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「若者の貧困化」を食い止めるため終身雇用制度を復活せよ!
https://mainichibooks.com/sundaymainichi/column/2023/04/09/post-1070.html
サンデー毎日 青い空白い雲 2023年4月 9日号
「鶴は千年、亀は万年と言われます。夫婦の契りも永遠です」と来賓が挨拶(あいさつ)すると、隣の席の青年が「亀の女性が鶴の男性にプロポーズされたら、9000年間も未亡人になる!ってことですか」。大笑いした。
「こんなこと言うから、お前さんには縁談がこないんだぞ」と言ったら、「結婚できないのは奨学金の返済があるからですよ」と切り返された。
「おじいさんの時代と違うのは、今は、親が子どもの学費を払えないことなんですよ。2人に1人の大学生が奨学金を貰(もら)う。その返済で、結婚なんてできませんよ」
この青年、ご祝儀のウン万円も「痛かった!」と笑った。
結婚式から帰って、あるサイトで「奨学金返済シミュレーション」を調べてみると、▼借入総額288万円(月6万円×4年間)▼利率0・6%(固定)▼返済月額1万5779円(最終月は1万5763円)▼返済総額302万9552円――。
この計画だと、完済するのに16年間もかかる。
確かに結婚にも影響するだろう。
昭和の頃、奨学金は給付型が多かった。僕(昭和19年生まれ)が大学を目指した頃、例えば、日本大文理学部では「成績が優秀なら学費ゼロ。甲種特待生になれば小遣いまで貰える」と誘われた。
新聞記者になりたくて、日大一高から早稲田大の新聞学科に進んだが、工夫すればタダで大学に行けることが可能だった。事実、教員や研究職に就いたら、奨学金の返済が免除された(この制度は2004年廃止)。
なぜ、日本の親は子どもの学費が払えなくなったのか? 30年前と比べると、日本の平均給与は91年が約447万円、21年は約443万円(国税庁のHPより)。上がるどころかほぼ変わらない。
なぜなのか。意見は分かれるけれど、その原因は終身雇用制度の崩壊!だろう。
それまでは「年齢が上がるとともに年収が右肩上がりに増える」のが一般的だった。ところがこの30年間、企業は正社員を雇用せず「非正規雇用」を選ぶことができた。その結果、本来なら結婚や子育てなどで経済的な負担が大きくなる30代になっても賃金は上がらない。終身雇用制度の安全神話が崩れたのだ。
WBCで、日本中が大谷翔平の一挙手一投足に大騒ぎ。楽しかった。
コーセー「雪肌精」の巨大スクリーンで、スベスベお肌の大谷が出迎える。楽しかった。大谷のスポンサーはメジャー最多の17社。それだけで、約30億円も稼いだ。
もっともっと稼いでもらいたい。でも、大谷が生きる場所は華々しいが「弱肉強食」の世界。
ごく普通の若者は「終身雇用」で、結婚して子どもを育てる「平凡な人生」でも良いじゃないか?
「若者の貧困」を何とかして食い止めないと、日本は崩壊するぞ!
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