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※紙面抜粋
※2023年3月9日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
メディアに圧力をかけた事実は消えない(高市経済安保担当相=右)、傍観するだけの岸田首相の限界(C)日刊ゲンダイ
どうやら、高市早苗経済安保相は、最後まで「知らぬ存ぜぬ」「捏造だ」──で押し通すつもりらしい。
さすがに、松本剛明総務相も「すべて総務省の行政文書だ」と認めざるを得なかった、いわゆる総務省の「内部文書」。テレビ局に圧力をかけるために、当時の安倍官邸が「放送法」の解釈を歪めた経緯が記されているシロモノである。
2014年から15年にかけて作成されたこの「公文書」は、A4判78ページ。安倍官邸と総務省とのやりとりが、時系列で詳細に書かれている。
ところが、当時、総務相だった高市大臣は、8日の国会でも、「私に関係する計4枚については、私が発言したことがない記述がされている」「正しい情報ではなく、捏造された行政文書だ」と訴えてみせた。国会で啖呵を切った「議員辞職」についても、「捏造された行政文書によって辞職すべきだとは考えていない」と、キッパリと否定した。
しかし、あの「公文書」を捏造だと思っている国民は、ほとんどいないのではないか。総務省の官僚も「一般論として、行政文書の中に捏造があるとは考えにくい」と、国会で捏造を否定している。そもそも、わざわざ捏造する理由がないだろう。
高市総務相の発言を記した4枚は、実に生々しい。2枚には「取扱厳重注意」との記載があり、日時、場所、出席者が記されている。別の2枚の文書には、場所と出席者は書かれていないが、日時は記されている。
たとえば、2015年2月13日、大臣室で行われた<高市大臣レク結果>の紙には、高市総務相が「そもそもテレビ朝日に公平な番組なんてあるの?」「TBSとテレビ朝日よね」「官邸には『総務大臣は準備をしておきます』と伝えて下さい」と発言したと具体的に書かれている。
また、2015年3月6日夕刻とある紙には、<最初大臣は本件についてあまり記憶がなかった様子で、第一声は「本当にやるの?」><整理ペーパーを見ているうちに内容を思い出してきたようで>などと、こちらも具体的だ。
高市大臣は、この4枚すべてを「捏造」としているが、本当なのか。少なくても「取扱厳重注意」の表記がある2枚には、同席した複数の氏名が書かれている。確認すれば、すぐにバレてしまうのに、お役人が「捏造」という危険なことをするだろうか。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「高市大臣は、あまりにも無責任です。どこが、どのように捏造なのか説明せず、ただ捏造だと訴えている。なぜ、積極的に疑念を晴らそうとしないのか。しかも、挙証責任を野党に転嫁しているのだから、どうかしています。野党議員は、他人が作成した文書を入手しただけでしょ。偽造かどうか立証できるはずがない。立証は高市大臣、本人しかできませんよ。野党を攻撃するなどお門違いです」
岸田首相「捏造」問題も他人事の無責任
高市大臣は「文書は捏造だ」などと居丈高に批判しているが、総務相時代、安倍官邸の先兵となって“言論弾圧”に動いたのは紛れもない事実だ。
「公文書」を読む限り、「放送法」の解釈変更は、相当のムリ筋だったことが分かる。総務省出身の首相秘書官でさえ、「どこのメディアも萎縮するだろう」「言論弾圧ではないか」と懸念していたほどだ。なのに、高市総務相は何の躊躇もなく国会で「放送法」の解釈変更を表明している。
岸田首相はサッサと、自らの潔白を証明しようとしない高市大臣のクビを切るべきなのではないか。なのに、まるで他人事なのだから、どうしようもない。国会で質問されても、「(法解釈変更の)経緯については、総務省が国民に分かりやすく適切に説明することが重要」と完全に他人任せだ。ここで高市大臣を切らなければ、結局、岸田首相も同じ穴のムジナである。
「岸田首相は、この問題にはタッチしないつもりです。ヘタに首を突っ込むと、安倍政権下で進められた放送法の解釈変更にケチをつけることになりかねない。自民党最大派閥の安倍派を敵に回したくないということでしょう」(永田町関係者)
岸田首相は「放送法」の解釈変更について「報道の自由への介入等の指摘は当たらない」と問題視しない姿勢を強調しているが、報道の自由に介入したのは明らかだ。
従来、総務省は、放送法に基づく「政治的公平」について「一つの番組でなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」との見解を示していた。ところが、16年公表の政府見解で「一つ一つの番組を見て全体を判断するのは当然」とガラッと変わってしまった。この解釈変更でテレビ局が萎縮したのは間違いない。
そもそも、TBSの「サンデーモーニング」など、気に入らない番組を取り締まることが目的だったのだから、言論弾圧もいいところだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
「公文書を見れば、安倍官邸が特定の番組を敵視し、潰しにかかろうともくろんでいたのは明らかです。そんな官邸の思惑に乗っかって、当時の高市総務相は『電波停止』にまで言及し、その結果、テレビ局は萎縮してしまった。政権に批判的なコメンテーターは続々と降板し、逆に政府の意向を垂れ流すだけのコメンテーターばかりが出演するようになっています」
かつては「消えた年金問題」など、野党議員が政府の失政を追及する番組がいくつもあった。ところが、いつの間にかそんな番組は消え、いまや与党議員だけが出演する番組だらけになっている。
真相解明には国会喚問しかない
果たして総務省の「公文書」は捏造されたものなのか。岸田政権は時間稼ぎをして、このままこの問題をウヤムヤにするつもりだ。高市大臣も「文書は捏造」「挙証責任は野党にある」と言い続ければ、いずれ立ち消えになると計算しているのではないか。
8日の予算委でも、立憲民主党の小西洋之議員が文書を基にいくら質問を重ねても、高市大臣は「捏造」と繰り返し、松本総務相も「作成者や作成経緯が不明な文書にある日付と作成日が符合しないものがあり、精査を進めている」と、ノラリクラリ。ゼロ回答だった。
もはやこうなったら「捏造」なのかどうか、さらに「放送法」の解釈変更に安倍官邸がどう動いたのか、真相を明らかにするには、関係者を片っ端から国会に呼ぶしかないのではないか。
高市大臣や、当時、総務省にしつこく働きかけていた礒崎陽輔元首相補佐官、さらに「公文書」に記載のある総務官僚を一人残らず、ウソをつけば偽証罪に問われる可能性がある証人喚問すべきだ。
この10年間、安倍官邸の圧力に屈して忖度報道を続けてきた大メディアも、今回ばかりはスルーは許されない。
「安倍政権発足前は、骨のあるコメンテーターがテレビで活躍し、大新聞も政府の失政を厳しく追及していました。ところが、この10年ですっかり大メディアは骨抜きにされてしまった。今回の“捏造”問題はジャーナリズムの真価が問われる重大局面です。ある意味、健全なジャーナリズムを取り戻す大きなチャンスです。ここで引いたら、危機的な状況になってしまいますよ」(五十嵐仁氏=前出)
今こそ、アベ政治の膿を出し切る時だ。
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