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インターネット放送の「番組」が隆盛の今、放送法4条の「政治的公平」を考える(東京新聞)
http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/484.html
投稿者 蒲田の富士山 日時 2023 年 3 月 08 日 17:47:29: OoIP2Z8mrhxx6 ipeTY4LMlXiObY5S
 

2023年3月8日 17時00分

https://www.tokyo-np.co.jp/article/235325

 放送法4条が定める「政治的公平」原則をめぐる議論。野党側は、安倍晋三政権が、批判的な民放番組を「公平ではない」として圧力をかけようとした疑惑を追及中だ。公平をタテに政権批判を封じるのは許されないが、一方、今や放送法のしばりを受けないインターネット放送の「番組」が隆盛だ。放送法という枠組みではもうとらえられなくなってきた「政治的公平」を考える。(大杉はるか、木原育子)

【関連記事】総務省が放送法の「政治的公平」を巡る文書を公開 何が問題となっているのか

◆礒崎氏「『極端な場合』について総務省に説明しなさいと言った」
 「作成者や日時が特定できていないものがある。私に関係する4枚の文書は不正確だと確信している」
 高市早苗経済安全保障担当相は7日、会見でこう強調した。問題となっているのは、高市氏が総務相だった2015年に、安倍晋三政権(当時)が放送法4条に定める政治的公平原則を解釈変更した際の総務省内部文書だ。今月2日、立憲民主党の小西洋之参院議員が、安倍政権時に総務省が作成した文書を公表。松本剛明総務相は7日の会見で、この文書が正式な行政文書であると認めた。
 それまで「政治的公平」は、一つの番組だけではなく、放送局の各番組全体を見て判断するとされていた。だが、高市氏は15年5月の参院総務委員会で、一つの番組でも「国論を二分する課題について、他の見解のみを取り上げ、相当な時間繰り返す番組」などは4条違反に当たるとの「補充的説明」を突如行った。
 この文書中、総務省に政治的公平の解釈について何度も注文をつけ、高市氏の答弁につなげたのは礒崎陽輔首相補佐官(当時)。
 「こちら特報部」の取材に、礒崎氏は「過去の政府答弁で、政治的公平を欠く番組と判断するのは極端な場合を除き困難だという考えが示されており、『極端な場合』について総務省に説明しなさいと言った。曖昧な基準では規範として意味がないので、もう少し分かりやすくということで、解釈変更ではない」と説明。首相の指示があったかは「記憶にない」とした。

◆過去には自民党政権に批判的な放送内容に圧力をかけるケースばかり
 政治的公平をめぐる問題はたびたび起きている。古くは1993年、テレビ朝日の椿貞良報道局長が「非自民党政権が生まれるように報道するよう指示した」とされる問題で、椿氏が証人喚問された。01年にNHKが報じた「問われる戦時性暴力」では安倍氏らによる圧力で、元慰安婦らの発言の削除、短縮に追い込まれた。15年には自民党がテレビ朝日とNHKの幹部を党本部に呼び、個別番組について事情聴取する「圧力」を加えた。各番組で、政権に批判的なコメンテーターの降板も相次いだ。
 いずれも、自民党政権に批判的な放送内容に対し、「公平性を欠く」と政権側が圧力を掛けるケースばかりだ。ただ、18年に安倍首相が、放送とインターネットの融合を進めるとして、4条撤廃の意向を示したことには、民放連が反対している。
 上智大の水島宏明教授(テレビ報道論)は「放送法は放送や編集の自由を重視しており、独善的な放送をひかえる倫理規定として4条があるのだが、第2次安倍政権以降、4条が悪用された」と話す。
 市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」共同代表を務めた東京大の醍醐聡名誉教授は「4条があるから、公平を追求して報道しづらくなるという批判もされてきたが、なくせば判断のよりどころがなくなる」と説明。「政治的公平を残し、権力寄りの報道の歯止めとすべきだと考える」と強調した。小西文書が示したやりとりは「官邸のどう喝のようで問題」としつつ、なるべく一つの番組でも公平を期すという解釈自体は「違和感はない」と話した。

【関連記事】高市早苗氏は総務省の内部文書を「捏造」と断言 その根拠は? 立証責任は追及側にあるのか?

◆アメリカでは「公平廃止」で社会分断
 米国にもかつてテレビ事業者には「フェアネス・ドクトリン」(公平原則)と呼ばれる原則があった。だが、あらゆる規制緩和を目指した共和党のレーガン政権時代の1987年に廃止。言論の自由の権利を定めた米国憲法修正第1条に抵触する、とされたためだ。
 現在は地上波の3大ネットワーク(ABC、NBC、CBS)と、公共放送のPBS、そしてCNNやFOXなどがある。テレビ放送上の言論空間はどうなっているのか。
 「右と左にどんどん両極化していっていますね」と語るのは、カリフォルニア州在住の映画評論家の町山智浩氏だ。
 例えば、FOXは世界的なメディア王、ルパート・マードック氏が共和党寄りの新自由主義を掲げてスタートしたが、「1990年代に時のブッシュ政権から特権的な情報を得て、視聴率では群を抜いていった。だが、今ではニュースマックスという、FOX以上の保守的なテレビも出てきた。逆に、そのカウンターとして、極端にリベラルな対抗局も出てきた」と話す。
 その帰結として生まれたのが、「社会の分断だった」(町山氏)。米国での若者のテレビ離れは日本以上というが、そもそも政治的公平原則のない若者が主流のインターネット上ではその傾向はさらに進む。
 町山氏は「ネットには、自分の信じたい物の方にどんどん引きずられるアルゴリズムが組み込まれている。過激な分断が米国社会を支配している」と語る。

