http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/470.html
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https://www.chunichi.co.jp/article/648449?rct=politics
参院予算委の質疑、答弁の模様を報じた、中日新聞の短い記事であるが、内容は極めて重要なことが書かれている。
以下記事の全文を示す。
「岸田首相は6日の参院予算委で、集団的自衛権行使が可能となる「存立危機事態」の際、他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)を発動するかどうかは日本が判断すると強調した。米国から要請があった場合に拒否できるのか問われ「イエスかノーかは日本が判断する。当然のことだ」と述べた。立憲民主党の石橋通宏氏は反撃能力に関し「他国防衛のために使えば、先制攻撃になるのではないか」と懸念を示した。
首相は「わが国の存立のために行使するものだ」と理解を求めた。台湾有事を巡っては、在日米軍の出撃を米側と事前協議する対応でも「わが国が自主的に判断し、諾否を決定する」と説明した。」
記事は以上で、相変わらず短いために、ともすれば見過ごしてしまいそうになる。
・・・・・
相変わらず「存立危機事態」という、なにやら曖昧な言葉が使われて、質疑がなされている。
「存立危機事態」とは、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態。
と、政府が説明しているが、所謂「造語」だ。
「存立」とは、存在し、成り立つこと。滅びたりつぶれたりせず立ちゆくこと。
簡単に言えば、米国に対する武力攻撃が発生し、そのことが、日本の滅亡に繋がるほどの危険がある事態と言うことになる。
そのような事態に対処するのが、集団的自衛権の行使だと言う。
その根拠は、日米安全保障条約によると言っているのだろう。
政府の言う「存立危機事態」は、地球上のどこで発生した危機についていうのかは、地理的限定についての説明が無いから分からない。
そのような事態は、宇宙空間でも発生すると言い出すかもしれない。
そんな説明を許せば、日本が「存立危機事態」と判断すれば、地球上のみならず、宇宙空間で発生した事態に対して、他国領域のミサイル基地などを破壊する「敵基地攻撃能力」の行使が許されることになる。
さすがにそれはないだろう。
しかし、地理的限定を求めなければ、無制限さは解消されない。
政府は、集団的自衛権の行使だという。
その根拠は、日米安全保障条約によると。
日米安全保障条約では、このあたりのことは、どう規定されているのか。
日米安全保障条約から抜粋する。
第五条(共同防衛)
1 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
第六条(基地の許与)
1 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合州国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。
ここで分かることは、
日米安全保障条約は、「・・・日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、・・・」
とあるように、あくまでも、「日本の施政の下にある領域」で発生した共通の危機に対して、協力して対処するという条約だということだ。
それは、「日本の施政の下にある領域」で発生した危機でなければ、日米安全保障条約の第五条(共同防衛)は、発動されないということを示している。
一方で、政府は「武力攻撃事態」を別に定義している。
ここで言う武力攻撃とは、我が国に対する外部からの武力攻撃をいう。
すなわち、「日本の施政の下にある領域」への武力攻撃を定義した「武力攻撃事態」でしか、日米安全保障条約の第五条(共同防衛)は、発動されないということになる。
政府の説明の矛盾、齟齬が理解できたと思うが。
問題がもう一つある。
石橋通宏氏の「他国防衛のために使えば、先制攻撃になるのではないか」という質問に、
岸田首相は、「わが国の存立のために行使するものだ」と答弁する。
これは言い換えれば、「自衛のため」と言うことだろう。
「自衛のため」ということを「錦の御旗」にして侵略戦争を行ってきた、先の戦争の反省が微塵も感じられない。
先日、岸田首相は、先制攻撃は「国際法に違反する」から「やらない」と明言した。
ならば、先制攻撃にならないようにするために、「宣戦布告」をするのかと問うてもらいたい。
それこそが、日本に武力攻撃をしていない他国に対する「侵略戦争」だろう。
憲法9条を忘れたとは言わせない。
岸田首相が、
台湾有事を巡っては、在日米軍の出撃を米側と事前協議する対応でも「わが国が自主的に判断し、諾否を決定する」と説明した。
とあるが、
日米安全保障条約の第六条(基地の許与)にあるように、
「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、・・・」
とある以上、日本側に拒否する理由は見いだせないだろう。
唯々諾々と従うしかないということだ。
「わが国が自主的に判断し、諾否を決定する」
よく言えるわ・・・。恥知らず・・・。
それにしても、質疑は、記事が示す模様のままで終わってしまったのだろうか。
岸田首相は何も答えていないに等しいにも関わらず・・・。
岸田首相が不誠実なのか、野党の追及が甘いのか。
いずれにしても、
日本の「本当の存立危機事態」は今、国会で起きている、と言えるのではないか。
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