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※紙面抜粋
※2023年4月7日 日刊ゲンダイ
※文字起こし
どこが“異次元”なのか(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
それで国民を騙せると、本気で思っているのか。
岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」。その財源をどう捻出するのか、7日から首相が議長をつとめる「こども未来戦略会議」で話し合われる。政府が発表した少子化対策の「たたき台」に並べられたメニューをすべて実行するには、ざっと年間8兆円の経費がかかるという。財源の大枠は、6月に決定する「骨太の方針」で示す予定だ。
どうやって8兆円の財源を生み出すのか。増税や国債発行も浮上したが、結局、財源は「社会保険料」になりそうだ。はやくも自民党の茂木幹事長は、「増税や国債は考えていない」「さまざまな保険料について検討していかなければならない」と明言している。
具体的には、いま国民が支払っている年金、医療、介護の各保険料に一定額を上乗せして徴収し、子ども関連予算に充てるというプランだ。
しかし、これほど国民をバカにした話もないのではないか。国民に不人気な増税を避け、取りやすいところから取ろうとする魂胆がミエミエだからだ。
たしかに、消費税増税などと違って、保険料のアップは、痛みを感じづらい。しかし、増税だろうが、保険料アップだろうが、国民の負担増になるのは同じだ。可処分所得が減ることには変わりはない。
しかも、保険制度は高所得者は負担が少なく、低所得者ほど重くなる「逆進性」という問題もある。「社会保険料」を財源にする岸田政権の「少子化対策」は、逆効果になるだけだ。
「少子化の原因のひとつは、収入が低いために、結婚したくてもできない、子どもが欲しくても持てない人が増えていることでしょう。いま労働者の4割は非正規雇用です。非正規雇用の平均年収は190万円。夫婦合わせても380万円です。少子化を止めるためには、彼らが安心して子どもを産めるようにする必要がある。なのに、低所得者の保険料負担を重くして、どうするのですか。それでなくても、税と保険料を合わせた国民負担率は50%に迫っている。すでに家計の保険料負担は限界に近い。もはや、少子化対策の財源は、年収1億円を超えるような富裕層の負担増しかないのではないか。もう一度、かつてのように“所得の再配分”を機能させるしかない。なのに、岸田首相は富裕層に切り込もうとしない。少子化対策も本気ではないのでしょう」(経済評論家・斎藤満氏)
統一地方選前は、「増税」を封印するという計算もあるのだろう。岸田政権のやっていることは姑息すぎる。
肝が抜けている少子化対策
そのうえ、岸田首相が少子化対策で並べたメニューは、何から何まで小粒で的外れだ。一体どこが“異次元”なのかと、多くの国民が首をかしげているのではないか。
先月31日、岸田政権が公表した少子化対策の「たたき台」には、児童手当の所得制限の撤廃や、多子世帯への支給増額、育児休業給付率の引き上げ、男性育休の取得促進──と、メニューがずらりと列記されている。しかし、どれもこれも既存対策の拡充策ばかり。“異次元”でもなんでもない。しかも、あまりにもショボい内容だ。
目玉として掲げた児童手当の拡充ひとつとっても、効果は期待薄である。子ども1人にかかる教育費や生活費は1300万〜3000万円とされているのに、月数万円の給付金を受け取って「子どもを持とう」と思う国民がどれだけいるのか。
男性育休の取得促進についても、産後の育休給付率「手取り10割」をうたっているが、期間はたったの28日間。これじゃあ、男性の育児参加が進むわけはない。
“異次元”の対策と胸を張るなら、せめて「高等教育の無償化」くらい打ち出したらどうだ。子育てにかかる最大の出費は大学や専門学校の学費といわれているからだ。
文科省がまとめた「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大の年間授業料は平均93万円。入学金を含めれば4年で500万円を超える。重い教育費負担を恐れ、2人目の子どもを諦める夫婦は多い。高等教育が無償化されれば、子どもを持つことを考える夫婦が出てくる可能性もあるだろう。なのに、岸田が無償化に動く様子はない。
しかも、岸田政権の「異次元の少子化対策」には、肝心な点がすっぽり抜けている。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「たたき台のメニューは『夫婦ともに正社員』『すでに子どもがいる』など、ある程度、恵まれた世帯が支援の対象になっている。少子化対策ではなく、実態は子育て支援策です。それが不要だとは言いませんが、少子化対策としてより重要なのは、多くの国民が安心して結婚し、子どもを生み育てたいと思える環境をつくることでしょう。そのためには、雇用と収入の安定が必須です。なのに、たたき台には、若者が結婚し、子どもを持ちたくなるような対策が欠けている。今さら、小粒でピント外れな対策をやっても、ただの統一地方選対策のバラマキにしか見えません」
このままでは、8兆円もの経費は、最終的にムダ金に終わるに違いない。
「子育ては女」の発想が抜けきれない
岸田政権が指摘するように、日本の少子化を食い止められるかどうかは、この数年にかかっている。
しかし、「少子化対策」を「選挙対策」としか考えていないような岸田自民党には、低迷する出生数を反転させることなど、どう考えても無理な話だ。
出生数を増やすには、女性が仕事と子育てを両立でき、安心して暮らしていける社会につくり替える必要がある。
しかし、家父長制や男尊女卑の枠組みで政策を考えてきた自民党には、そんな発想は出てこないだろう。
実際、1日に発足した「こども家庭庁」は、もともとは「こども庁」になるはずだったのに、自民党議員が、「子どもは家庭で育てるものだ」と騒ぎ立て、「家庭」の2文字が加えられてしまった。「子どもは社会全体で育てる」という発想は皆無だ。
かつて、安倍元首相が、女性活躍の一環として「3年間抱っこし放題」と女性の育休延長を打ち出したことに象徴されるように、自民党議員には、「男は仕事、女は家庭」という家族観が染みついている。こんな“家父長体質政党”に任せていたら、女性だけに子育てを押し付けるという社会は変わらない。少子化の解消は不可能だ。
「30年間も続く少子化をストップさせるには、岸田政権が打ち出しているような小手先の対策では無理です。社会システムそのものを大転換するくらいの覚悟が必要です。女性が活躍できる環境を整えることも必要でしょう。岸田首相は口では『社会全体の意識を変えることが重要』と言っていましたが、女性が社会で活躍するための第一歩である『選択的夫婦別姓制度』の実現にも消極的なのだから、本当にやる気があるのかも疑わしい。この30年間、少子化問題を放置してきた歴代自民党政権の責任は重いでしょう」(五十嵐仁氏=前出)
自民党の少子化対策はとことんフザけている。即刻、退場してもらうしかないだろう。
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