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坂本龍一氏はがんとの闘いの中から、命懸けで戦後民主主義の危機に警鐘を鳴らし続けた ラサール石井 東憤西笑
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/321104
2023/04/06 日刊ゲンダイ
「さようなら原発10万人集会」でiPhone片手に挨拶する坂本龍一(2012年撮影)/(C)日刊ゲンダイ
坂本龍一氏が亡くなった。まさに巨星墜つ。その活動は世界レベル。音楽だけではなくその存在そのものが人々に大きな影響を与えた。国葬というものがあるなら(あったような気もするが)真にこの人こそふさわしいのではないか。
政治的発言も真摯に鋭く、「原発」「神宮外苑再開発」「コロナ政策」などに抗議の声を上げる姿は頼もしく勇気をもらった。だがそういう発言が凄まじいがんとの闘いの中で命懸けで発せられていたとは不覚にも存じ上げなかった。「苦しい。もう逝かせてくれ」とまで漏らすのは、よほどのことだっただろう。
9.11でアメリカの覇権主義に疑問を持ち「世界は簡単に戦争をする」と気付き、3.11では「日本は民主主義国家なのか、ここは原子力帝国ではないのか」と考えた。原発の劣化、テロの標的になりかねないとして、「時間が経てば経つほど危険性は増す」と訴えた。原発反対の声を上げると坂本龍一氏でさえも仕事が減ったという。
神宮の森の再開発にも抗議した。がんは身体を侵し尽くし、抗議運動の先頭に立つことはできなかった。インタビューには書面で答えていた。
「先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではありません」と小池都知事に手紙を書いた。それだけでもどれだけ大変だったであろう。ところが小池都知事は「事業者に手紙を出せばいいのでは」とまるで他人事。血の通った人間の言葉ではない。オリンピック招致のあたりからにおい出した再開発の怪しさを坂本氏は感じ取っていた。
「コロナ対策」についても厳しく批判した。日本の初期対策を「非常にぬるい。一貫性がないし、長期ビジョンもない」と断じ「検査数が絶対的に少なすぎます」と指摘した。そしてドイツが「社会民主主義的な福祉体制を維持できていた」のに対しイタリアは「新自由主義的な政策によって病床数の削減や合理化を進めてきた(日本の関西の都市に似ているね)そのツケを一気に払わされ医療崩壊が起きた」と喝破。
そして「安倍さんはその新自由主義に乗っているだけ」と言い「安倍さんはとても『保守』とは言えない」「保守的なそぶり」は「ジェスチャー」「その本質は、アメリカ追随とネポティズムと露骨な大企業優遇です」と見抜いていた。そして「国民はもっと怒るべきです」と言う。
本日4月5日には坂本さんの遺志を継いで神宮外苑再開発に反対する抗議デモが行われた。まだまだ間に合う。統一地方選挙もある。坂本氏の言葉と音楽を胸に、それぞれがそれぞれの怒りを持ち、それぞれの闘いを続けていこうじゃないか。
ラサール石井 タレント
1955年、大阪市出身。本名・石井章雄(いしい・あきお)。鹿児島ラ・サール高校から早大に進学。在学中に劇団テアトル・エコー養成所で一期下だった渡辺正行、小宮孝泰と共にコント赤信号を結成し、数多くのバラエティー番組に出演。またアニメの声優や舞台・演劇活動にも力を入れ、俳優としての出演に留まらず、脚本・演出も数多く手がけている。石井光三オフィス所属。
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