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※補足 2023年4月10日 朝日新聞1面トップ 紙面クリック拡大
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維新勝利野党敗北の原因
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2023年4月10日 植草一秀の『知られざる真実』
統一地方選前半戦の結果が明らかになった。
事前の情勢調査通りの結果になった。
9つの道府県知事選が実施された。
与野党対決型の知事選は北海道と大分で、いずれも与党系候補が勝利。
徳島は保守3分裂選挙。
神奈川、福井、鳥取、島根は与野党相乗りの無風選挙。
神奈川では黒岩氏スキャンダルが表面化したが無風選挙では選挙結果が覆される余地は乏しかった。
特筆されるべき点は維新が大阪ダブル選に勝利しただけでなく奈良県知事ポストを奪ったこと。
奈良県では自民系が分裂選挙になった。
自民党県連会長の高市早苗氏の責任が問われることになる。
徳島では保守3分裂選挙を後藤田正純氏が制した。
6選を目指した現職の飯泉嘉門氏が敗北。
奈良県では5選を目指した現職の荒井正吾氏が敗北。
多選に対する批判が全体として強まっている。
多選の知事は退職時に法外な退職金を手にするのが一般的。
私は維新の政策路線に賛同しないが、有権者に対して知事の退職金制度廃止などをアピールすることは選挙対策上、極めて効果が大きいと考えられる。
4月23日に投開票日を迎える衆参の5つの補欠選挙では和歌山1区に維新が候補を擁立する。
奈良県知事ポストを獲得した維新が和歌山1区で議席を確保すると次の衆院総選挙に向けて勢いづくことが予想される。
昨日記事にも記述したが、日本の有権者は完全に二極化している。
投票所に足を運ぶ有権者の半数が自公維国に投票する。
自公維国以外の政党が候補者を乱立させると大半の選挙区で自公維国が議席を獲得する。
このまま進めば、自公維国が国会議席の7割を占有することになるだろう。
しかし、全有権者のうち、投票所に足を運ぶ者は全体の半分に過ぎない。
半分の国民が政治に対する期待と信頼を失っている。
主権者であるから選挙に行くのが当然との考え方もあるが、他方で、既存政党が有権者の信頼を勝ち取れていないことを問題視する考え方もある。
そのような既存政治への期待を失っている人々にとって、維新のアピールが利いているという側面がある。
維新が拡大してきた最大背景はメディアの異常な応援にある。
広告費換算で法外な水準に達する維新誇大宣伝を主要メディアが展開してきたことが大きい。
しかし、これと並行して維新が有権者の琴線に触れるアピールを工夫してきたことも否定できない。
国民に痛みのある政策を訴えるなら、まずは、為政者が範を示すべきだ。
日本の議員は職業化している。
高水準の経済的処遇を獲得するために議員を目指す、議員職を続ける者が多い。
まさに本末転倒。
議員の経済処遇を大幅に引き下げるべきだ。
その一方で、議員が政策立案に取り組むためのサポートを拡充するべきだ。
国民に奉仕するのが議員の本分。
ところが、現状では国民に奉仕させるのが議員の特権だと勘違いしている者が多い。
北海道や大分の知事選で野党統一候補が惨敗した理由は野党共闘の崩壊にある。
野党第一党が「野党」と「ゆ党」のどちらを選ぶか揺れ動いている現状では、野党共闘が大きな力を発揮することは困難だ。
維新の政策路線は自民より右に位置する。
立憲民主党がリベラルなら維新との共闘はあり得ない。
立憲民主党が完全に「ゆ党」路線を選択するなら、共産、れいわ、社民との共闘はあり得ない。
どちらの道を進むのか、立憲民主党は旗幟を鮮明にするべきだ。
立憲民主党を完全分離し、リベラル勢力の結集を図るしかない。
その際に最重要になるのは、政治不信層の信頼をいかにして獲得するのかだ。
維新が知事退職金廃止の提案を示して民意を引き付けた点からは、路線が異なるとはいえ、学ぶべき点がある。
政治不信層の琴線に触れる路線を効果的に打ち出すことが事態打開の鍵を握る。
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