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総務省文書めぐる岸田首相と高市大臣の支離滅裂答弁を「論戦かみ合わず」で済ますメディアの傍観
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/320721
2023/03/28 日刊ゲンダイ
28日、閣議に臨む岸田首相(左)と高市経済安保相(C)共同通信社
「怪文書の類いだ」。28日の参院予算員会で、こう語気を荒げていた高市早苗経済安全保障担当相。立憲民主党の杉尾秀哉議員から、放送法の政治的公平性に関する総務省の行政文書に関する答弁が二転三転している問題について問われると、「偽造、変造という用語は総務省職員に厳し過ぎると考え、捏造とかなり配慮して言った」などと主張した。
3月3日の同委員会質疑で、立憲民主党の小西洋之議員から「(文書が)捏造ではなかったら大臣、議員辞職でよろしいのか」と問われた際、「結構ですよ」と自信満々で答えていた高市氏。その後の総務省の内部調査で「捏造はない」と結論づけられた事実を踏まえ、28日の同委員会では、杉尾氏が改めて閣僚辞任を要求。すると、高市氏は「やましいことがないのに職を辞することはない」と拒否し続け、これまでと同様、頑なな態度は変わらなかった。
およそ1カ月近くに渡って繰り広げられてきた、総務省の行政文書の真偽をめぐる高市氏と野党議員の国会質疑。一部メディアはこの間の高市氏と野党議員のやり取りに触れつつ、「論戦かみ合わず」「両者の主張は平行線のまま」などと報じているが、これまでの質疑をみればかみ合わないのも当然というよりほかない。なぜなら、高市氏の答弁があまりにも支離滅裂だからだ。
例えば、27日の参院予算委員会。質問に立った立憲民主党の石橋通宏議員は、高市氏が捏造と断言した「大臣レク」の記録について、当時の担当職員3人が「捏造の認識はない」「概要として間違っていない」と総務省の調査に答えている証言を突き付け、高市氏に対して捏造発言の撤回を迫った。
すると高市氏は「あの〜よくよく、その事情は理解致しました。そしてまた、この記録者と(略)3枚は作成者不明でございますけれども、え〜(略)法的な問題はないと」などと切り出し、さらに「私や安倍総理の名前が使われた経緯がどういう事だったのか、瞬時に理解した」と答えたかと思えば、なぜか「この文書が差し込まれた事情は理解した」と言い出す始末。
そして「え〜もう既に公訴時効も過ぎていると。まぁ、そういった事も、しっかりと確認をした上で答弁をさせて頂きました」と唐突に意味不明な説明を始めつつ、職員による文書偽造の可能性までほのめかしていたのだからメチャクチャだ。
石橋氏は高市氏の答弁では埒が明かないとして、岸田文雄首相に対して「首相の責任で発言撤回を」と求めたのだが、岸田首相の答弁もこれまたクラクラする内容だった。
「(職員間の認識は)一致しているというご指摘でありますが、これ以外にも様々なヒアリングを行った上で、全体として、認識が一致していない部分があるというのが(総務省調査の)結論であったと私は承知をしております」
「一致していない部分があるならば、その点について説明する必要がある、このように申し上げております」
「全体」として認識が一致していない「部分」があるとは一体、どういう意味なのか。その点について説明する必要がある、という主語は誰なのか。これでは何が言いたいのかサッパリ分からないし、質疑が成り立たないのも当然ではないか。
大手メディアは「論戦かみ合わず」などと傍観的に報じるのではなく、論戦にすらなっていないことを厳しく追及してほしいものだ。
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