◆「人権の原則で規制すべきだ」
 日本は放送法上の政治的公平原則は維持されているものの、地上波テレビ離れが進むのは米国と同じ。「ABEMA」や「日本文化チャンネル桜」などのネット放送局や、保守系言論人によるユーチューブ「放送局」も次々に現れている。
 ネット上の言論に詳しい評論家の古谷経衡氏は「ネット放送局でも、総合チャンネルの要素が強いABEMAなどと、オピニオン色が強いチャンネル桜などを同列に論じることはできない」とした上で「保守系ネット放送は自分たちが正しい報道をしていると言い張る。反対意見をくむ姿勢が極めて薄い」とする。「そもそも政治的公平は解釈次第でいかようにも押し切れてしまう面がある。万が一、ネット放送局にも放送法が適用されることになっても、公平性から逸脱した意見がなくなることはないだろう」
 現在、総務省ではネット時代の公共放送という論点で議論しているが、「既存のテレビ番組のネット配信についての議論で、ネット放送が多数ある時代に対応できてない」と指摘する。
 放送の「言論の自由」をめぐり、もろ刃の剣ともなる政治的公平。この原則を維持するにせよ、変えるにせよ、今後主流になっていくであろうネット報道時代に、放送法の枠組みが有効なのかどうかは疑問だ。どうするべきか。
 ITジャーナリストの星暁雄さんは、日本より規制が進む欧州連合(EU)の「デジタルサービス法(DSA)」を参考に、人権の原則で規制するべきではないか、と提案する。
 DSAでは、特定の属性を攻撃するヘイトスピーチや暴力扇動などの取り締まりを大手ネット事業者に求める。「キーワードは人権だ。人権が損なわれていなければネットの言論は自由であるべきだ」
 「政治的公平は、実は誰も定義できない。本人が公平だとすれば公平にできてしまう」とし、「政治的公平を守れと自主規制を命じるのは実効性に乏しい。ヘイトや偽情報などを排除した上で、自由な言論を守るべきだ」と訴えた。

◆デスクメモ
 戦前の政府・軍部のような体制から報道の自由を守るという意味での「政治的公平」と、政府の問題への批判報道に対する「政治的公平」要求。立法趣旨の重点がどちらにあるかと言えば明らかに前者だろうが、ネット時代にはこんな議論も通用しない。野放しでいいとは思えないが。(歩)  

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コメント
1. 上山[453] j@OOUg 2023年3月08日 18:34:10 : XaOsnyMzSc : Vjc4SGw0U0UyYnc=[328] 報告
総務大臣が総務省行政文書に責任を持たないで済む政界=異常だ。
2. 2023年3月08日 18:53:43 : SVr8llCCdI : WG1YOC5KaFMzR2c=[2] 報告
 報道の自由をめぐる話題と学問の自由をめぐる話題は、妙におなじ匂いを感じる。どちらも戦後改革のどさくさ紛れに、GHQから過剰な自由を…自由に名を借りた利権や特権を手にした左翼勢力と、おなじように政治権力を悪用した自民党内の右翼勢力の、奇妙な同志的結合が背景にあると思う。
 もちろん、日本学術会議の話題を念頭に書いているのだが、拉致事件をめぐっての北朝鮮との交渉でも。おなじ種類の違和感を感じた。
 松本清張に日本の黒い霧の続編を書いてもらいたいものだ。

                    罵愚

3. 2023年3月08日 19:20:03 : I5lgXglAkc : T0YwajB3MlhNNWM=[106] 報告
松本清張のことを知っているのならば、GSとG2を同一視できないはずだが。
4. 2023年3月09日 07:14:57 : uhZjCKdhMg : bXYvWmIwaFVvR0U=[85] 報告
クロスオーナーシップと間接的に国営放送の労働組合が偏向報道の根元と思う。

一つの資本で新聞テレビラジオネットニュース世論調査など様々なメディアが一体化して新聞社の傘下になってるクロスオーナーシップ。
新聞の腐敗、あるいはテレビ、ラジオの腐敗を報道しない、一種の情報操作の原因である。

NHKの労働組合は共産党の支持母体、少なからずバイアスが掛かるのは目に見えてる。
公共放送だけは、しがらみがあっては成らないと思う。

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