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論理の飛躍という飛躍した論理
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2023年3月24日 植草一秀の『知られざる真実』
高市早苗国務相(経済安全保障担当)の国会軽視、無責任ぶりが目に余る。
高市氏は3月3日の参議院予算委員会で、立憲民主党の小西博之議員が提示した政治的公平性に関する総務省行政文書に対して「ねつ造文書」であると断じた。
その際、小西議員が、
「ねつ造文書でなければ議員辞職するということでよいか」
と質問したのに対し、
「結構ですよ」
と答弁した。
その後、松本剛明総務省が当該文書についての確認結果を公表した。
松本総務相が当該文書が総務相の行政文書であることを確認したことを国会に報告した。
総務省は当該行政文書の全文を公開した。
すると高市氏は行政文書のなかの高市氏に関わる記述がある4ページがねつ造文書であると発言を修正した。
だが、高市氏は高市氏が関わる部分については「まったくのねつ造」であると繰り返した。
当該文書は高市氏が総務大臣任期中に作成されたもの。
文書作成の最終責任者は総務省のトップである高市氏だ。
高市氏は当該文書がねつ造文書であると断じるなら、文書作成者を「虚偽公文書作成罪」で刑事告発するべきである。
しかし、高市氏は刑事告発する考えはないとしている。
総務省は当該文書について調査を実施。
結果として総務省幹部が作成した文書であることが確認されたと公表した。
総務省において作成される行政文書について、ねつ造文書である可能性が低いことも明示した。
結論として総務省は当該文書がねつ造文書ではないと断じた。
ただし、当該文書に登場する複数の関係者への事情聴取の結果、正確性が確認できない部分があるとの説明を総務省が行っている。
高市氏が影響力を及ぼす職員が含まれていると考えられ、その立場から、高市氏に有利な証言をしている可能性が考えられる。
低劣な問題で国会の重要な審議時間が費消されていることの責任は高市氏にある。
当該文書は総務省内で作成された、一般的に信ぴょう性の高い文書。
総務省職員が「ねつ造文書」を作成していたのであれば、当時の総務省の最高責任者である高市氏が責任を負う必要がある。
文書が「ねつ造文書」でないなら、高市氏は国会におけるねつ造文書発言を撤回するとともに、国会論議を混乱させたことに対して謝罪をするべきである。
高市氏は当該文書がねつ造文書でなければ議員辞職することに同意している。
この発言は重い。
議員辞職を免れたいと考えるなら当該発言を完全に撤回するとともに、国会における真摯な謝罪が必要だ。
ところが、高市氏はいずれの行動をも示していない。
立憲民主党議員が高市国務相を罷免するべきではないかと追及したことに対して、岸田首相は「論理の飛躍」だと答弁した。
「論理の飛躍」ではないことは明白だ。
高市氏自身が、当該文書がねつ造文書でない場合には議員辞職すると明言している。
常識的に考えれば高市氏が国会における感情的で行き過ぎた発言を撤回、謝罪し、今後は真摯な対応に徹することを誓い、許しを乞うべきである。
ところが、高市氏は謝罪どころかねつ造発言の撤回すらしていない。
傲岸不遜ぶりは安倍晋三元首相に極めて類似しているが、このような行動を国会が許すべきでない。
国会の権威の問題である。
岸田首相は「論理の飛躍」などという「飛躍した論理」を押し立てるのではなく、高市国務相の発言撤回と謝罪を高市氏に指導するべきだ。
その当然の行動がないから高市氏罷免要求が突き付けられるのだ。
高市氏はこれらの議論のために本来の仕事ができないなどの主張をSNSで発信したが、これを「盗人猛々しい」と表現する。
すべては高市氏の傲岸不遜で非常識な行動が原因である。
立憲民主党は党としてこの問題の明確な決着を追求する必要がある。
党がこの問題に中途半端な妥協をすれば、小西氏の国会での正当な追及が意味を失う。
立憲民主党の政党としての矜持が問われている。
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