗末な戦場指揮官、劣った兵器や機能不全の兵站供給網に対処しなければならなかった。彼らはプーチン自身にも両脚を縛られていた。彼は世界情勢を誤解し、個人的に、キーウ政権を打倒したいと考え、悲惨な侵略を命令した。彼は、ドンバスを占領するまずい取り組みを指揮し、その過程でロシア軍を消耗させた。
・・・
「プーチンは、我々が現代知っていに、あらゆる他の独裁者同様、自身の軍より、どんな専門家より、自分の方が、ものごとを良くわきまえていると思っている」とロシアで働く(率直に話すため匿名を要求した)一人の諜報関係高官が「ニューズウィーク」に言った。
・・・
2月侵略は、ウォロディミル・ゼレンスキーを打倒し、国全体を占拠するよう意図されており、ロシアは、キーウを脅かし、ウクライナの北、ベラルーシに何万人もの兵を派遣した。
ロシアの圧倒的な数の優越という条件のもと、プーチンはキーウ政府が、わずか72時間で敗れると期待した。
これらの主張の、どれも本当である証拠がない。
年頭ロシアは問題に直面していた。大きな構図で、ロシアはウクライナのNATO加盟を防がなければならなかった。アメリカとの交渉は既に、それを達成し損ねていた。喫緊の状況で、ロシアはドンバス共和国への差し迫ったウクライナ攻撃を阻止しなければならなかった。
異なる時点と費用で、それらを実現する可能性がある方法がいくつかあった。
戦争の初め、プーチンはウクライナ軍に対し、降参し、必要な譲歩をし、もし彼らと意見が一致しなければ、文民政府を排除するようにという発言をした。しかし、戦争初期に、ウクライナ軍司令部は、それを望んでいないか、あえてそうする気がないのが明らかになった。こうした軍事クーデターは、ロシアとウクライナ両国にとって、最も安あがりの解決だったはずだ。
2番目の選択は、ウクライナ政府に、戦争を終わらせるロシアの条件に同意するよう迫ることだった。ウクライナ軍をドンバスから撤退させ、クリミア半島をロシアの一部として受け入れ、どんなNATO連合計画も否認すること。
キーウを巡るロシア軍の動きは、それを実現するよう意図されていた。3月末、トルコで開催された協議中に、すんでの所で、目的に達するところだった。ウクライナがクレムリンの条件と、サミットの可能性に同意するように思われるや否や、ロシアは軍隊に都市から撤退するよう命じた。
3月29日、France24が、連日の報道を、こう要約した。
火曜日、イスタンブールでの和平会談の最後に、ロシア軍との完全停戦が合意される限り、ウクライナは、ロシアが占領するクリミア半島の未来に関し、中立状況と、15年の調査期間を採用するよう提案したと交渉者が述べた。キーウとチェルニーヒウ付近で軍事行動を「根本的に」減らすというロシアの誓約にもかかわらず欧米当局者は注意を促した。
数日後、イスタンブールで彼の交渉者がしていた全ての譲歩にゼレンスキーが突然反論し、紛争の速い終わりというクレムリンの希望は潰えた。
それは4月2日のイギリスのボリス・ジョンソン首相とゼレンスキーの電話会話、そして4月9日、ジョンソンのキーウ訪問後だった。
ウクライナ・プラウダの報道が、何が起きたか説明している(機械翻訳):
イギリスのボリス・ジョンソン首相のキーウ到着後、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の会談の可能性は、ずっと減った。
・・・
二つのことが起きて、その後、ウクライナ代表団メンバー、ミハイロ・ポドリャークが両大統領会談は「その時期ではない」と公然と認めた。
最初は一時的に占領されたウクライナ領土でロシア軍が行った残虐行為、レイプ、殺人、大虐殺、強盗、無差別爆撃や、何百もと何千もの他の戦争犯罪の暴露だ。
ロシアとの合意に対する二番目の障害は、4月9日、キーウに現れた。」
詳細:ゼレンスキーに近いUP情報筋によれば、首都に、ほとんど予告なしで現れたイギリスのボリス・ジョンソン首相は、二つの単純なメッセージを持って来た。
一、プーチンは戦争犯罪人であり、締め付けるべきで、交渉するべきではない。
二、もしウクライナが彼との保証協定署名の用意ができていても、彼らはそうではない。
ジョンソンのこの姿勢はこう物語っている。2月には、降伏して、逃亡するようゼレンスキーに言った、西側諸国全体は、プーチンが実際は、想像されたほどに全能ではなく、今こそ彼を強く締め付ける機会だと感じたのだ。
ジョンソンがイギリスに向けて去った三日後、ウクライナとの協議は「行き詰まりに達した」とプーチンが発表した。
「欧米」は、ジョー・バイデンの使者ボリス・ジョンソンという形で、ゼレンスキーに告げたのだ。最初は電話で、更に本人が直接、彼がロシアに何らかの譲歩する停戦協定に署名したら、彼は一人になると。
「欧米」が同意しなかったので、速い譲歩を実現するため、キーウ周辺に軍隊を引き留める狙いを実現ロシアの行動は失敗した。欧米は長い戦争でロシアの脚を引っ張りたかったのだ。
