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キエフ行き競う無意味さ
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2023年3月21日 植草一秀の『知られざる真実』
岸田首相がインド訪問のついでにウクライナを訪問したことが報じられた。
WBCの試合終了直前にニュース速報として報じられた。
NHKは直後の正午の定時ニュースで30分の時間をかけて報道した。
日本全体は日本代表がWBC準決勝で劇的サヨナラ勝利を飾ったことから、これに釘付けになっていたことと思われる。
NHKだけがあらかじめ用意していたと思われる30分の放送を強行し、違和感が充満した。
直前に日本代表が逆転サヨナラ勝利を飾ったから、まさに新鮮なトップニュースだった。
しかし、NHKはニュースでWBCが存在した匂いすら漂わせなかった。
G7の首脳で岸田首相だけがウクライナを訪問しておらず、岸田首相はG7までにどうしてもウクライナを訪問したいと考えていたようだが、G7首脳陣の幼稚さが際立つ結果になっている。
鳩山元総理が「子どもじゃあるまいし」とツイートしたことが報じられたが、多くの賢明な国民が共感を覚えたと思われる。
ゼレンスキーはウクライナを支援する国に執拗に支援を迫り、どこへでも出向く対応を示し、ウクライナに武器支援する欧米諸国は南極点到達競争かのようにキエフ訪問を競ってきた。
ゼレンスキーの要求は何とかのひとつ覚えの如く、武器をくれの一点張り。
世界中を飛び回ってしつこく武器供与を要求している。
米国を中軸とする欧米は野放図に武器供与を繰り返しており、このことによって戦場で多数の人命が失われている。
欧米諸国の劣化が極めて深刻な状況だ。
いま追求するべきことは戦乱の収束であって戦乱の拡大でない。
世界のなかで戦乱の収束を模索しているのはロシのプーチン大統領と中国の習近平主席だけだ。
習近平氏はロシアを訪問して、プーチン大統領と膝をつき合わせて協議し、戦乱の収束方法を話し合ったと見られる。
世界が追求するべき方向がこの方向であることは間違いない。
ウクライナが正義でロシアが悪との見立ても成り立たない。
そもそもこの戦乱が生じた根本原因は、ウクライナがミンスク合意を一方的に踏みにじったことにある。
ゼレンスキー自身が2019年の大統領選でミンスク合意の履行と、それによるウクライナ東部の和平確定実現を公約に掲げていた。
ウクライナは2015年に東部2地域とミンスク合意を締結している。
この合意にはロシア、ドイツ、フランスも関与した。
合意は国連安保理で決議され、国際法の地位も獲得した。
ウクライナ政府が誠実にミンスク合意を履行していれば戦乱は発生していない。
ミンスク合意履行に強く反対したのはウクライナの極右勢力だ。
ゼレンスキーは極右勢力の脅しに屈してミンスク合意を踏みにじる方向に転向した。
そして、この方向を強く誘導したのが米国のバイデン政権である。
ゼレンスキーは正義のヒーローとはほど遠い。
発生する必然性のない戦乱を勃発させた張本人というのが妥当な位置付け。
国連でロシア非難決議等に140ヵ国以上が賛成したと伝えられているが、賛成した国の人口は賛成しなかった国の人口よりも少ない。
人口比では6対4で賛成が少ないのだ。
G20が提唱した経済制裁も実施している国が10、実施していない国が10という状況だが、人口比では実施している国が2割、していない国が8割だ。
米国は米国による世界の一極支配を目論むが、現実の世界は多極化している。
米国の一極支配主義=ワン・ワールド構想はすでに破綻している。
中東のイランとサウジアラビアの関係修復も、仲介したのは中国である。
その中国がウクライナ戦乱に関して積極的に動き始めた。
ウクライナ自身も中国との関係は深い。
中国による停戦に向けての行動を、実はウクライナも歓迎している。
このなかで、日本の行動が問われるわけだが、残念ながら、日本は米国のポチでしかない。
米国が、ロシア=悪、ウクライナ=正義の図式ですべてを報道せよと日本に命令すると、日本の報道は、その命令通りに一色になる。
NHKも恥ずかしい報道を続けている。
日本に自立と独立の気概があるなら、米国のポチをやめて、ウクライナ戦乱終結に向けての提案を示すべきだ。
キエフ詣でに血道を注いでも得るものは皆無。
NHKが30分もかけてウクライナ訪問を報じたこと自体が奇怪。
ウクライナ問題に関して私たちが力を注ぐべきことは戦乱の拡大でなく、戦乱の収束だ。
このことを日本国民が明確に認識するべきである。
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