ゼレンスキーは「最後のウクライナ人まで戦う」戦争に対する「欧米」の圧力を受け入れ、ロシアが決して受け入れられない新たな要求をてし交渉を終わらせた。
以来、ロシアは大都市キーウ、チェルニーヒウ、スームィとハルキウ付近から軍隊を撤退させた。これでウクライナ軍を都市の一般人から離し、ロシアが前線に沿って行う大規模砲撃に曝しているのだ。
そこで彼らの軍隊はプーチンが命令したのと全く同じように「非武装化され」「非ナチ化されている」。
ロシアが「余りに遅く」、前線に沿って「前進していない」と言う人は皆この状況を誤解している。ロシアは、民間犠牲者を生まないよう、彼らを破壊するため、地方の前線へとウクライナ軍を意図的に引き込んでいるのだ。
水曜日、上海協力機構(SCO)加盟諸国の国防大臣会議で、ウクライナでの特別軍事行動で、民間人犠牲者を減らすため、ロシア軍は意図的に前進を遅くさせたとロシア国防大臣セルゲイ・ショイグが述べた。
「特別作戦で我々は厳密に人道主義法を遵守している。攻撃は、司令拠点、飛行場、貯蔵所、要塞地帯や軍需産業施設を含め、ウクライナ軍事インフラ施設に対し、高精密誘導兵器で行われている。同時に民間人犠牲者を防ぐべく、あらゆる努力が払われている。それは確実に前進を遅くするが、我々は意識的にそうしている」とショイグは指摘した。
もし下記文書が本物なら、この方法は非常に成功しているように思われる。
拡大する
7月1日まで、文書によれば、ウクライナ軍の損失は下記の通り。
76,640人 死亡
42,704人 負傷あるいはPTSD
7,244人 捕虜
2,816人 行方不明
1,610人 非戦闘犠牲者(自殺?)
合計数は、私には現実的に見える。死者数は、私の推計より多いが、負傷者数は死者に比べて、少ないように思われる。
それには、いくつか理由があるかもしれない。砲撃下陣地からの負傷者救出は極めて困難で、ウクライナ軍の医療サービスは、決して最新ではない。負傷者を救出できるヘリコプターや無限軌道車がない。
そのため、多くの負傷者が「貴重な時間」を失い、効果的医療のため連れて来られる前に亡くなる。ウクライナ人スタッフは、重傷者だけを数えて、治療され、前線に送り返せる人々は、ここに、おそらく含まれていないと我々は想定できる。
7月1日は、この戦争の17週目で、上記リストで、あり得る死者数合計は81,066人だ。それは1週間に4.767人、あるいは1日681人という、ウクライナ兵平均死者数になる。戦争の最初の数週は、さほど流血が多くはなかったから、現在、一日に亡くなる人の数は、おそらく、より多い。
上記報告が参照している日付から9週間過ぎた。だから、このリストに、更に42,000人死者が増えた可能性が高い。
これらの数は、空爆と、しっかり狙った砲撃で、1日数百人ものウクライナ人死傷者数を報告する軍の日次「打撃リスト」によるロシアの数値と一致する。
戦費に関する最近のニューヨーク・タイムズ記事も、いくつか数値を挙げている。
月曜日、ウクライナ軍総司令官ヴァレリー・ザルジニーは大将は、約9,000人のウクライナ人が前線で、殺害されたと述べた。
・・・
今月、国防総省当局者が、70,000人から80,000人のロシア人が既に死亡したか負傷したと推定した。彼らは死者数を20,000人と見積もった。
これらの数は到底信じられない。
同じ記事に、こうあるのだ。
専門家は、ロシアは、ルハーンシク占領作戦で、最大時の約20,000発から減り、1日約10,000発の砲弾を発射し、ウクライナは月に数千発の砲弾を発射していると推定している。
1日に10から2万発(!)がロシア側から発射されたということは、1カ月約450,000発を意味する。ウクライナの反撃砲火は「1カ月数千発」に減っている。100対1の比率だ。
一体どうして、ウクライナ人死亡者数が、たった9,000人で、80,000人のロシア人犠牲者をもたらすのだろう? そんなことは、あり得ない。
ショイグが述べる、意図的な遅い前進は、ロシア軍側で最小限死傷者で、ウクライナを「非武装化する」戦争の目的を実現しているのだ。
ウクライナ軍の主柱だった経験豊かな若い士官や大尉や少佐や上級曹長の大部分が死ぬだろう。ウクライナ軍が被った膨大な物的損失と、多数の兵士死傷者と相まって、これはいかなる組織的作戦や抵抗も、益々能力が弱まるだろう。
残った全員、ロシア砲兵隊が途轍もないどう猛さで食べ尽くすウクライナ人の砲弾の餌食だ。
こういうことにならざるを得なかったのは悲しいことだ。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2022/08/ukraine-wrong-assumptions-wrong-conclusions-and-a-lot-of-dead-soldiers.html#more
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